転
桃の干物から生まれた全裸の青年、桃太郎。
とりあえず捕縛されました。
「怪しいやつめ!どこから入ってきた!」
「私は安倍晴明の術により桃から生まれたのです」
「なにを訳の分からぬことを!」
お屋敷は大混乱です。
「使用人は確かに桃から出てきたとは言っていましたが・・・その・・・」
ちなみにここはさるお屋敷。京の都があったあの時代から幾年も経ち、桃は人から人へと渡り、今のお屋敷に着いたのです。
もちろん桃はカラッカラに干からびました!
尚、桃太郎誕生に居合わせた使用人のおばあさんはニヤニヤが収まらず怪しい雰囲気です。
こんなのから話を聞きたくない!っつーか証拠にならんだろ!
正論ですね。
「ふむ、桃太郎とやら。そなたはどのような目的で当家にやってきたのだね?」
渋いおじ様が聞きました。なんと素晴らしい声でしょう。ニヤニヤ婆さんがピクリと反応しました。
「私の使命はこの世に巣くう鬼を退治することです」
「当家に害を為そうというのではないのだね?」
「人を救うために私は生まれました。決して人を傷つけることはありません」
「どのように鬼を退治するのかね?」
「あの、旦那様。先祖伝来の書物にそれらしき文章を見つけてございます」
なんでも、桃太郎に出会いし者は彼に剣と共にきびだんごを持たせよ、とのことだ。
剣はわかる。産業革命から製鉄技術も発達し、ある程度の金銭で刀や西洋の剣を買うことが出来るようになった。
しかし、きびだんごとは?
機微団子?奇美談後?気火弾子?
なんじゃそりゃ。
「おほん。では先祖の言に従い剣ときびだんご?を渡すとしよう。あー、そこのもの」
「は、はい!なんでございましょ」
「そなたが、この桃太郎を見つけたのだったな。桃太郎に渡すきびだんご、そなたか支度しなさい」
「は、ははぁ!」
「よろしくお願い致します」
「きびだんご?団子?きび?ん?????」
無理難題を押し付けられた(元)ニヤニヤ婆さん。一体どんなきびだんごをくりだすのでしょうか?




