第38話「護衛、邪悪な術を祓(はら)う」
『狼牢山』に入って数分でわかった。
この山は、歪んでる。
「……うっぷ」
兵士のひとりが口を押さえた。
足元がふらついてる。まるで、酔っ払ってるみたいだ。
空気に邪気が混ざってるのがわかる。
それが泥のように身体にまとわりついて、不快感を与えてるんだ。
普通だったら、こんなことはありえない。となると、誰かが山で変な術か……あるいは呪詛を使ったと考えるべきかな。
「……ご覧のように、邪気混じりの空気がただよっております。しかも山道が、作り替えられているのです」
俺の前を歩きながら、大田黒さんが言った。
彼の顔色も悪い。でも、まだ足取りはしっかりしてる。
さすが、山を守ってきた人だ。
俺たちの前には、『狼牢山』の山道がある。
以前は土が踏み固められた道だったらしいけれど、今は草に埋もれている。
山道が2ヶ月以上、放置されたからだろう。
それにしても……草の生長が早すぎる。
しかも、イバラのようなトゲが生えた蔦草も交ざっている。
根も深く、抜くのが大変なもの。それが山道に大量発生している。
「誰かが意図して植えたものでしょうか」
「だと存じます。こんなものを見るのは初めてでございますから」
「ですよね」
空気が重い。
以前『隠された霊域』で感じたのと似てるけど……違う。
あの山に張られていたのは、優しい結界だった。
人を穏やかに下山させるもので、こんなに攻撃的じゃなかった。
『狼牢山』に施されているのは、人を不快にさせて、惑わせ、無理矢理追い払うものだ。
悪意を感じる。空気も重い。
俺が健康じゃなかったら、とっくに引き返していただろう。
「『緋羽根』。この先に人間や霊獣、魔獣の気配は感じるか?」
『クルルル』
俺の肩の上で、『緋羽根』は首をかしげてる。
身体が小さく震えてる。
結界は『緋羽根』にも影響を与えているようだ。精霊が来たくないのもわかるな。
「……自分は、山の中腹までは行ったことがあります……そこが限界でした」
大田黒さんが言った。
「……この不快感は、耐えるしかないのです。行けるところまでご案内いたします」
「わかりました。その前に……ちょっと調べさせてください」
俺は『軽身功』を発動。地面を蹴り、樹上に飛ぶ。
それから『壁を歩く』で、樹の頂上まで垂直に歩いて、周囲の状況を確認する。
『九尾紫炎陽狐』がいた山の結界は、高度数メートルで影響が消えていた。
でも、これは違う。
高度10メートルを超えても、どんよりとした空気のままだ。
……これは進みにくいな。
邪気の流れの源は山の上。岩場の方だ。
確か岩場には、『魔獣避けの社』があるはずだけど。
「……うっぷ。むむむ」
地上に戻ると、兵士のひとりがうずくまってた。
「……以前よりも……空気がおかしくなっているようです。まるで、馬車に数時間揺られて酔ったような……感じが」
「わかりました。対処します。大田黒さん、弓を貸してもらえますか?」
俺は太田黒さんに頼んだ。
「杏樹さまからは対処法を聞いています」
「対処法を?」
「はい。弓の弦を鳴らして、周囲の空気を浄化する方法だそうですけど」
「……その方法は自分も存じております。『鳴弦の儀』ですな」
大田黒さんは弓の弦を、びぃん、と鳴らしてみせた。
でも……なにも起こらない。
少し、空気が動いたような気がするけど、それだけだ。
「自分も紫州の住人です。杏樹さまや……副堂沙緒里さまが儀式をされるところを見ておりました。『鳴弦の儀』は巫女が、儀式の場を整えて行う者だと聞いているのですが……」
「そうなんですか?」
おかしいな。杏樹は『零さまならできます』って言ってたんだが。
……まぁいい。やってみよう。
「とりあえず、試してみますよ」
「は、はい。では、どうぞ」
俺は太田黒さんから弓を受け取った。
短めの弓だった。山の中でも、使いやすいものだ。
藤色の糸で装飾と補強がされている。
代々大切にされてきたものなのだろう。
「『緋羽根』、力を貸してくれ」
『クルルン』
肩の上で霊鳥『緋羽根』がうなずく。
俺は弦の状態を確認する。軽く弓を引いて、戻す。
そして、杏樹に教わった通りの祝詞を唱える。
俺は『四尾霊狐』を通して杏樹と繋がってる。
側には霊鳥『緋羽根』もいる。
浄化のために、霊力を借りることもできるだろう。
俺は巫女じゃないから、儀式はできない。
できるのは弓の弦を鳴らすことだけだ。
となると……俺の存在感を消した方がいいな。
気配を消して……無の状態になって、『緋羽根』の力を通すための通路になろう。
「発動。『無音転身』」
俺は『虚炉流』邪道の技で、気配と存在感を消した。
ただ、祝詞を唱えて、弓を鳴らすだけの者になる。
元の世界の知識で例えれば、弓と『緋羽根』を接続するルーターになる感じだ。
そうして、俺は弓を鳴らした。
びぃ…………ん。
弓弦の音が、響いた。
「────おお」
「────山中……遠くまで、音が」
「────さきほどの音とはまるで違う。なんですか。この響きは……」
びぃ────ん。
「『祓い給え』」
びぃん。
俺は弓を鳴らし続ける。
「『我が主君、紫堂杏樹の名において、地祇の歪みを打ち祓わん。願わくば緋色の霊鳥の力を借り、大気の淀みを清浄に。我と我の同行者のために、道を開かん』」
びぃん。びぃん。
『クルルルル──ッ!』
ぶぉ。
霊鳥『緋羽根』が羽ばたく。緋色の羽から、火の粉が散る。
けれど、熱くはない。
火の粉は弓弦の音に乗るように、周囲へと広がっていく。
じゅっ、ぼっ、と、なにかが焦げる音がする。
そして──周囲の空気が変わった。
「……ら、楽になりました」
うずくまっていた兵士さんが、立ち上がった。
周囲の気配が、変わっていた。
泥のようにまとわりついていた空気が、軽くなっている。
「──息苦しさも感じません。いつもの山のようです」
「──じ、自分が弓を鳴らしたときとまるで違います。霊鳥を連れておいでとはいえ……儀式の場もないのに……これは」
「──す、すごい。このまま山頂まで全力疾走できそうだ」
太田黒さんたちは深呼吸。
みんな顔色が、よくなってる。平衡感覚の異常も、消えたみたいだ。
「…………ふぅ」
俺は『無音転身』を解除。
呼吸を整えてから、大田黒さんたちの方を見る。
「とりあえず。落ち着いたみたいですね」
「は、はい。楽になりました。これが……月潟さまのお力なのですか!?」
「俺は杏樹さまに言われた通りにしただけです。あとは、霊鳥『緋羽根』の力ですよ」
『クククルゥ』
『緋羽根』は、どんなもんだい、って感じで胸を張ってる。
これが『鳴弦の議』。
弓弦を鳴らして場を清めるものだ。
大田黒さんの言う通り、普通は巫女が霊獣や霊鳥、精霊を連れて、儀式の場を整えて行うものだけど……杏樹は、俺ならできる、と明言してくれた。
たぶん、それだけ『緋羽根』の力が強いってことだろうな。
3文字の霊鳥だもんな。邪悪な結界くらい、浄化できて当然だろう。
「お前はすごいな。『緋羽根』」
『……クル?』
『緋羽根』は首をかしげてる。
うん。本当に強い者というのは、自分の強さもわからないもんだよな。
『緋羽根』が平然としてるのは、そういうことなんだろう。
「では、先に進みましょう」
弓を鳴らしながら、俺たちは社を目指して歩き出す。
俺は周囲の気配に耳を澄ませる。
術を仕掛けた者が、近くにいるかもしれないからだ。
敵が弓弦の音にも気づいたなら、動きがあるかもしれない。
「……いや、近くにはいないか」
俺たち以外の気配はまったくない。
そもそも、山に施されている術のせいで、山には獣や鳥もいない。
その分、周囲の動きが読み取りやすくなっている。
山で行われたのは、この地に邪気を呼び込むための儀式だろう。
だから空気が重く、山道がゆがんで見えている。
山に入った者は気分が悪くなるし、邪気への耐性が弱い者は動けなくなる。
「……その目的はなんだろうな」
──山に邪気をため込んで、魔獣を呼び込むためか。
──その魔獣で次町を襲わせるためか。
──あるいは、紫州と錬州を繋ぐ街道を封鎖するためか。
いずれにしても、ろくなもんじゃなさそうだ。
「……見えてきました。あれが、魔獣避けの社です」
大田黒さんが前方を指さす。
そうして、見えてきた社は──
「……社に魔獣の心臓部分……『魔獣核』が捧げられてる。地面に撒いてあるのは、魔獣の血か? なんだこれは」
『魔獣避けの社』と呼ばれていた場所は、異形の姿に変わっていた
びぃん。ぶぉん。ぶぉん
俺は反射的に三度、弓を鳴らす。
邪気を強めに祓うためだ。
それほど、ここは異常な場所になっていた。
「ばかな!? 『魔獣避けの社』が、異形の姿に!? 地面に描かれている文様はなんだ!? どうして山の守りが、こんなことになっているのですか!?」
大田黒さんが叫んだ。
兵士たちも、真っ青な顔になっている。
社は破壊されているわけじゃない。というよりも、壊されているよりも悪い。
なにかの術式で、異形の姿に変えられている。
間違いなく、山の異常の原因はこれだろう。
鳥居に掛けられていたらしい注連縄は、地面に落ちている。
そこに染みこんでいる赤黒いものは、魔獣の血だろう。
小さな社は扉が外れている。
以前は酒と清水が捧げられていた場所に入っているのは『魔獣核』だ。
魔獣の心臓部が浄化されないまま、社の中に詰め込まれている。
さらに、社の周囲には奇妙な円が描かれている。
魔法陣のようなものだ。効果や意味はわからない。
ただ、ろくでもないものなのは、間違いなさそうだ。
「……な、なんですかこれは。なんなのですか、これは!!」
「「こ、こんなことが……」」
太田黒さんや兵士さんたちは、呆然としてる。
山を守るための社が、異形へと変わっていたのだから当然だ。
「泉は!? 浄化の泉は……!!」
太田黒さんが駆け出す。
目的地は社の後ろ。小さな岩壁。
そこに清浄な水が湧き出す泉があるらしい。町の者の喉をうるおして、地面に撒けば、弱い魔獣を近づけない。そんな力を持つ水だ。
その泉は──
「……埋もれている、だと」
「ひどいな。これは」
『……クルン』
泉は、崩れた岩壁の下敷きになっていた。
誰かが岩壁を崩して、泉を埋めたんだ。
ご丁寧に、その上には魔獣の体毛と血が撒かれている。
これは……山の霊力を乱して、壊して、汚す術だ。
「だ、誰がこんな真似を!!」
悪寒や吐き気を忘れたように、太田黒さんが叫んだ。
「山に関わる者であれば、こんなことはできぬはずだ。山の霊脈を乱せば、町や街道がどうなるかわかるだろうに。何者の仕業なのだ! これは!!」
「……次町の者には、こんなことはできません」
「……町の者なら、社と泉の重要性がわかるはずだ」
兵士の人たちも、泣きそうな顔をしてる。
これはたぶん、鬼門での事件の再来のようなものだ。
副堂沙緖里が【禍神】を喚んだように、この地でなにかの儀式をやった奴がいる。
それが山を邪気で満たして、異様な結界を作り出したんだ。
「……人の仕事を増やすんじゃねぇよ」
ようやく杏樹は紫州を取り戻したのに。
州内も落ち着きはじめて、副堂の領地だった次町も、新しい体制で動き始めているのに。
誰かが怪しい儀式で、その邪魔をしようとしてる。
俺と杏樹の仕事を増やそうとしてる。
「悪い。『緋羽根』。浄化を頼む」
『クルル』
「たぶん、社にある『魔獣核』と、魔獣の血と体毛が、邪気を生む儀式の源だ。お前の炎で燃やして欲しい」
『……ルル』
「邪気が弱まれば、この場所に精霊たちが来られる。杏樹さまから浄化方法も聞けるはずだ。頼む」
『ルルル』
『緋羽根』が俺の肩から飛び立った。
俺は社に近づく。一歩、進むたびに、邪気が濃くなっているのがわかる。
まるで泥の中を歩くようだ。
でもまぁ、進めないほどじゃない。
邪気は常に一定の勢いで流れているわけじゃない。
川と同じように、流れの強い場所と弱い場所がある。
流れの弱い場所を通って、邪気を受け流せばいいだけだ。
「これをやった術者には、たぶん、専用のルートがあるんだろうな」
それを探している時間はない。
というか、めんどくさい。
俺は太刀の鞘に霊力を込めて、社から『魔獣核』を掻き出す。
白木の鞘だとこういう時に便利だ。
雑にあつかっても怒られないからな。安いし。
魔獣核は流水にひたすと、きれいな霊力の塊になるんだけど……こいつは駄目だな。
密集してたせいで、邪気が凝り固まってる。
これを利用した術が、山の霊脈を汚染していたんだろう。
社が邪気のふきだまりになってたのは、そのせいだ。
「『緋羽根』。『魔獣核』と、ついでに血に染まった注連縄を燃やしてくれ。社の方は……確か大田黒さん、お酒を持ってましたよね?」
「あ、ああ。消毒用のものでございますが」
「分けてもらえますか? それで社を清めます」
「しょ、承知いたしました」
それから『クルル──ッ』という声とともに、『緋羽根』が炎を生み出す。
名前の通り、緋色の、輝かしい炎だ。
炎は『魔獣核』と血染めの注連縄をあっという間に包み込む。
煙の代わりに、黒い霧のようなものが生まれて──消えていく。
それを見ながら、俺は社に酒をかける。
「後ほど、正式に浄化の儀式を行います。今はこれでお許しください。土地神よ」
それからまた、俺は弓を借りて、弦を鳴らした。
『緋羽根』が発する炎の霊力が広がり──邪気が消えていく。
元々ここは岩場に面した山の中腹だ。変な儀式さえしなければ、きれいな風が抜けていく。
その風が、よどんだ空気を吹き散らしていった。
「……は、はぁ」
「……やっと落ち着いて、息ができる」
「……ありがとうございます。月潟どの」
大田黒さんたちが地面に座り込む。
汗を拭って水を飲むと……顔色が良くなってる。
さっきまで、3人とも真っ青な顔をしてたからな。回復してよかった。
「杏樹さまに教わった通りに浄化しただけです。でも……泉を元に戻すのは手間ですね」
「山に入れるようになっただけでも十分でございます」
大田黒さんと兵士さんたちは深々と頭を下げた。
「ありがとうございました。これで、町の者も山に入れます」
「「ありがとうございました!」」
「……これはやはり錬州の仕業でしょうか」
疑わしそうな顔で、大田黒さんは続ける。
「錬州候の嫡子は、近くの街道を通って、錬州に戻っているのでございます。なにか仕掛けをしていった可能性は、十分にあると思えますが……」
「結論は他の社を調べてからにしましょう」
俺は言った。
たぶん、他の2つの『魔獣避けの社』にも、同じことがされているはずだ。
全部浄化してから、術者の手がかりを探そう。
結論を出すのはそれからだ。
「それじゃ、次の社へ案内してください」
「承知いたしました。街道の近くを通りますので、ここからは別の道を──」
大田黒さんが言いかけたとき──
「…………うおおおおおおおぉ」
──かすかに、人の叫び声が聞こえた。
同時に、甲高い笛の音と──魔獣の声も。
「聞こえましたか?」
「は、はい。あちらは州境に通じる街道でございます。でも、誰が──?」
「様子を見に行きます。大田黒さんたちは、後から来てください」
社を浄化したことで、邪気が薄れてる。
今なら、大田黒さんたちも普通に動けるはずだ。
俺は『軽身功』を発動。
山道を無視して、音が聞こえた方へと走る。枝を蹴って飛び上がると──見えた。
『キシュシュシュウウウウウウアアアアアァ!!』
【アオヤミテンコウ】が空を舞っていた。数は数体。昨日よりも少ない。
生き残りがまだいたらしい。
奴らは地上の方を向いている。さらに木々を蹴って進むと……岩場を通る、細い道が見えた。
次町から北へと続いている。錬州に繋がる街道だ。
そこに馬車と、兵士たちの一団がいた。
地上で兵士たちを囲んでいるのは、大型種の【クロヨウカミ】たち。
空中からは【アオヤミテンコウ】が、一行を見下ろしている。
「「「うぉおおおおおおおおおおっ!!」」」
叫んでいるのは、兵士たちだった。
青ざめた顔で、魔獣を威嚇するように叫んでいる。
このあたりはまだ、邪気の影響が残っている。
となると、やはり他の『邪気払いの社』にも、魔獣の残骸を使った術が施されていると見た方がいいな。
「……太田黒さんの予想は外れたみたいだな」
太田黒さんは、社で怪しい儀式を行ったのは錬州だと考えていた。
でも、違うかもしれない。
街道にいる馬車には、『翼を持つ蛇』の旗印があるからだ。
『翼を持つ蛇』──それは錬州の紋章だ。
つまり、あの一行は、錬州から来た連中だということになる。
社で儀式を行ったのが錬州の者なら、わざわざ邪気の中を通ってきたりしないだろう。たぶん。
「……魔獣ども。吐き気と悪寒さえなければ、貴様らなど!!」
先頭にいるのは、大剣を背負った青年だった。
斬馬刀とでもいうのだろうか。長さは1メートル半以上。
鞘が『銀糸』で飾られている。
青年の右腕には、翼を持つ蛇が絡みついている。霊獣だ。
「我が霊獣『騰蛇』よ! 風をもって邪気を吹き払え!!」
青年が宣言した瞬間、翼を持つ蛇──『謄蛇』の身体が震えた。
同時に、青年の大剣に霊力の光が宿る。
「『銀糸鞘』の近衛、沖津の剣は伊達ではない!!」
青年が大剣を振ると──暴風が生まれた。
巻き込まれた一体の『クロヨウカミ』が吹き飛ばされる。
空中にいた『アオヤミテンコウ』が、風にあおられてバランスを崩す。
周囲の邪気も、少しだけ薄れた感じがする。
「今だ! かかれーっ! 魔獣を全滅させるのだ!!」
「お待ちなさい!!」
不意に、馬車の中から声が上がった。
「魔獣をすべて倒す必要はありません。戦闘は最小限に。紫州に急いでください」
「戦闘はこの沖津に任されております!」
「この使節の責任者は真名香です!!」
馬車の扉が開き──小さな少女が姿を見せた。
本当に小さい。年齢は10歳前後だろう。
着ているのは白い衣に緋袴。巫女服だ。
「紫堂杏樹さまにお目にかかり……敗北を認めた上で、新たな関係を築くのが、この蒼錬真名香の役目。武威を誇るのは後になさい!!」
小さな身体を震わせながら……少女はそんなことを言ったのだった。




