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A2:洗脳密令  作者: HasumiChouji
第一章:毒戦寒流
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(9)

 そして……そろそろ外では通勤ラッシュの時間帯に突入する頃には、世にも馬鹿馬鹿しい同業者同士の喧嘩は終った。

「例のマンションを監視てたそっちの警官の内、2人が、一旦、行方不明になった。最後の手掛かりは……」

「ええ、あの駐車場の監視カメラの映像。あのマンションを監視してた不審な車を追って、あの駐車場に入ったら……そこからは、監視カメラの死角になってて、一切不明です」

 いつの間にか、公安側の刑事の口調が……敬語になっていた。まぁ、初手が予想外の事になって公安のシナリオは全て狂った上に「ある程度」とは言え、体調や感情その他の心の変化を読める」能力を持つ、ウチのチーム長には芝居もポーカーフェイスも全て見抜かれる。

 チーム長は、表情やジェスチャーで相手が嘘やごまかしをやっている時には、あからさまに表情を変え、それとなく「ごまかそうとしたら、すぐに判るぞ」って事を伝え続けた。

 それなのに「落ちる」まで、ここまで時間がかかっただけでも大したモノだ。

「ところが……戻って来た……。身元不明の謎の怪我人として、病院に担ぎ込まれていたと……」

「現場復帰まで4ヶ月から半年……リハビリ含めてね……。現場復帰出来るまで回復するとしてですけどね」

「で、追ってた車は?」

「レンタカー。借りたヤツは中背だけどゴツい体の三十代の男。言葉に若干の九州訛有り。免許証は偽造。借りた時の服装は企業名なんかが一切入ってない作業着」

「偽造とは言え、免許証は出したんですよね?」

「ええ、レンタカー屋でコピー取ってますんで、顔は判りますけど……おい、アレ持って来い」

「え? 部外者に見せても……」

「この後に及んで仕方ないだろ……」

 しばらく後、公安の下っ端が免許証のコピーを持って来たが……。

「何すか、これ?」

 免許証の顔だけ……写りが不鮮明だ。

「偽造免許証の写真の所に細工がしてあったようで……レンタカー屋の店員の話では目で見る分には普通に見えますが……コピー取った時に変なノイズが写ってしまってるみたいなんですよ」

「似た手口を使うヤツに心当りは?」

「無し。他の部署や他県に問い合わせ中です」

 そこまで状況が整理出来た時、顔中が傷の応急治療の跡だらけになった相棒が手を挙げた……。

「あの……今更ですが……要は……この大騒ぎって……公安さんの失態隠しから始まった事なんですか?」

 そうだ……。警視庁の公安は、自分達の仲間を拉致したヤツの手掛かりを得ようとして……「異能力者」が関わっている可能性も調査しようとしたが、その手の事に詳しい人員が居ない。そして、ウチに失態がバレたくもない。

 その結果……公安がやったのは……手は込んでるのに、極めて安易な真似。

 正体を隠して、私達……と言うか私の相棒に調査をさせようとしたのだ。

 だが……私の相棒は「魔法使い」の家系……身内を人質に取って脅そうとすれば、返り討ちに合う可能性が有る。

 なので……「精神操作系の異能力への抵抗力」以外の異能力を持たない……おそらくは家族も似たようなモノであろう……私の家族を「人質」にする事にした……と云う訳だ。

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