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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
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4.夢を追う男達・ジュンちゃんのダンナ

ジュンちゃんの転職の時、私の他にもう一人付いてきた人物がいた。

ジュンちゃんのダンナ、西野日出夫である。

 日出夫は長年一流企業に勤め、今は五十歳に手が届く年齢である。会社では営業成績もよく、深夜まで働いてそれなりの良い成績を残していたらしい。しかし少し前に会社の中で派閥争いが起こり、彼が属していた派閥の部長がその争いに敗れて会社を追い出された。それと同時に、日出夫も冷や飯を食わされる場所へと追いやられた。


しかし日出夫はそんな事ではくじけなかった。

忙しい仕事の合間に学校に通い、整体の技術を学んだ。会社が日出夫を辞めさせるための第二、第三の手をうった頃には、整体師としてのそこそこの技術を身に着けていた。そしてジュンちゃんの転職の話があった時

「じゃ、僕も」

と自分から勝手にほほえみ社長のところへ行って話を進め、その日のうちに会社に辞表を提出した。


ほほえみ社長の家は三階建てのビルである。

三階は社長の家族の居住スペースとなっている。一階を薬局として使うのと同時に、二階の社長の事務所を半分に減らしてもらい、開いたスペースにベッドを置いて日出夫が整体治療院を開くことにした。

つまり一階が薬局、二階が整体治療院、周囲は何軒かの開業医という、医療産業地域となったのだった。


「先ず行動すること。悩んでいたら何もできない。だから僕は給料とか休みとか細かい話は一切せず、ほほえみ社長に一緒に仕事をしましょうと言ったんだ。まず仕事を軌道に乗せてから、細かいことは決めていく。そうやって一から作っていくんだ」

日出夫は目をキラキラさせて私とジュンちゃんに言った。


さすが男というものは肝が座っている。度胸がある。

私には絶対無理、気が小さいから。


「無理だ! 」

「給料とか休暇とか福利厚生とか細かいことをきちんと話し合って、それから始めよう」

これは私とジュンちゃんとの会話。

女はあくまで現実に生きる。


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