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幕間3 雛里√

展開が遅すぎてごめんなさい。どうしても蔓延とした話しかかけない外人です。

大丈夫です。連合軍の話はサクサク行きますから(そこは逆にサクサクいっちゃ駄目だろw)

拠点:雛里 題名:人を信じるための条件


一刀SIDE


『………

………曹孟徳より』


…………


人の間の信用というものは、時によっては目標のために動く歯車のための良い潤滑油となるが、誤った使い方をしては共同体を止めてしまうほどの大きな逆風を呼び起こすこともある。

信頼に頼った分、それを裏切られた時の傷口もまた大きい。


だが、片方ばかりから来る信頼など何の意味も成さない。

百害あって一利なしとはまさにこのことだろう。

一方的な信頼は、危険を増やすばかりで何の役にも立たない。


孟徳はその点について良く分かっていた。


「………だからこそお前の判断は間違いではない。…ソレでいい」


これで……良い。


パタン!


「お兄ちゃん、遊びに行くのだー!」

「!」


チャラ


「にゃ?お兄ちゃん、今後ろに何か隠したのだ」

「……何も隠してなど居ない」

「もしかして、一人で美味しい物食べてたのだ?鈴々も食べたいのだ!」

「…そういうものではない」


が、俺の話を聞かずに翼徳はしつこく俺の背中に回り込もうとした。


「ねー、お兄ちゃん、誰にも言わないから、鈴々も一緒に食べるのだ」

「……翼徳、この前言っていた街の王まんじゅう買ってあげようか」

「にゃっ!?王様まんじゅう!食べたいのだ!」

「……そうか、ならさっさと出るぞ」

「わかったのだー!」


この軍で玄徳の次に厄介なのが誰か聞かれたら、雲長よりもこいつの方だ。



<pf>



雛里SIDE


「へくしょ!」

「はわわ、桃香さま、風邪ですか?」

「うーん…そんなことはないと思うけど…誰か私の噂してるのかな」


政務中に突然くしゃみをなさった桃香さまに、部屋にいた皆の視線が注目しました。


「あわわ、気をつけてください。今や真冬ですし、本当に風邪に引いてしまっては大変です」

「まったくです。やっと政務が落ち着いてきた所といえど、桃香さまが病で倒れたりでもしては大変ですから」

「あはは、ごめーん…でも、私本当に大丈夫だから。そんなことより、皆お腹空いてない?」


時は昼も過ぎて夕食を取るにも少し曖昧な時間。

でも、政務をしてると、どうしてもこの時間帯に小腹が空いてくるのは仕方がありません。


「桃香さま、あまり食ってばかりだと太りますよ。最近の桃香さまは寒いからってろくに外にも出ていないではありませんか」

「あっ!私にそんなに太ってないもん!そんな愛紗ちゃんこそ、最近太ってるんじゃないの?」

「なっ!何を馬鹿なことを仰ってるのですか!わ、私が太るなど、そんなことあるはずもありません!」


太ってるんだ、愛紗さん。


「…はわわ」


朱里ちゃんも!?


ガタン!


「差し入れ持ってきたのだー!」

「「「………」」」


鈴々ちゃんがとても最悪な場面で差し入れを持って来ました。


「あ、あわわ、ありがとう鈴々ちゃん…」

「お兄ちゃんが、王様まんじゅう買ってくれたのだ」


ドーン!


鈴々ちゃんが持ってきたおまんじゅうは、それはもう蒸し器一つに一個ずつ入りそうなまんじゅうが、一人つき一個ずつで、四つのおまんじゅうが用意されてありました。


「あわわ、これは……」

「はわわ…り、鈴々ちゃんはもっと食べるよね?」

「鈴々はさっきたくさん食べたから、これは皆にあげるのだ。

「はわわ……どこだろう、こんなのを売ってる店は……探して潰さないと…」

「あ奴、嫌がらせか?こんな時に限ってこんなものを買ってくるとは……謀ったな」

「太る…こんなの食べたら確実に太っちゃうよ」


いきなり三人とも顔色が暗くなりました。


「?雛里、皆どうしたのだ?」

「あわわ、じ、実は三人ともお昼食べたものがなんか良くなかったみたいで…。わるいけど、皆これ食べれる状況じゃないよ」

「にゃ……そうか、美味しいのに、残念なのだ。じゃあ、雛里は食べるのだ?」

「え?…あ、…うん…食べるよ……」


私まで駄目って言ったらなんか悪いですし………。


「残ったのは、鈴々ちゃんが全部食べてもいいから」

「分かったのだ。実は…持って来る時にずっと涎が出て大変だったのだ」

「まだ食べれるんだ…私たちに持ってくる前どれだけ食べたの?」

「えっと……五個、いや、七個……から数えてないのだ」

「あわわ、北郷さんにそんなに沢山買ってもらったの?」

「なのだ♪なんか『口止め料』とか言っていたけど…」


口止め?


「鈴々は良く分かんないけど、おまんじゅう食べたから別にいいのだ。じゃあ、皆お仕事頑張るのだー」


鈴々ちゃんがそう言って嬉しそうに残った王まんじゅう三つの袋を持って部屋を出て行きました。


「あわわ……」

「「「……」」」


皆、大丈夫なんでしょうか。


「あの、これ、分けて食べますか?」

「わ、私は遠慮する」

「…私も、あまり…」


えー……


「…朱里ちゃん?」

「はわわ……ごめん、雛里ちゃん」

「あわわ」


これを私一人で食べろというのですか?

こんなの食べたら夕飯が食べられなくなっちゃいます。


どうやって処分すれば……あ


「じゃあ、私はちょっと休憩します。三人は仕事頑張ってください」

「「「……うん(はい)(ああ)」」」


あ、公開的にサボるって言っても誰も止めません。

本当に衝撃だったんですね。皆さん。



<pf>



コンコン


「北郷さん、いませんか?」


両手にも全部収まらないまんじゅうと、厨房から淹れてきたお茶を持って、私は北郷さんの部屋に訪ねました。


ガラッ


「いません……ね」


そもそも、他の人たちは集まって仕事をしているのに、北郷さんだけ部屋で勉強しているのは如何なものなのでしょうか。

……でも、本人もそれをあまり望んでないようですし、こちらも北郷さんと一緒に居ると気まずそうになるのは一緒ですから、桃香さまもあまり勧めたりしません。


でも、このままではいけないとは分かっていたつもりです。

北郷さんが少し変わった人なのは確かなんですけど、桃香さまが認めた仲間である以上、北郷さんを外野扱いするのはよく有りません。

だからこうして、部屋を訪ねて今後のことに付いてとか、とにかく打ち解けてみようとしてみたわけですが…珍しくもいません。まだ鈴々ちゃんと別れてこっちに来てないのでしょうか。


「あわ?」


取り敢えず持っていた皿が重かったので机の上に置いてたら、ふと机の上に散らかってある竹簡に目が行きました。

ちゃんと巻いて片付けておいたわけでもなく、適当に散らかして置いたのを見ると、自分の部屋じゃなくても少し気に障ります。

なんというか……あんな風にしておくと後で何がどうなってたのかわかりにくいんです。あんなふうに整理しないままに置くと竹簡が良く傷ついて長持ちしませんし……


「片付けておこうかな」


内容にしてもどうせ公務関連のものだろうとばかり思って手に取ってちゃんと巻いておこうとした私の目に、竹簡の端っこに書かれてある文字が見えました。


『曹孟徳』



「何をしている」

「ひぃっ!」


後ろを向くと北郷さんが門の前に立っていました。


「あわ、いえ、あの、えっとその……」


私は持っていたちゃちゃっと巻いて机の上に置いて何もしてなかったかのように……は出来ず帽子のツバを下ろして顔を隠しました。


「………読んだか?」

「…よ…読んでません」

「……それは嘘か?」

「嘘じゃありましぇん」

「…今噛んだな」

「かんれましぇん」

「………」

「………かみまひた」

「………」


ど、どうしましょう。

何も言わないままこっちをずっと見続けてます。

出ていこうとしても門がふさがっていて逃げることもできません。

このまま私口封じされてしまうのでしょうか。


さっきのは、内容こそは見れなかったものの曹操さんの名前が書かれていました。

しかも鈴々ちゃんが言っていた口止め料って……


まさか、これの内容って……一刀さんが私たちの知らない所で曹操さんの所に情報を流して……


あわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわ


「おい」

「あわわー!ごめんしゃい、ごめんなしゃい!黙って居ますから殺さないでえーー!」

「…………はぁ」


※雛里ちゃんの思考回路があわわーなので落ち着くまで暫く桃香さんの所に移しましょう。





<pf>





桃香SIDE


ぐぅー


ぐぅー


ぐぅー


お腹すいた。お腹空いたよぉ…さっきのおまんじゅう食べてたら良かった。

でも、あんなの食べたら……これ以上太っちゃったら一刀さんに馬鹿だけじゃなくて熊や豚とかに言われちゃうよー。

そうだ、明日から運動しよう。

前に義勇軍だった時みたいにばりばり動いたら、太らないもん。絶対そう。

明日から政務する時もずっと歩きまわりながらすれば……



※内容があまりにもくだらなかったのであわわーな方に戻ります。


「くだらなくないもん!女の子には凄く重要だもん!!」

「はわわ!」

「!?桃香さま、いきなり怒鳴ってどうしちゃったのですか?」





<pf>





雛里SIDE


あわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわあわわ(ry



「…おい、落ち着け」

「ひゃー!ごめんなさい!もうしません!殺さないで!」

「…………はぁ」


殺されちゃう。

このまま、間諜として働いていたのをバラされる前に私誰も知らないうちに排除されちゃいます。

いや、まだそれだけならいいでしゅ。このまま気絶させて私を連れて劉備軍から逃亡してそのまま私のことを……


「はぶっ!」

「……食え」


おまんじゅうで沢山食べさせてお腹パンパンにさせて殺すんでしゅか!?


「うっ!うっ!!」

「……お茶飲め」

「うっ…<<ゴクゴク>>」


と思ったら水拷問!?


「……落ち着いたか?」

「おちちゅいていられましゅか!」

「……お茶が冷めていたせいか。お茶に人を落ち着かせる効果があるというのは全部嘘だ」

「ふええーー、私本当に何も見てませんから、おうち返してください」

「……面倒くさいな」


こ、今度は何ですか?


「おい、これ読んでみろ?」

「そ、それって…」


さっき私が見ようとしてた竹簡……


「わ、私本当に何も…」

「読め」

「はいっ!」


怖いです!もう読むしかありません!


「ほ、ほほ、北郷かずとへ、あなたとの縁を切る。あなたが我軍に対し行った行為は…………え?」


な……え?


「あ、あの、北郷さん」

「読め」

「………」


私は自分が口にした内容が信じられなくて北郷さんを見つめましたが、北郷さんは続けさせました。


「……あなたが我軍に対し行った行為は軍法によると、万死に値するが、今までのあなたの我軍へ尽くした功績、尚あなたが自ら居場所を表したことなどに免じ、あなたの官を剥奪し、陳留にあるあなたの私財を没収する程度にする。北郷一刀、だけど私があなたのことを許したとは思わないことよ。あなたがあの日私に行った侮辱、一生忘れることはない。以後あなたに偶然にしても出会うことがあるとすれば、私と私の家臣たちはあなたの頸を切り落とすことを迷わない。以後この天下であなたのような裏切り者の顔を二度と見ないことが私の願いである。あなたの要請通り劉備軍に送った金は今までのあなたの功績を鑑み与えた金よ。返す必要はないわ。代わりに二度と私の前に、天下に名を残すことを許さない。二度とあなたの名をこの天下どこからでも聞くことがあるとしたら、私自らあなたを殺しに行こう。そんなことが起こらないことを願うばかりよ。   


……曹孟徳より」


これは……絶縁状。


「……北郷さん」

「俺が間者でないことは分かったな」

「……ごめんなさい」

「分かったな?」

「…はい、解りました…ごめんなさい」

「なら出て行け」


北郷さんはさっきと全く変わりのない目つきで私を見ながら門を開けてくれました。


「………」

「どうした、まだ何か疑いがあるか?言っておくが、これは紛れも無く孟徳の自筆で、孟徳の印だ。奴の書いた文を長く見た俺が保証しよう」

「……違います」

「……」

「北郷さんを疑っていたわけじゃありません」


私はそう嘘をつきました。

ついさっきまで、北郷さんのことを内心疑って、いえ、慌てていたとは言えこの文が密書であると信じていた私の姿は忘れて、恥も知らず嘘をついています。


だって、それはあんまりです。


元居た軍の君主から縁を切らされた上に、新しく来た軍でも信じられない人物と見られることって……

こんな仕打ちはおかしいです。どうかしてます。


「……お前が俺を疑ったことは正しい」

「違います!そんなの、間違ってるに決まってます!」

「俺の容姿、言い方、行動、何一つも人に信用を与えるようなものはない。今までも俺を信用しないとしても、その判断もまた間違ってると言えど合理的な判断だ」

「……どうしてですか?」

「…」

「どうして、そんなに人に信用されることを『怖がる』のですか?」

「……」

「こんなの…酷いです。誰かは…どっちかは北郷さんのことを信じてくれる人が居ても良いじゃないですか。北郷さんはなんともないんですか?どっちにも疑われて、辛いとは思わないのですか?」

「思わない」

「!」


北郷さんは迷いもなくそう答えました。


「他の誰が俺をどう思うかは、俺には何の関係もない。興味もない。俺は俺が興味が向くまま動くだけだ。それが例え孟徳の益に反するとしても、そして玄徳に反するとしても、俺は迷わない」

「……」

「それがこの天下で誰も俺を信じられない理由で、誰も信じてはいけない理由だ。俺には信用も、忠義も、野望もない。あるのは興味という欲望だけ。そんな人間を信じるなど、己の身の破滅以外に何も成さない」

「そんな…はずは……」

「…お前は今から、自分が玄徳に捨てられたという証拠となる文を持って孟徳に持って行くとしたら、孟徳がそれを信じてお前を受け入れてくれると思うか?」

「…………」


それは……いや、でも、それとこれとは話が違います。


「違わない」

「違います!だって北郷さんは実はどっちも裏切ってないじゃないですか」

「何を以てそう言い切れる」




「……だって、北郷さんは自分の前に倒れた女の子を傷ついた腕も構わず寝床まで運んでくれるような人じゃないですか」




「………!」

「北郷さんが興味の向く方にしか動かない人だというのなら、信じます。でも、それが人に害を成すというのなら、私はそれを信じません。北郷さんがそんなことをする人だと、私は思いませんから」

「………」


私の、私たちの北郷さんへの疑いの目は、ただ偏見と疑心暗鬼によって作られたものです。

今まで私たちは、北郷さんのことをちゃんと知ろうもせずに、ただ北郷さんの見た目ばかりに頼って疑いを持ち続けていました。


「それは理性的な判断から…」

「来ていません。とても感情的に、そう決めています」

「…それは」

「構いません。北郷さんが、他の誰がなんというだろうと、私はこれから北郷さんのことを信用します。もちろん、盲目的にそうするってわけじゃありません。ちゃんと判断した上で、北郷さんの話を受け入れるか否かを決めます。でも少なくとも、『仲間』の話であるとしたら、疑いの無い目で見るべきだと、そう改めて思っただけです」

「……俺がお前たちの仲間だから、お前たちを疑わないだろうって?」

「仲間だと思うから、疑う意味がないと思うだけです」

「………」


北郷さんは、それから暫く何も言わないままただ私を見ているだけでした。


「俺は俺の判断だけを信じる」

「……」

「お前が俺を信用しようがしないだろうが、今までと変わることは何もない。俺は俺が正しいと思う判断に従う。そのせいで傷つくも哀しむも、お前の自由だが、それが俺のせいだとは思うな。信じたお前の愚かさが招いたことだ」

「……分かりました」

「分かったなら出て行け。行って玄徳に『お前太ってないからやったものはちゃんと食え』って伝えろ」

「………はい」


私は静かに外に出て門を締めました。


「………………あれは嘘ですね」


<pf>


一刀SIDE


「………はぁ……」


鳳士元が出て行って、俺は残ったまんじゅうを取って、机の椅子に座る代わりに寝床に寝転んだ。

今日はもう興味を失せた。寝る。



……














「……まぁ、嘘だがな」










自分のいつもの雛里ちゃんのキャラはこんなんじゃないはずですが、この外史のこの一刀だと、この程度が精一杯ですね。

自分のいつもの雛里ちゃんのノリは他の作品の『鳳凰一双舞い上がるまで』の雛里ちゃんがデフォです。


何気に桃香さまが可哀想なのはスルーで

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