始まりそして転移
大学に通って授業を受けていたはずが異世界に連れ込まれることになった。「この勉強はなんの役に立つのだろうか」ふとこぼれた発言が教授の耳に止まり。怒られるのだろうかと思ったらすごくいい笑顔をしていたが、後で呼び出された。
勉強をしている時に途中で嫌になった時になんの役に立つのだろうかと思うことが誰でもあるだろう。ただ、聞かれた相手が悪かったとしか言いようがない。そして、教授室にノックして入った。
「君を呼んだのは他でもない、勉強を実際に役立つような体験をさせたいと思ったからじゃ。ただし、予算があまりないので、いいものを貸してあげよう。そう異世界実験室とでも言うべき世界に連れて行ってあげよう」
という教授の言葉がさらに不安を掻き立てるものとなった。
社員研修で無人島で暮らす会社もあるそうだ。食料と水だけを与えられて、一週間程度無人島で生活する、現代生活のありがたみを感じるものかな。なにかのニュースで呼んだ記憶がある。そう言った無人島に連れ込まれるのだろう。
遠足に行くのにバナナはおやつですか感覚で、これは持っていいですかがあった。
「君、ちょっと異世界にいってみないか」と言われていくことになっても、そう便利じゃないところにいこうなんて思わないだろうし。
「安全なところなんでしょうね」と確認はした。
教授の説明によると
「これを装着してこのボタンを押すと…」
「ぽちっ」
説明どおりにボタンを押したはずだった。
「あっ行ってしもうた、装着してボタンを押すと異世界に転移すると説明をしようとしたところなのに。」
何故か視界が暗転したかと思うと知らない荒れ地に立っていた。装着した装置について確認する、ボタンを押すとと空間上に画面が表示された。取説っぽいものを選んでしばらく読んでいると。音声コマンドモードがあったので切り替えた。ナビゲーションプログラム(以降ナビと呼称)が有りある程度の平易な言葉で会話が可能なようだ。
「初心者向けガイドを開始します。まず、コーディネーターのいる場所まで移動してください。」
そしてマップが立ち上がりコーディネーターのいる場所が示された。
現地のコーディネーターに会う前に装備の確認をしたい。非協力的な人で襲われた嫌だなと言う理由から。
「ナビ、戦いに利用できそうな装備を検索」
ナビ「兵器装備一覧を表示します」
殺傷兵器の類いが多かったが、安全のために使用テストをした。辺り一帯が穴ぼこになったのは何かの間違いだろうか。いったいこの一国ぐらいが滅ぼせそうな兵器を持たせて何がしたかったのだろうあの教授は。防具は装備したが、性能を試す試す気にはならなかった。
説明を読んでいくと、この世界は言葉が日本語に変換されるが、名前も日本人っぽい名前に変換される。昔みた映画では登場人物が吹き替えで全員日本語名で呼ばれていた。そんな世界を想像してみたらいいだろう。現地の名前を聞いても覚えられる自信がないので助かる。だけど見た印象名前のギャップに苦しむ。さらに言葉が通じることと、意味が通じることは別でこの世界にないものを通じる言葉がない。相手が知っている概念やものでないと正確に伝わることはない。
この世界にはままならないことが多い、ただの無人島に連れて行かれるのではなく。そこに住む人々と交流を深めながら科学の発展を勉強するという課題なようだ。以前見た異世界転移は特殊能力を与えられて楽しく過ごしていた気がするがそういったことは微塵も感じない。
ここは本当に異世界なのだろうか、スマホの電波を確認する。電波は入らないようだ。GPSを確認する、屋外でGPSが確認できないところってあったかどうか。ここがただの外国なのではないかと言う疑念と、ゲーム的な仮想空間だと言う疑念を持っていたが、ものを持っていける仮想空間ってあるわけないな。