工場制手工業
代官と詰めかけてきた村民との対話は代表者を集めて行われる。服を売ることは決まっているが値段、誰がどれだけうるかは決まっていない。つまり細かい内容はこれから。
「ここに集まってもらったのは村内での混乱を解決するためである。この会議自体を意義あるものとするために、忌憚なく意見を聞きたい」という代官の発言で会議が始まった。
それに対して、服の生産に関わっている人の意見。
「販売自体をやめれば問題は起きないのですぐに販売をやめていただきたい」
「売らない、高く売るという選択肢はない。それ以外の方で何かあれば意見がほしい。」
服の生産に少しでも関わっている人はTシャツの販売自体に反対していたが、それができないのでその他の条件をなんとか引き出そうとしている。代官としては農村での税収が上がりすればよく、しかし、この農村内での秩序と産業の維持も考えている。話は平行線をたどっていた。
「駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人」という言葉がある。綿を栽培する人、糸を紡ぐ人、布を織る人、服を縫う人、羊毛に毛皮、それぞれ農村にいる。その人すべてを敵に回すと農村にいられなくなる。それぞれの代表者が代官の屋敷に集まり決定が行われるようだ。なぜか私も呼ばれている、ただ単にこの問題を起こした元凶だからだろう。
大抵のことは代官が決めることになるが。この事態を引き起こした元凶、つまり私にも意見を求められた。
「代官としては、この農村内での収益が多くなることが望ましいのですよね。しかし雇用の維持をしないと農村が荒れそう。」
代官は静かに同意した。「わかっているとは話が早い、なにか考えはあるのか」
「話をまとめると、農村の税収が増える、服は自由に買いたい、仕事がなくなると困る、今までの服が売れなくなる。逆に考えてみると、服が売れて、仕事が増えて、自由に服が買えて、税収が増えればいいわけで…」
「そんなうまい話があるか」と農民の代表者が声をあげた。
「関税をかけてもともとの生産者に分配するという方法もある。だいたい段階的に分配金を減らしていく。」
「つまり、何をしなくてもお金がもらえると」
「あくまで生産量に応じた配分であって、何もしなくてももらわれるわけではない」
この保護貿易の問題点は生産者の改革が進まず、むしろ保守的になって逆に衰退する場合がある。もちろんこういったデメリットは言わないけど。
「生産設備を導入し、この村内での生産に切り替える。村で生産して、服を大量に売るという方法もある。そして、これがその機械です。」
一番持っていきたい方向がこっちだった。資金を得るためには商品が大量に売れるのは良いのだけど。動力の用途開発のためには紡績と織物の産業自体は残っている必要がある。
「今回の会議はここまでとする、後日意見をまとめて報告するように」という代官の言葉でお開きとなった。
代官のもとに残り機械について説明する事になった。
一つは綿の種取り機、もう一つは糸車、最後は飛杼。それぞれ自動機械というより手動の延長にあるものだが、生産性自体は大きくなる。代官の反応は概ね好評ではあったが、これでは銀貨一枚では作れないだろうという結論に。つまり「まだなにか他の方法があるが隠しているな」といった雰囲気である。
水車と連結して人ではなく自動化するのが最初の目的で次に、蒸気機関へとつなげていこうとしている。私も1000円でTシャツが買える理由はわかっていないが、この世界より自動化したことで安く作れているのではないかとは思う。
この騒動が一段落したときに、持ってきた肥料の効果がわかった。肥料をやれば作物が増えると思って肥料を渡したが。茎に栄養が行き背だけが伸びて小麦は大きくならなかった。
「茎が伸びすぎて、穂の背丈が高くなり刈り取りにくくなった」と不評だった。ちゃんと小麦が育つという結果も得られた。作物の収穫量は刈り取る時期になるまではわからない。
そして自分の家庭菜園はようやく芽が出てき始めていた。もちろん元の世界の種で、ちゃんと育つかが気がかりではある。水撒きは散水機でこそ自動化しているが肥料や土の世話は自分でやっている。この世界で元の世界の種子が育てば、農業自体の生産が飛躍的に伸びるかもしれない。現代の農作物は短稈、背が高く伸びない特徴を持っている。種が収穫する前に落ちない。同じ時期に一斉に成長する。
コムギ品種ゲインズ 小麦農林10号
図書館自体は開くようになったが予約してしか借りれないので、探すという行為がやりづらいままである。次はサクッと工業化、製鉄業を発展させてしまおうかな。




