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空の理  作者: 雨世界
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 でも、バスは止まってくれなかった。

 運転手さんも、なんの反応もしてくれなかった。(もしかしたら、このバスには運転手さんなんて初めからいないのかもしれないけど……)


「ちくしょう」と空は言った。(ちょっと泣きそうになった)


 こうなったら、強行手段しかない。

 いつものように、思いっきり暴れるしかない。


 あらゆる場所をぐちゃぐちゃにして、ばらばらにして、壊して、そうやって、この場所から出て行くしかないんだ。破壊して、そうやって私はこの場所から脱出するんだ。(生きるために)


 空はバスの出入り口のドアを見る。


 空は思いっきりそのドアを蹴飛ばした。でも、水色のバスのドアはそれくらいの力ではびくともしなかった。


「……ちくしょう」

 と、今度は泣きながら空は言った。(足もすっごく痛かった)


「開けて!! お願い、開けてよ!!」


 どんどんとバスのドアを蹴飛ばしながら空は叫ぶ。でも、バスの中に変化はない。ドアは開かないし、運転手さんが騒いでいる乗客(空のことだ)の様子を見にくることもなかった。


「お願い!! 開いて!!」

 泣きながら、空は水色のバスのドアに体当たりをしようとした。


 その瞬間、(空の願い通りに)バスのドアが自動で勝手に開いて、空の体はバスのドアに当たることなく、そのままバスの外側に体当たりをしようとした勢いのまま、飛び出した。


 やった! 開いた!


 そう思ったのと同時に、空は青色の空の中にたった一人で投げ出されてしまった。(バスは白い雲の上ではなく、いつの間にか青色の空の中を飛んでいたのだ)


「きゃああああー」

 空はそんな大きな悲鳴をあげながら、青色の空の中を落下し始めた。自分の暮らしている広大な緑色の大地の上に向かって。


 深田空は、そうやって、その日、青色の空を飛んだ。

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