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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
19/54

19.給料が止まった

処方箋が来ないために薬局としての売り上げがぱっとしない中、私たちの給料は岐阜にあるビルの家賃に頼っていた。何回かの遅配はあったが、何とかやりくりしていた。

そして開局して半年後、ついに給料が止まった。


「社長、今月の給料の振り込みがありません」

私たちは社長に迫る。いつもニコニコのほほえみ社長も、この日はさすがに笑顔が無かった。

「今、岐阜のテナントに電話して事情を聞いています。まだエステティック・サロンの家賃が入っていないのです。もう少し待ってください」

今度は社長がエステの経営者に迫る。


当時は不況だった。エステに行くお客さんも減ってくる→エステは家賃を払えなくなる→家賃が入らないと私たちの給料が出ない。

こうなると毎日の社長との挨拶は

「エステの家賃は入りましたか? 」

に変わってきた。


それと同時に、毎朝電話の確認という作業も増えた。

電話料金の未納により、電話が不通という状態が何度か起きたためである。朝出勤して電話が不通になっていたら社長の尻を叩き、電話料金を振り込みに行ってもらうのである。


そして朝になると、よく分からない会社から社長宛てに「お金を払ってください」というFAXが届いていたりもする。


この頃になるとジュンちゃんとの会話も

「今日、人身事故で電車が遅れたでしょ。私は社長が電車に飛び込んだのかと思った」

「そう、私も。でも事務所で生きていたね」

お金が無ければ、社長と言えどタダの人以下としか思われなくなっていく。


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