鉄をつくる
また、代官から呼び出しを受ける。今度は代官から金属製品を現地で作ってもいいかと相談を受けた。鉄製品だったら、鉄があれば作れると考えたのだろう。刃物も作っているからできると思ったようだ。
代官「ノコギリや斧などは大量に必要なので、鍛冶職人に作らせたいが良いか。」
「私は作り方を知らないし、作れるのならばどうぞ。他のものを買い取ってくれるのならば構わない。」
代官「そうか、ならば鍛冶職人に持っていって作らせる。うちの職人は優秀だからすぐにできるだろう。」
「他に売れそうなものもあります。」
鉄製品だったら、鉄があれば作れると考えたのだろう。ただ同じものは作れないと思うので、「作れるのならばどうぞ」と答えた。そうして答えた内容が鍛冶職人に伝わり、挑戦と受け取ったようだ。
それから数日たち試作品ができて使い始めたようだ。
木こり1「ノコギリの試作品が届いたが、数回使うと折れちゃう」
木こり2「斧の試作品も、折れることはないが切れ味がすぐ落ちて刃がかけてしまう。」
木こりたちの不満が代官へと届き、鍛冶職人にも伝わることになった。そして、何故か代官に呼び出され、鉄の改良についてのアドバイスをすることになる。
代官「鍛冶屋に作らせたが、購入したノコギリや斧と性能が違いすぎる。ついては改良のための意見を聞きたい。」
「以前にも言いましたが、鉄は作ったことがありません。」
代官「いや、水車大工の話では作ったことがないものでも調べられるものは持っていると聞いている。」
「知識を提示することはできるかもしれません、ただ原料が違うような金属の場合はうまくいかないと考えている。」
現代の鉄の作り方と昔の鉄の作り方はだいぶ違っている。そのために、同じものを作るのは難しいだろうと考えている。ただ、これから機械を作って行くためにも鉄の生産に関わるのは必要になっていくだろう。
金属自体はあるのだから現地で調達を考えてみたがなにか現代と違いが有るかを調べる必要がある。金属の関係の資料を調べると昔の金属の製法にはわからない部分があるようだ。金属を加工するにはある程度柔らかい必要がある。その後に焼入れなどをすることで、長持ちするような金属を作る。そう現地にある金属が金属加工に向いているのかという問題である。
そして鍛冶職人との初顔合わせとなった。鉄の製法については代官さえも教えられないほどの秘密になっている。それでもなぜか鉄の作り方を聞きに来る事になっていた。
鍛冶職人「お前が、あの鉄を作ったのか」
「何度も言いますが、鉄を作ったことはありません。」
鍛冶職人「じゃあ誰が作ったのだ、すぐ折れるとか脆いとか言われて…」
「私は商品を仲介しただけで作り方は知らないし、というかあなたがどういう作り方をしているかも知らない。なので、資料だけを提示します。見いてください」
おもむろにタブレットを見せて製鉄炉の図面を表示する。
鍛冶職人「あー、あれ、なんで門外不出の設計図をお前が持っているのか。」
「なるほど、このタイプの炉だったのか」
参考
人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理 永田和宏 (著)
次は鉄で工作機械を作ろう




