魔女に墜ちる
出会いは最悪だった。
曲がり角でぶつかるなんて、ベタな展開。
きみは、誰もが恐れる魔女だった。
でもぼくは怖くなかった。
だって、ぼくより背が小さかったし。
みんながきみを怖がった。
きみはいつもひとりで歩いていた。
その背中はとても小さく見えて。
魔女だって、ひとりは寂しいはずだと思った。
だから、ぼくはきみのそばにいることにした。
きみは魔女と呼ぶにはあまりに不器用で。あぶなっかしくて。
ほうっておけなくて。
これがきみの魔法なの?
きみは、たしかに魔女だった。