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三話

〇話でいじめられた桂花ちゃん登場であります。

「………」


タッタッタッタッ


「………」


パラパラ


「………」


タッタッタッタッタッタッタッ


「…………」


がらり


「一刀」

「………」


私が部屋に入ってみると、一刀はまたその黒板だらけの部屋の中で白い粉末が満たせながら何かに熱心であった。


パラパラ


「ちょっと、一刀」


とは言え、私が入ってくることも知らないでいるなんて、いい度胸じゃない。


「貴様、華琳さまを無視するつもりか!」


一緖に来た春蘭はもう大分頭に来ているみたいだけど。


タッタッタッ


「貴様ーー!!」


ガーン!!



<pf>



「今回はあなたが悪いわ」

「……納得行かないな」

「まだ言うか、貴様!」

「…………もうすぐで完成だったというのに、元譲のおかげで最初からやり直しだ」

「貴様が華琳さまを無視していたのが悪いだろうが!」

「…大体人の部屋に入って来るときは中の人に断ってからするのが作法というものだ」

「は?何だ、それは」

「へー、あなたの世界ではそういう風習があるの」


一刀は春蘭が暴れたせいで壊れてしまった門を立てて、その門を手の甲で何度か叩いた。


「こうやって中の人の外で人がまっていることを知らせる。ノックというものだ」

「へー、そうなの。で、あなたは直接声をかけても知らなかったくせに、そののっくというものの音では私たちに気づくことができたですって?」

「……………それよりだ」


逃げたわね。


「部屋に入ってきたからには用事があるはずだ、孟徳」

「ええ、実は隣の街で盗賊が襲撃したという報告が来たの」

「…孟徳が治める地にか」

「馬鹿な!華琳さまの治める所に、そんな奴らがいられるわけがなかろう!」

「陳留から少し離れている場所で、他の刺史が管理していていた所なのだけれど…」

「逃げたか」

「ええ、まったく、みっともない無能ぷりよ」

「………それで、出るのか」

「ええ、もう準備は済んでいるわ」

「…いいだろう。孟徳の指揮を直接体験するのも、またいい資料になる。興味深い話だ」


一刀はそう言いながら壊れた机の中でいくつかの書物を私に渡した。


「これは…?」

「軍の訓練内容改善の初案だ。この内容通りなら、軍の練度を今の3割以上上げることが出来るだろう」

「なんですって」


こんなものを……


「さっきまでそれの具体的な案を練っていたが…元譲でせいでなくなってしまったから取り敢えずそれだけ渡そう。軍師にでも渡しておけば参考にしてくれるだろう」

「……へ?」

「……?俺は何かおかしいことを言ったのか?」

「あ、いえ、その………」


そうか。一刀はまだ知らなかったわね。

というか、聞かれて無かったわね。


「私の軍には、まだ軍師と言えるような者が居ないのよ」

「…………」



<pf>



秋蘭SIDE


「我が軍の軍師……か」

「……ほんとに居ないのか」

「…恥ずかしながら」


仕事中だった私のところに咄嗟に入ってきた北郷は私に軍師について聞いた。

我が軍には未だに軍師が居ない。

華琳さまを軍師として支える者、それほどの人材がまだ見つかっていないのだ。


「元譲は見た目がアレだし、妙才も、姉の抑え役に回ることがせいぜいだと判断していた。そんな現在、軍師が居ないということは、孟徳の覇道には手足はあれど頭脳がないようなものだ」

「……お主は、軍師になるつもりはないのか?」

「……興味深い話を言うな」


北郷は俺の机の上に顎を乗せて私を見上げながら言った。


「以前までは俺を警戒していた妙才が、俺に孟徳の頭脳になれというのか?」

「…少なくも華琳さまはお前のことを信用しているし、それにお前にはそれほどの智謀があると判断している」

「…あくまで孟徳のためか……妙才の忠節、姉の元譲の計画なしな行動に比べればもっと精錬された忠義と見た」

「褒め言葉として受け取ろう」

「が、俺は孟徳の軍師になるつもりはない。彼女の軍師役を務める者は他にある」

「何?」


北郷の言葉に私は驚いた。


「それは、本当か?」

「俺は未来から来ている。この世界は俺が知っている情報を細かいところで違うものも多いが、逆に言うと基本的はことは同じだ。曹操、そして彼を支える夏侯の兄弟。そして、長い間孟徳の覇道を支える人物が居る」

「誰だ、それは……」

「じ……っ!」


その時、突然北郷はその場で足をくじけて倒れた。


「大丈夫か?」

「………。……今のは…?」

「どうしたのだ、北郷」

「……あの時と同じ感覚だ。どうやら、時の流れに直接問題を起こすような事は出来ないみたいだな」

「……」


また、私には分からない言葉をいっている。


「ほら、立てるか」

「……」


私が手を伸ばすと、北郷は無言で袴の横の懐から手をだして私の手を掴んで立ち上がった。


「咄嗟な行動が俺の生命活動に関わるようなら、迂回した道を選ぶことでそれを凌げる可能性がある」

「?」

「もし、彼女が現在この城の文官をやっていることを可能性として考える場合、曹孟徳に仕えるためにもっとも近い道を考慮すれば………いくつかの可能性を導くことが出来る」


彼はしばらく上を見て黙りこんでいたが、直ぐに私を見た。


「この城に軍師が居なければ、孟徳に案を出す前に最終的に検討するのは誰だ?」

「私だが…」

「なら、今回の戦いの準備についての資料の中で、何か特徴的なことはなかったのか?」

「……いや、特には…すべて予定された通りに…いや」


まだ一つだけ、届いてない報告があった。


「軍の兵糧についての報告がまだ上がっていない」

「なら、それは誰の役割だ?」

「兵站を管理する者だ。今頃実務的な仕事に当たっているだろうから、その部署のところに行くと解るだろう」

「担当者の名は?」

「えっと…ちょっと待ってくれ……」


確か、ここに……


「荀文若…だな」

「………」

「…北郷?」

「その報告書がまだ届いてないと言ってたな。なら、俺はそれを持ってきてあげよう」

「それは構わないが…どうしたのだ?」

「とても興味深いことが起きた。それじゃあ、これで失礼する」


と言って、北郷は入ってきた時のように挨拶もなく咄嗟に部屋を出て行った。


<pf>


??SIDE


「よし」


これで準備は万全よ。

これで、気持ち悪い男どもが通るこの兵糧庫ともさよならよ。

私は、私は自分のすべてを賭けて、華琳さまの軍師になってみせる。


「君」

「!?」


なっ!


「きゃーーーー!!!!」

「?」


何こいつ!いきなりどこから湧いてきたのよ!


「何よ、あんた!死ね!寄るな!息するな!死ね!!」

「………初対面の人に言うような言葉ではないな」

「うるさい!何よ、あんた!男のくせに気安く人の肩を触るだなんて、妊娠したらどうするつもりよ!」

「人間、異性に触れただけで妊娠するものだったら、人はとっくに滅亡の道へ進んでいるだろう」


何言ってるのよ、こいつ。わけわからない(おまえもな by作者


「そんなことより、今回の軍の出立に使う兵站についての報告書をもらいに来たが、担当者は誰だ?」

「私がそうだけど、あんたは何者?何故あんたがそれをもらいに来ているのよ」

「そうか、お前は荀文若か。なら話は早い。その報告書とやらを見せてもらおう」


何こいつ?男だということだけでも気持ち悪いというのに、見た目まで最悪よ!


「嫌よ!何故私があんたみたいな男に見せなければならないのよ。報告書なら後で夏侯淵将軍に私が直接出しに行くわ」

「妙才に頼まれている。……俺は間怠っこしいことは好きではない。君がどれほどの人材になれるか早く確かめたくてゾクゾクしているんだ。さっさとその報告書とやらを見せたてもらおう」


と言っていたあいつは、突然私を通りすぎて私が置いておいた報告書の竹簡を取った。


チャラチャラ


「ちょっと、何読んでるのよ!中継役ならさっさと持って行けば……」

「……興味深い……君は命を捨てたくて仕方のない馬鹿か、それとも相当な天才だ」

「は?」


何言ってるの、こいつ。


「現在の曹操軍の軍の練度、士気など…相手の賊の規模は測れないとしてこっちの実力を最大限に利用した場合、俺が計算した軍の最適兵糧量に近い」

「は?何言ってるの。あんたが私と同じ兵糧量を考えたって言うの?」


ありえないわ。これは私でも何日も賭けて計算しておいたものなのに……。


「実際ならこれよりは少し多い方が安全在庫を確保できるが、これぐらいが君の計画には一番的確だろ」

「なっ!」

「君はこの兵糧報告書を使って、孟徳を挑発させ、自分を軍師に任命させるように策を練ったのだろ」

「!!」


こいつ、何故私の策を分かってるの?!


「興味深い、実に興味深い策だ。曹操は自分の才を信用する者を好む。君のこの自分の才への信頼感あふれる策は、たしかに孟徳の気を惹くに十分だ」

「あんた……何者?」

「…それが重要か?」

「重要も何もないわ!あなたほども者がこの軍に居たなんて聞いてないわよ!私の策をこんなに簡単にみやぶるなんて…一体誰よ!」


私が念に念を入れた策を…こんな男に見破られるなんて…認めないわ!


「俺の名前は北郷一刀。孟徳にはこの城の街の警備隊の隊長という役割を受けさせてもらっている」

「警備隊隊長ですって?」

「そうだ。そして、君には孟徳の軍師になってもらわなければならない、荀文若」

「はっ!あんたなんかに言われなくてもなってみせるわ。私のこの策を使ってね。せいぜい邪魔をしないでもらうわよ。警備隊隊長の分際で」


私から彼から報告書を奪い取って夏侯淵将軍のところへ向かった。


「その報告書はまだ未完成だ」

「!」


行く足を止める。


「私の策が、未完成ですって?」

「君の冒険心は関心するが、その兵糧ではまだ十割君が勝てる策とは言えない」

「策に絶対はないわ。あなたなんかに言われなくてもそれほどの危険は念に入れているわ」

「……だが、軍師なら常に絶対勝利の策を夢見るものではないのか?」


言ってくれるじゃない


「……じゃあ、はっきり言いましょう。この策なら必ず曹操さまは私を軍師にしてくださるわ」

「そこに異議はない」

「なら、これ以上私に話賭けないでもらえるかしら。あなたと一緖の空気を吸うことも気持ち悪いから」


もうほんとにあんな奴関係無しよ。

さっさと行きましょう。


<pf>





「興味深い。流石は王佐の才を持った天の才、荀文若だ……ゾクゾクするね」





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