表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほほえみ社長  作者: とみた伊那
47/54

47.ケータイ部長もセコかった

一時、行方不明になったのかと思うくらいに連絡が取れなくなったケータイ部長が、新会社設立を公表してから、ちょこちょこ私が働いている9号店に顔を出すようになった。


   仕事…ではなく、遊びに。


部長職なのだから、何も平社員のように掃除をしろとか、粉薬を計れとかは言わない。しかし9号店に来てテレビを見たり、ケータイであからさまな世間話をしていたり、明らかにわざと遊んでいる。

「今日も朝、出社しなかったんだ。本社の人間は、もう私のことを何だと思っているのでしょうね」

それは楽しく遊んでいるというより、仕事大好きなのに、わざとサボッて見せているようだった。


新会社を作ると決めたのに、なぜまだABCを辞めないのだろう。不思議に思っているのが通じたのか

「あとは私の願いは、この会社から免職にしてもらうことです。免職ならば、辞めてすぐに失業保険がもらえるから」

ケータイ部長がきっぱりと言った。

そのためにわざと定時に出社しなかったり、出社した後もわざとらしくサボッていたのか。


ケータイ部長はもう新しい会社を設立し、そこの社長になることが決まっている。いわばABCの退職と同時に次の仕事があるのに、失業保険の何か月分かを当てにして、そのためにわざわざこんなところで時間をつぶしているのか。そんな小手先の小金を当てにせず、さっさと辞めればいいのに。


   セコい。


ほほえみ社長は常に何億のお金を動かすことを夢見ていて、目先の1円2円を大切にしなかった。しかしケータイ部長、くらげ課長の二人は目先の1円2円のことばかり考えていて、あまりに器が小さい。

「この人の新会社に行かなくて、やはり正解だった」


ちょうど良い大きさの器の人間を見つけるのは難しい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ