初めての転移。俺が転移。アイビリーブオーマイラーブ。
適当にがばります。
『始まりは突然に』なんてよくいうけど、まさか自分にその言葉が当てはまるなんて思いもしなかった。目の前の光景よりも自分自身の事を思い返そう。26才ノージョブの俺は城ノ下京助。大学生活後の新たな仕事場で上司に叱られてから、翌日に仕事を無断欠勤。あれよあれよと仕事は退職。新しい仕事場を探す気力も無く適当に人生を生きている。
今日も今日とて、ネットでサーフィンをしてポテチに手を伸ばしたら、目の前が光輝き、とうとう俺も光になる時が来たかと思っていたが、目が見えるようになるとひんやりとした床。知らない天井。ローブを身にまとったじいさんが杖を片手にこちらを見ていた。
「・・・どうやら成功のようですよ。王様。」
じいさんの後ろを見ると嫉妬したくなるほどのイケメンな金髪碧眼の男と女優のような女性が白い衣服を着てこちらを見ていた。いや白衣じゃない。白ランといえばいいのか。女性の方は肩出しドレスだ。
「異世界の人間よ。いきなりだがこの国を救ってほしい。」
ちょっと何言っているか分からない。言葉は通じているが、その中身が馬鹿げている。今の流行だと日本での経験を生かして食を高めたり、軍事発展させるんじゃないの?若しくは元々の世界でめっちゃ強い奴が一騎当千でバッタバッタと倒していくものだと思ったんだが、今現状は自分の身体が軽いとか、もう何も怖くないとかそんな精神的にも成長していないんですけど。
「救うですか?どのように?」
「ちゃんと言葉は通じるようだな。今回のような召喚は古い文献にしか記録が残っておらず、ちょっとした賭だったがよかったよかった。おっと質問に答える前に自己紹介からしないか?」
「えっ・・。嫌です。」
「そうか。我の名は第97代・・・。ちょっとまて、今なんと言った?」
このイケメン眼力が凄い。こういう人がゴミを見るような目をすると似合うんだろうな。
「だから嫌です。自己紹介するとなんか断りづらくなるんで、先に何をしてほしいか。そして、私の役目が終わったらどのような処置を行うか。それを知ってからでないと嫌です。」
さっき、古い文献でうんたらかんたら言っていたから、こっちにどのような力があるか向こうはわからないだろう。もちろん一般ピーポーである自分には特別な能力など無いが、この召喚に関してちょっとふっかけてみるか。
「教えてくれないなら返りますよ?もしくは・・・いや、止めときましょう。意味がありません。」
言葉の通り意味なんかありません。出来もしないことを堂々とやってのける。そこにシビレろ憧れろ。なんつって。
「おいじい。どういうことだ!?話と違うぞ!」
ローブをきているじいさんは執事かな?オロオロしだしたぞ。まあ、ここは粗が出ないうちに話を進めよう。
「そこの人は関係ありませんよ。王様、ここによんだ理由を教えてください。」
「ふむ、どうやら恥ずかしいところをみせてしまったな。」
そんなことをいいつつ、じいに下がれと目線を配る王様。これは本物だな。この空気、間違いない。楽しくなってくるぞっwww
「今回呼んだ理由は、この国『ナグラスタル』を隣国からの侵略を止めてほしいというのが願いだ。侵略を止めた暁にはお前のほしいモノを全てやろう。人、金、権力。ありとあらゆるモノを用意できると言っておく。」
そんなことを言われ、目を閉じる。落ち着け俺。呼吸を整えて王様に自分は小さな力は持っているが大きな力は持っていないという事を感ずいてほしい。本当は小さな力すらないけど。
「侵略ですか・・・。今まであまり経験は無いけど、現状を聞いてから決めようと思います。先ほどまでの無礼申し訳ありませんでした。私は日本という地名からきました城ノ下京助といいます。キョウスケと呼んでください。」
よし!妄想で練習しまくっていた事がこの場で出来た。就職の時の面接は強かったからね。筆記試験は弱かったけど。
「そうかキョウスケ。我も遅れながら自己紹介をしよう。第97代シルテスネス王である。長い名前だからシルスと呼んでくれ。隣にいるのは妻のミルカだ。」
「ミルカです。よろしくお願いしますね、キョウスケ様。」
こんな美人な人に様付けで呼ばれるなんてうれしいね。それじゃあ、中身についてだけど侵略という事は敵がいるという事だな。あんまり話の通じる人同士で争いはしたくないんだけど、どういう奴らが侵略しに来ているのだろう。
「シルス王様。侵略と言うことは攻められているという事だと思いますがあいてはどのような種族なのか、あとこの国の地図を用意してもらい、どの方向から攻められているか説明をお願いします。」
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説明する場所を移動してよくある長方形の机にたくさんの椅子を並べた作戦室みたいな場所に、しばらくしたら、じいが地図を持ってきた。こんな老人に重たそうな大きい地図を持ってこさせなければならない状況にあるんだろうとそのとき思った。
「じい、すまないな。」
「いえ。はあっ・・はあっ・・。それほどでもないですよ。」
おいおい、天国への階段を上って降りてきたのか?というほど行きがあがっている。じいちゃんっ子でもある俺は先ほどからのじいへの扱いにヤキモキするが、他人の自分が心配しても気に休まらないだろうと思い王へと目を向けた。
「それでは、今この国がおかれている現状を教えてください。」
「分かった。攻められているのはこの国の東にある『暗闇の森』と呼ばれている先の国『ホリウチネン』という国だ。」
「・・・ちなみにこの反対にある国の名前は?」
「西の国は『ハラダイタ』で我々の国とは仲は良くない。どちらかというと『ホリウチネン』と古くからの繋がりがある。何が言いたいかというと、他国からの協力は見込めないということだ。」
いやそっちを心配して聞いたんじゃない。どうやら心配していた予想が当たってしまった。今なら言おう名倉やないかい!かまへんかまへん!
「説明を続けるぞ。種族についてはわれわれと同じ人族が主だ。中には獸人族や魔族もいる。因みに我々の国は人族のみだ。」
「何か理由があるのですか?」
「我々の国では昔から、獸人族や魔族など人の姿をしているが人ではない者は先祖が悪人だったため、神が見分けをつきやすくするため姿を変えられた。と言われているため人族以外は人ではないとしている。」
「ふーん。えっ・・・。」
それって、例え正しい人でも見た目が人ではなければ、信じられないってこと?人は見た目が9割って自己啓発の本に載っていたけど、そういうこと?良く分かんなくなってきた???