第2話-山澤が明るみにしていった重すぎる学校の闇-
明日から2日間更新できなさそうなので。出来ました。
病室に入ってきたのは、砕衆高校理事長の斎藤香奈美だった。
「あっ、理事長の、斎藤香奈美!」
屋上から落ちた生徒が、呆れた口調で理事長に、
「ふっ…、先生豪快すぎ…ゴホッゴホッ!」
最後まで言おうとしたが、生徒、血を吐いてベッドに転がる。これを見た荻原は、他人行儀を装っている理事長に思わずこう命令した。
「おいっ、斎藤さっさと医者呼べ!」
これを聞いた理事長は荻原に怒り、
「ちょっと、誰に口きいてるの!」
彼女はもっと怒りたかったが、その時、生徒のそばにある機械が警告音を発した。プルルルン プルルルン プルルルン プルルルン プルルルン ……… この状況になって、荻原はやっと廊下に出て、医者を呼んだ。
「お~い、先生!この子が、この子が……!」
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しかし、その声時すでに遅く、その生徒は、その日の夕暮れごろ、永遠の眠りについた。
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次の日。この日、前日の生徒の自殺を受けて、臨時全校集会が行われた。体育館に全生徒・全教員が集まった。壇上で、校長の琴長裕介が、深刻な顔で話している。
「今日は、物凄く残念なお知らせがある。3年B組の、山澤天尾が屋上から飛び降りて、……死んだ。実は、私たち教員は、今回のこの事件が、いじめによるものであると考えている。なぜか?それは、遺書が見つかったからだよ。そこには、こう書いてあった。」
と言って、彼は遺書を読み始めた。生徒の中に泣いているものは一人としていなかった。
「【僕は、いじめられていました。先生にも、何度も相談していましたよね。鉛筆を隠される、トイレで泥水をかけられる、黒板や机に僕をバカにする言葉を落書きする、教科書を破り捨てられる、椅子の上のブーブークッション、髪の毛を引っ張られる…。嫌だったんです。嫌だったです…。なのに先生は、“また何かあったら教えろ”って言うだけで…。一回目は本当に安心しました。そして、その何かがあったんです。次の日に。そこははっきり言って予想していました。だから、先生に言いに行ったんです。なのに先生は、“やる側も悪いけど、それをしてくるのは、お前が何かやってからじゃないのか。”って。その後“いじめてるのは誰だ”って聞かれたけど、答えられるわけがないんです。それであいつらが止めると思いますか?思うんですか?思ってるんですか?長田先生は❔もし思ってるんだったら、おかしいんです。今の高校の生徒内の関係を全く知らない。そういうことです。多分思ってたんですよ。あなたは。そして、この砕衆高校の教師達全員は。甘すぎるんですよ。あいつらは絶対にやめません。もう命はありませんが、命掛けて言えます。あいつらは、告げ口した僕に怒って、さらに僕を追い詰めようとする。いじめがさらにひどくなるんです。僕の周りには、もう味方は一人としていなかった。27人、いや、26人対1人なんです。これも長田先生に相談しました。なのに、先生は、“味方はしてやるけど、お前があきらめるんだったら、俺もいじめる側にはならないが、もう放っておくから。”って。だから、もう死にます。担任の先生さえ、長田先生さえ、味方してくれない。この学校の人達も、誰も、誰一人として味方してくれなかった。誰も。ありがとうございましたなんて言えません。こんな、いじめられて味方が一人もいないような生徒を放っておくような、こんな最低な学校、消えてしまえばいい。さようなら。 山澤天尾】。」
気付けば、琴長は泣きながら長田先生の方を見ていた。そして、彼はこう問うた。
「どうなんですか?長田先生!」
長田は、思わず目を見開いた。
「すみません!ぼ、僕が、彼を…」
「彼を、どうしあんだ‼」
校長が集会中にかんだのに、誰も笑いはしなかった。
「彼を、彼を、…追い詰めて…」
「殺したんだよ‼おまえが‼」
琴長は、声を裏返してこう怒鳴った。生徒達は今の校長の声を聞いて、ざわめきだしている。構わず琴長は続けた。
「長田‼おまえが山澤を殺したんだよ‼先生なんだろ!?生徒たちの助けになって、一緒に考えてやれよ‼見てたら、お前休み時間はいっっつも職員室いるよな。だからだよ‼だからいじめがひどくなっているのに、お前はそれに気付けなかったんだ‼もっと生徒たちに近づいて、少しでも分かってやれよ‼何が“放っとくから”だよ‼お前は生徒を殺した、最低の教師だよ‼消えろ‼クビだ‼出て行けよ早く、長田ぁ‼」
長田は、何度も、すみませんでした、を繰り返しながら、そして泣きながら、体育館を去っていった。
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そのころ、病院では………
「ふざけんなよ⁉あの、斎藤とかいう理事長!絶対に許さねえ!痛かったんだぞ!」
あの時に怪我を負った病院スタッフ達が、理事長の愚痴を言い合っていた。
シリアスですねぇ。こういうの、皆さん好きでしょうか?
次回からは、荻原が本格始動していきます。
今回も読んでくださって、とてもうれしいです。次回も期待して待っていてくださいね(^^♪