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ほほえみ社長  作者: とみた伊那
12/54

12.生ハム事件

この頃になるとそろそろ私たちも、社長はお金に困っている、ということにうすうす気づいてきた。


ある日の朝。

出勤すると店の前がすさまじい状態になっていた。店の前の道路一面にゴミが散乱しているのだ。

カラスだ。

誰かが出したゴミ袋をカラスがあさり、生ゴミをまき散らしていったのだった。


ジュンちゃんと私は仕方なく朝から店の前を大掃除。

生ゴミというのは、オフィスで出るゴミよりも臭くて汚い。他人が出したこのゴミを片付けるのは嫌な仕事である。

「これはゴミの出し方が悪いのだから、ゴミを出した本人が片付けるべき。何で私たちが掃除しなければいけないの! 」

と怒るジュンちゃんと私。


するとその気配に気づいたのか、微笑み社長が急いで事務所から飛び出してきた。

「どうしたのですか。あら、ひどい。私もやりますから」

そう言って、一緒になってそのゴミを片付けてくれた。


やれやれ。

掃除が終わってからのジュンちゃんと私の会話。

「ほほえみ社長、ああいうところは良い人なんだよね。汚い仕事も率先してやってくれて」

「う~ん。でも、もしかするとあれは社長の自宅から出たゴミかもしれないよ。社長の自宅のゴミ置き場でもあるから」

「いや、断じて社長の家のゴミじゃない」

断言するジュンちゃん。

「なぜ? 」

「だってゴミの中に、生ハムの袋があったもの。あんな高級食材を社長が食べられる訳がない」

「なるほど」


すっかり社長の貧乏に、私たちが慣れてきていた。


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