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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
48/54

48.転職活動

さて、どちらの会社にもいかないとなると、そろそろ自分の身の振り方を考えなければならない。


私は新聞で適当な求人を見つけると、電話をかけて面接の日取りを決めた。そこは中規模の調剤薬局のチェーン店で、面接したのはその会社の部長だった。

『今度こそ中くらいの器の人間だ』

ほほえみ社長のように自分の夢ばかり延々と話すのではなく、ケータイ部長のように作り話ばかりの面接ではない。やっと普通の就職の面接として自分の仕事の経験、自分ができる仕事の内容、そして自分が持っている仕事に対するビジョンを話した。


「いやぁ、敬子さんと話すと面白い。話がどんどん発展して広がっていきますね」

当時は未曽有の薬剤師不足の時代だった。余程の奇妙な人間でない限り、面接すれば会社からは採用の通知が来た。

私も面接してみて、この”中くらい部長”とならばうまくいくと思い、その面接した会社で働くことにした。

この数か月であまりにいろいろなことがあった。そのため安定した会社で、長い間落ち着いて働くことのできる職場が一番だった。


確かにその中くらい部長とは馬が合ったのかもしれない。私のことをそれなりに評価してくれて、次の会社に移ってしばらくの間は楽しかった。

楽しかった……が、それが続いたのは一年くらいの間だった。

そのことは今は関係ないので、後日談として別の日に書くことにする。


という経緯で、私は大した苦労もしないままに次の就職先が決まった。

あとはABC9号店の閉店に向けての残務整理だけである。


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