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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
33/54

33.絵の気持ち

ロゼックスのコピー機と一緒にほほえみ社長が持っていったものは、薬局に飾ってあった絵である。

「これは高いんですよ」

社長がよく自慢していた。


そして薬局が売られる時

「この絵はダメです。これは高い絵だから、私が引き取ります」

社長はとっとと絵を壁からはずし、持っていった。


絵が無くなると、その壁はやはり寂しくなった。私は使われないカレンダーから手ごろな絵が印刷されてある一枚を切り取り、近くの雑貨屋から安い額を買ってきてカレンダーの絵を入れ、その場所に飾った。

美術、アートの感性を全然持たない私にとって、以前の高い絵とほとんど変わりなく店内を飾っているように見えた。


ほほえみ社長は常日頃から高い絵だと自慢していたので

「そんなにお金に困っているのなら、さっさとあの絵を売ってしまえばいいのに」

よくジュンちゃんと話をしていたものだった。


不思議なことにそれが何を画いてあった絵なのか、どうしても思い出せない。

あれは本当に高い価値のある絵だったのか。

あるいは高い絵だと思っている、社長のプライドのために必要なものだったのかもしれない。

いずれにしろ、あの絵は年中

「高い絵」

と言われ続けていた。


絵の気持ちとしては、たった一度でいいから

「きれいな絵だね」

と言われたかったであろう。


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