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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
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49.愛の助け合い寿司

大抵の商店というものは、その日一日の仕事が終わるとレジの中のお金を数える。そして記録紙の額とレジのお金を照らし合わせて、それが一致するかどうかを確認するのである。理論的にはレジで打った金額を出し入れするのだから、同じになるは当然。しかしお釣りの間違いとか、人間のやる事なので金額が合わなくなることがある。下手するとせっかく業務が終わっても、レジのお金が合わないために残業をして原因を追究しなければならなくなることがある。


そういった事態になることを防ぐため、私たちは前任者からの引継ぎから続いて『愛の助け合い貯金箱』というものを作っていた。

つまりレジ金の方が記録紙の額より多くなった場合、多い金額をその貯金箱に入れておく。そしてレジ金のほうが少なくなった場合、そこから出して金額を合わせ、10円、20円合わないために残って調べるという、レジ金残業をしないようにしていた。

それが長年の積み重ねでなぜかお金はたまっていき、助け合い貯金箱は何千円という額になっていた。


今度ABC9号店がケータイ薬局に売られることになって、そのお金をどうしようか。その店で働いている従業員の間で協議した。

ABC本社に渡すにしては、説明できないお金である。

かと言って、次に引き継ぐケータイ部長に渡してしまう義理はない。

「よし、寿司を食べよう」


あと数日で閉店という日の昼休み、私たち9号店の従業員は、そこから三軒隣にある寿司屋に行った。ここの主人も患者さんなので、顔見知りである。

「いらっしゃい。サービスランチですか」

「いいえ、にぎりを三人前お願いします。あ、領収書はいらないです」


その日私たちは、昼から寿司の、しかも上を食べた。

店の主人は、なかなか良いネタを出してくれた。


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