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蒸気機関の用途

 「蒸気機関というものがあるので、実際の動くのを見てほしい」と勢い込んで代官の屋敷に蒸気機関について説明しに行った。

「そうか、水車で良いことばかりだ。燃料が必要なら水車よりメリットがないな」などと理詰めで諭されて、追い払われてしまった。

 蒸気機関で転移装置に必要なエネルギーを確保したいが、代官にとって蒸気機関は必要ではなかった。全く用途が存在しないものに大金を注ぐ理由がなくそれ以降話が進まなかった。結局蒸気機関を作るという試みは頓挫する。蒸気機関を作るより用途を作るが必要となった。蒸気機関の使われ始めは鉱山の排水にあるつぎに、紡績、自動織り機、小型化しての機関車。そもそもそれほど鉱山開発が進んでいないし、綿花の栽培が多いわけでもない。


 そんな中、神官ならば違った反応をするのではないかと期待していた。そして面会の日がやってきた。

「これを見てほしい、蒸気機関というもので熱力学の法則で動いていて・・・」

「この機械で神の偉大さを民に知らしめるのですね。」

「いや、これを応用してなにかする方法を考えてほしい。」

「そういうことは、職人にさせておけ。私は神の声を効くことで忙しい。」

 神官に熱力学について書いても、応用ではなく根本原理のことを求められていた。結局の所、宗教的に原理が知りたかっただけなのだろう。だから生活改善を考える方向には進まなかった。理論を高尚なものと捉えて応用は卑賤と考えているようだ。



部屋を貸し出すならばしてはいけないことを書いておこなければと考え。


○部屋に入るには靴を脱いでスリッパに履き替えること。

○部屋では室内着に着替えること。


などと注意書きが張り出すこととなった。部屋に土足で上がる習慣があるので、家の中が汚れてしまいそうであった。土足の他に服もそれで、メイドに服を贈る事を考えたがこれはまずいことはあるのかと確認してみた。

「服を贈ることに特別な意味があったりしないかな。なんというか、風趣や習慣は地域ごとに違いがあったりするよね。」

「服は高価です。それだけの意味があると感じることもあるでしょう。大抵は買わずに親が作ったり、自分で作るものです。それはもう、愛しい人に服を贈るのはすごく素敵なことだと思うのです。だからきっと贈られた人は喜ばれるでしょうね。ただ、雇用関係にある人の場合では仕事の道具を贈るという意味が多くあるのでそれほど、特別な意味はありません。ですが、雇用関係にあったとしても服は高価なことは事実なので貸し出す形が一番適当だと思います。いえ、貰えるものは私はもらいますよ、ええ。」

「逆に同性のご近所さんに服を配るのは問題がないですよね?」


 すごい勢いでまくしたてられて。領主の娘に服を贈るのは辞めたほうが良いというのだけはわかった。

「というわけで、贈るのではなく売るか貸し出す形になりました。問題は服は売れるのか、この簡素なTシャツで銀貨一枚。この厚めな服で金貨一枚。Tシャツを配るぐらいでは問題ないよね。」

「ゴクリ、まずは最も身近な人間からですよね。」


遠巻きに話を聞いていた、近所の人がすっ飛んできた。

「話は聞いた、服をもらえるらしいな。うーん銀貨一枚だったか。」

「代官に服を売ってもいいかを相談してからで。商品は直接代官に卸すことになってるし。代官や領主に直接行って話をつけてくれば違うのだけど。」

「銀貨一枚かならこの肉と交換で良いな。ではもらっていくぞ。」

と言って話を聞かずに、肉を押し付けて去っていった。しばらくして、評判を聞きつけてぞろぞろと人がやってきた。銀貨一枚相当のものを持って並んでいた。そしてTシャツがなくなった頃に、勢い込んで現れた。


「ここで勝手に服を売っているやつがいると聞いたが、お前か」

「物々交換になってしまったけど、もともとは配ろうとしていたんだけど。」

「ただ、配るのはもっと悪い、うちの店を潰すきか。代官の屋敷までちょっと面を出せ」


 代官の屋敷までに引きづられている最中に再開した領主の娘と合流しながら代官の屋敷まで行くことになった。


「一体何をやったら私がいない間に揉め事を起きるのよ。」


代官の屋敷では、服屋の主張との対立があった

「この村での服の販売をうちだけに規制しろ」

「販売ではなく物々交換だけどね」


「もっと色んな服がほしい」という、領主の娘の意見もあった。


代官の決定は服を一旦代官が買取、服屋を通して販売することに落ち着いた。その服の大半は農村外に売られることも決定した。服の生産は農村での労働者が多く、反感を買うのが怖かったから。イメージとしては関税障壁をつけた保護貿易の感じだろうか。


服の価値が現代の100倍ほど違うという認識で、羊毛やシルクなどが高いのがわかるが、綿のものをそれほど高いのかが気になっている。現代では、機械が自動で糸を紡ぎ、糸を織って布にしていくので安いのだろう。

 銀貨一枚で卸したTシャツが服屋で金貨一枚で売られることになった。それを知った農民は服屋に怒鳴り込むこととなった。

「あの兄ちゃんは銀貨一枚と言っていたがなぜ金貨一枚で売っているのか、10倍ではないか」

 服屋にもともと布を納入していた、布屋も怒鳴り込んできた。

「これでは布地が売れなくなるではないか」

と言って服屋を引きずって代官まで連れ去っていった。Tシャツが高くなって抗議していた人と服、布、糸の商人が連れ立って代官に詰めかけることになった。そして問題の元凶たる、Tシャツを持ってきた人間も何故か連れて行かれることに。糸を紡いでいるのは女性が多かった。


 自分の視点で少し前に戻ろう

服を身近な人に譲渡することになって、その服を見た人々が、「私も欲しい」と言ってきたが、販売をできなくなった経緯を伝えると去っていった。その後、代官や服屋に女性の人だかりができ抗議が起きていた。すぐ収まると静観していたのが、次第に抗議の人数は増えていき、また強制的に連行されていくことになった。


 代官に連れて行かれてから少し考えていた、この農村全体の問題を一気に解決する妙案がないか。

 服の価値が現代の数百倍はありそうであった。羊毛やシルクはわかるとしてその他の麻なのか何なのかはいまいち判別ができない。ここで綿の服を持ってくるとこういう事件がおこった。紡績機や織り機がないので服が高価である、織り機も手作業の粋を出ていない、服を何着も持っていないようだ。現代のように自動での織り機がないだけで、手作業の延長にある道具はあるようだ。歴史から見ると、綿から種を取り出す機械、糸車、飛杼、織機の発展で産業革命が起きた。そうだ、それぞれの機械を買ってこよう。


 服を売らないように抗議していた集団より、服を買わせろという集団が多くなり。なし崩し的に販売が可能になった。ただ。そのまま商品を販売すると、この農村の呉服産業が潰れそうであった。



参考


綿から糸へ/体験篇


機械発達史 中山 秀太郎 (著)

図書館に行きたい、ネタが減ってきている。

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