コピー商品
綿の種取り機、糸車、飛杼について代官に説明しに呼ばれていた。これらの布製品を作る効率を上げる道具をどう扱うかという問題が残っていた。道具自体は今まで操作にアイデアを足しものなので、なれている人間はすぐに使いこなしていた。これらの機械を通して、機械を導入する考えを根付かせたい。
代官の反応は
「この機械で、綿、糸、布それぞれを作らせればいいのだな、これを各家々に配布させよう」
「いいえ、機械は作りが簡単なことがあって、簡単に複製されます。もしこの農村以外に漏れればたちまち広まり、この農村での優位性がなくなるでしょう。なので扱いは一箇所にまとめて、秘密を守らせるのがいいと思います」
「しかしだな、元々それぞれの家でで作っているので、工房自体がないぞ」
道具が漏れたら価値はなくなる。結果としては道具を一定の価格で貸し出すことで合意した。売ると外に漏れるかもしれないと言う理由でだ。まぁ、どっちにしろ時間が経てば漏れるのだけど。
「10倍の生産性になっても、手取りは5倍にしかならなかった」
という愚痴が生産者の中で漏れてきたが、生産を増やして生産者をまとめても出てきた。
工房を設立する者から「もっと効率が良くなる道具がほしい」という要望が寄せられた。
ただ、現在は大工や鍛冶が作れる範囲内での道具しか渡していなかった。
流通が多くなると物の価値が少し下がった。それ以上下がりそうになると村以外に売ることで価格は維持されるようになった。
時給千円のアルバイトが10倍の生産性になって時給一万円になったら、もっと稼ぐ人とほどほど稼いで休む人が出てくる。生産性が上がったのは道具に依存しているので、道具が広まれば逆に物の値段が下がっていく。そしてもっと生産性が高い道具、機械を求めるようになる。結果的に儲けるのは、道具を売っている人だけなのかもしれない。ただ、その結果、人々は物の値段が下がったことで生活の質は向上していくのだろう。
綿の生産が、糸や綿の生産に追いつかなくなり、周辺の村や都市から綿を買い求めるようになった。その結果生産が大きくなり物がたくさんできると、周辺の村や都市は訝しみ人を送って確認させようとした。
「なにか、秘密があるはずだ。これだけの綿を大量に買取、布を生産する秘密が。原因を突き止めたものには金貨100枚を与えよう。」周辺の都市の大商人は綿花を大量に集めている秘密に懸賞をかけていた。
街に訪れた人々が見たものは、見慣れない服を着た村人が多くいる光景だった。
「この村人の服は一体、この前に来たときはこんな村ではなかったのに」
「最近になって新しい服が流行ってね、皆が着るようになったよ」
「これはどこで作っているのか知っているか」
「これは村のものではなく、最近代官が仕入れて服屋で売られるようになったものさ。こっちはこの村で作っているものだ」
「作り方の秘密がないのかな、最近いっぱい作っているようだけど。これくらいの金額で教えてくれないか」
「それは、言えないことになっているがまぁ少しだけ…」
Tシャツのゴムが作れなくてデザインが変わってしまった。けれど、現代の服を着ていても目立たないぐらいには服が多様化していた。
飛杼や糸車などは作るのが簡単なのですぐにコピーされるだろう。そしてコピーされて農村以外のところにも広がれば、農村の優位性が一気になくなっていく。そして、綿製品の利用が一気に広がっていくと思っている。
ナビシステムの話をしたい。危険に対して対処してくれるはずだったが、引きずられていったときも、あまりなにかしてくれるわけではなかった。だからこの際、ナビについてより詳しく調べる必要性を感じてきていた。
元の世界との物のやり取りの中で、ナビシステムの質問はしていたがより詳しくは解説されていない。というよりか、マニュアルを読んでくれという話であった。
異世界に転移する機能はナビシステムに統合されている。言葉や文字もナビシステムを介して自動的に翻訳されていることがわかっている。ナビシステムはプログラムを読み込むことで機能が拡張できる。自己防衛のための兵器もナビシステムに一元管理されている。はじめの頃は頻繁に注意をしていたナビシステムも最近はあまり存在感がなくなっていた。どうやら、スリープモードに入っていたようである。エネルギー供給が転移や連絡に割り当てすぎていたようだ。今までは、それほど安全に問題がなかったが、これから大きく発展に関わっていく中で人の注目を集めると安全にも気を配る必要が出てきそうだ。
この世界での兵器は銃器というものは存在していない、弓矢はあるがボウガンほどのものはない。火薬は発明されているかもしれないが、使っているところは見たことがない。刀ではなく剣のぶきはあるが、農具のほうがよく見かける。ナビシステムには銃器類がセットされていたので、単体で戦えば勝てるかもしれない。複数に囲まれると難しそうだ、戦闘にならなければいいのだが。




