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異世界勇者の人助け  作者: 鳥羽こたつ
1章
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沢山のバツ印

コロナは今月末にピークを迎えると、あとは収まっていくらしいです。頑張ります。

「オールXって、あははっ、見たことないっ!そりゃウィンドウも開きたくなくなるよね、はははっ」


私をここまで連れてきてくれた少女は、赤子以下の数値が書いてあるうぃんどうを見て腹を抱えて笑っている。


「というかそんなんで救える世界って、ははっ、イージーにも程があるでしょ。あははっ」

「……」


それを言われると反論できない。

というか、さっきのすてーたすの話が本当だとすると、この世界の人間って強すぎないか。どうして私はそんな世界に辿り着いてしまったんだろうか。


「基礎パラメータはわかったけど、じゃあ住所とかどう?」

「あ、あぁ。そうじゃったな」


…ぱら?またよくわからない単語が出てきたな。

それにしても、すてーたすうぃんどうは住所とかもわかるのか。確かにそうやって個人情報を見ることができるならば、あまり他人に見せたくないな。自分ではうぃんどうを出せない以上、今回は仕方ないと思うが。

鑑定士は複雑な表情を浮かべながら、私のうぃんどうを指で動かしていく。横から覗いてみるが、結局見えるのは沢山のバツ印だ。


「…住所、なくない?」

「それどころか、生まれや歳さえも…」


小さな声で少女が呟く。まさか、私の個人情報すら測定不能だということだろうか。

いや、おかしなことじゃない。このすてーたすがどうやって測定されているかはわからないが、私の生まれ故郷はこの世界には存在しない可能性がある。

そう考えると、住んでいるところや故郷なんて測定できないはずだ。そもそも街の存在がないのだから。

つまり、この世界の基準では、私を正確に測定することはできないのだろう。あー、安心した。これで私が赤子以下の可能性は下がったぞ!


「鑑定士さんさぁ、こういうケースって見たことある?」

「ない。彼女のステータスは不思議なことだらけじゃ」

「てことは、あなた本当に」


少女がそうやって何かを言いかけた時だった。

突如大きな振動が起きたかと思うと、それと同時に人々の悲鳴が聞こえる。耳を澄ますと、獣の鳴き声のようなものまで聞こえた。

何が起きたのだろうか、そう思っていると勢いよく扉が開き、一人の男が血相を変えて飛び込んでくる。


「何事?」

「モ、モモ、モンスターの大群です!」

「はぁ!?」

「街の外からっ、来てるんです、大群がっ!」


男が必死にそのことを伝えてくる。顔を見ればどんなに危険なことなのか想像がついた。


「ちょっと、どうするつもり?」


外へ出ようとする私を、少女が腕を引っ張って止めにかかる。そんなのお構いなしに振り払うと、私はそのまま扉を開けて駆け出した。

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