漏れた秘密
予想したとおりアイデアというのは簡単に漏れてしまうものだ。ただ、予想外だったのはすべてが漏洩したのではなく部分的に漏れて拡散しなかったことだ。秘密を求めて金を払っているのだから当たり前なのかもしれない。秘密は拡散することなく別々に漏れた、その結果起こることまでは予想はできていなかった。
秘密に懸賞をかけた商人は、褒賞を与えた。
「約束どおりに報酬をもらいに来た、これが言われた品物だ」
「これですべてなのか? 聞いていた話とすこし違う気がするが」
「3つのうちの一つだ、全ては手に入らなかった。数を管理されていたために、元のものを複製してもってきた」
「一つだけでは、すべてを揃えればもっと金を払おう」
「以前とは違った監視が厳重になっている。今は無理だ、要らないのならば別のところに持っていく」
報酬を渡したものの、出来上がったものは最終生産物に至らないものだった。それと品質においても多少劣っていた。大量に作ると価格が下がってしまう懸念があった。3つのものを別々に売り付けることで高く買い取らせようという魂胆もあったのかもしれない。
村外での布製品の生産が増えた結果、すべての秘密を保持しているこの村にしわ寄せが来た。綿から糸ができても布ができなければ商品価値が低い。糸を売るのにこの農村に糸が集まった。綿花から種を取り出しても綿から糸、そして布を織るまで工程が達成できず、綿花が集まっていた。
布の供給が増えたことで、価格が下がっていったが、逆に需要が急激に増えて価格は上がっていった。服自体の供給はあったが新しい服を欲していたのであろう。同じものが安定的に供給されることで物の価値が一定し、その商品を利用したものが新しく生まれてきていた。布地から新たに染色をし始める人が出てきて、更に需要は高まった。布地は以前のものよりキメが細かく、丈夫に編まれていた。
この漏洩の影響は農村の意識が秘密の保持に傾く結果となった、大々的な犯人探しを始まったのだ。
「秘密を漏らしたものを探し出せ」という村人の怒声が響いていた。というのも、他で生産が始まるにつれて価格が下がってしまったので、もろに収益に影響があった人々がいた。代官に依頼して断られたことが、自動的に達成された。
農村の経営状況がわかっていなかったが、新しい農地の開拓のためにかなりの借金があった。布製品の売買が農村の経営に多大に影響を与えていて、領主や代官も犯人探しにあたった。誰かが急に金遣いが荒くなったという噂が経てば糾弾会が開かれるほどになっていた。
疑われている人が代官の家まで運ばれてきていた。やや痛めつけられているのが傍目からもわかって痛々しい。
「犯人を代官に引き渡して処罰してもらおう」
「私は何もしていない」
さながら裁判のようになっていたが、代官が出てくるまで糾弾はやまなかった。
あまりにもひどい様相になっていたので、漏洩させた犯人側に立って弁護をすることになった。ほのぼのとした農村が殺伐化しつつあった責任を感じていた。そもそも漏洩させてはいけないということも発布していない。発明が効率をあげ、収益力をあげるという意識が代官に意識が芽生えさせることが目的が達成させればよかった。なのですでに目的は達成していて、これ以上の騒動は不要だった。
商人がどうやって嗅ぎつけて情報奪っていったのかが気にはなっていた。どのように新しい技術の移入の仕方がいいかを模索することになる。
「他にも儲かりそうな技術はあるので、この糾弾をやめるのなら提供しないこともない」
「しかし、村に被害を与えたけじめは必要だろう」
「代官には漏れるので対策をしてほしいと言ったがしなかった」
と言って、漏洩させた側に責任はないという主張をした。
領主の娘の一言で代官は凍りついた。
「このことはお父様に詳しく報告させてもらいます。」
「それだけは・・・」
犯人にされた人達は村内での立場が危うくなったので、私のもとに身を寄せることになった。こうしてある種の派閥が生まれることになる。
簡単に作れるものに限定していたので、漏れたらたちまちコピーされてしまった。例えばコンピューターを使った制御するものを使えば、簡単には模倣することは難しくなるがそうしなかった。機械工業が発展して鉄で機械製品を作っていったほしいという希望があった。
この農村の問題点は、資本が領主に集中されているために、農民の個人が欲しい物が発展しない。領主が使うものにだけ金と手間をかけている場合が多い。これを農村の発展に使えばもっと発展するのではないかと考えている。農民のほしいものの市場がなかなか発展していない、そこに来て服というアイテムが爆発的に広がった。
各家の中で生産されていたものを、工場内で限定して生産することに領主代官、村民の全体の意見が一致した。これ以上漏れると、儲けがほとんど以前と変わらなくなってしまうという恐怖感からだ。領内すべてで導入して、更なる生産の向上といきたいところだが。綿花の生産量がそれほど増えず、原材料の調達が難しくなっていた。そのために、布製品の発展はいったんとどめておき、機械製品と、農業生産に振り向けることになった。あくまで私の方針だけど、
以前の水車でも製図の違いから手書きで図面を修正する必要があった。製図を統一して、プリンターから出力したものを大工や鍛冶に渡すことで依頼した。その結果、大量に同じものを注文が可能になる。こうして、水車を大量に作った。大量に作った水車で製粉を行うことになる。もちろん水車大工の親方が戻ってきてからになる。
機械工業の始まりを描きたい。




