表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほほえみ社長  作者: とみた伊那
26/54

26.ジュンちゃんの就職が決まる

「敬子ちゃん、あのね」

ある朝のこと、ジュンちゃんが静かに話しかけてきた。

「私、ここを辞めることにしたの。前に勤めていた会社の社長にこの前会って、辞める前と同じ給料にするから戻らないかって言われて。それで、前の会社でまた働くことにしたの」

「え、どういう事? 」

ジュンちゃんは済まなそうに言った。

「先に決めちゃってごめんね、でもウチはローンがあって、これ以上給料が出ない状態だと、もうやっていかれないの」


止める理由はどこにもない。

ここにいたって、このままうまくいく可能性は万に一つもあり得ない。ジュンちゃんが多額のローンを抱えて大変なのは、前から分かっていた。

「そう、働く場所が決まって良かったね」

私はそれだけ言って黙ってしまった。


戻れる場所がある人はいい。

戻れる場所がある人がそこへ戻り、頑張っていく。何もとがめる理由などある訳がない。

だが、最初にここへ来ないかと誘ったのはジュンちゃんではなかったのか。

経営が危ないらしいと分かった時、

「ダンナがいるから頑張らなくちゃ」

と、踏みとどまるように言ったのはジュンちゃんではなかったのか。

そのジュンちゃんが、火だるまの職場を放り出して自分だけ先に就職してしまった。


裏切られた!


その思いを外に出さないために、その日一日はほとんど話をしなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ