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エピソード2 奴の習性

この作品はフィクションであり、登場人物、その他の背景はいっさい実在しない。だが、ひょっとしたら、貴方の周りにもひろしティックな人はいるかもしれない。

奴は自他ともに認める無類の女好きである。

会社の同僚を強請ってセッティングさせた飲み会で出会う女の子はもちろん、

女と見れば見境なく声をかけ、電話とメールを教えたら最後、光の速さで速攻だ。

その後の成り行きを日報よりも詳しく、熱心に報告する。


「えーなぁーあの子、ヤラしてくれんかなー。」

デキないくせに言ってみる。


同僚、上司も呆れ顔だが奴は気にしていない。これでも3人の男の子の父親だ。

一応奴にもポリシーはあるという。会社の女の子には手を出さない。

過去にモデルルームのベッドでエッチして、次の日その痕跡を見つけた別の社員が

大騒ぎし、大問題に発展したからだ。バレなかったものの冷や汗だったらしい。


「後がモメるけー会社の子に手は出さんのよ。」

修羅場は慣れているようだ。


しかしセクハラは奴にとっては別腹である。

日常の会話も朝から下ネタ。会社の飲み会での奴の隣は覚悟が要る。

太股、お尻、胸。触る、まさぐる、なでまわす。器用に良く動く手だ。


「下ネタで笑わせるのが1番ええんよー。誰も傷つかんし。」

笑えるのは自分だけである。


強引にセッティングさせた飲み会での奴の席は壁際だ。

世間の常識は無視して上司が居ようとかまわず上座に座る。斜めに構えたいらしい。

奴のストライクゾーンは自分の年齢プラスマイナス5歳である。

若すぎる子にはオジサン扱いされ、相手にされないからだそうだ。


「エーっ、課長よりワシのほうが年上に見えるー?ショックじゃー。」

顔も態度もデカイからだ。


「ワシ最近インポなんよー、リハビリ手伝ってくれる?」

病院に行け!


「女房と子供が夏休みで実家に帰って今独りなんよー。」

逃げられたんじゃない?


「何もしないから家に来る?」

何かされたいとは思わない。


「ワシ寂しがりやだから誰か居ないと飯も食えんのよー。」

カップ焼きそばでも食ってろ!


1次会2次会とコマを進めていくと、じわりじわりとお気に入りの子に接近する。

お酒も程よく入ったところで電話番号とメルアドを聞き出し、その場でメール。


「仕事が暇になったらまた会おうやー、また電話しまーす。」

常に仕事はサボっているはずだ。


飲み会が終わる頃には泥酔状態。

後輩に家まで送らせるが自宅マンションのエレベーター前で寝込んでしまう。

新聞配達の気配でハッと我にかえる。これがほぼ毎日のように繰り返される。

どこで野垂れ死にしていてもおかしくない。と、思われるであろう。

実際1、2回は本当だが女の子とウマくいった時の言い訳にも使える。

抜け目のない奴なのである。


これほどまでに鉄砲を撃っているのである。いくら下手でも当たらないわけがない。

数少ない成功例だが後々紹介していこう。










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