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幕間2 流琉√

外人の文だから批判サれるのは当たり前だと思います。

でも外人に限らずどの人が書いた文章でも「気持ち悪い」とか言わないでください。死んでしまいます。マジで


今回は季衣も一緒に入る予定だったのですが、気づいていたら尺が無理だったので流琉オンリーになりました。期待していた方々どうもごめんなさい。


ちなみに中に出る話の元ネタはDOCTOR Kなわけですが……今考えると過多出血で死ぬんじゃないかなぁと思ってたりします。

でも、大丈夫です。「まぁ、一刀ですから」

拠点:流琉 題名:頼れる妹、頼る兄様



「兄様が……賊たちに傷を……?!」


そんな話を耳にした瞬間、私は自分の耳を疑いました。


半日寝ていたら、少し気分が良くなったので、外の空気を吸おうと出た時、華琳さまの部屋を通り過ぎたのです。



『義勇軍の殿部隊を助けてる途中で負傷したらしいわ』



部屋から聞こえるその言葉を聞いた途端、私は目の前が暗くなりました。

元なら私が行くべき戦でした。

なのに私が倒れたせいで代わりに兄様が出て、それで怪我を……


そこまで考えが向かった瞬間、私は荒く華琳さまの部屋の門を開きました。


ダーン!


「華琳さま!」

「!…流琉」

「…流琉、聞いていたのか?」


私が突然現れたことで、華琳さまも、秋蘭さまも驚いた様子でしたけど、私はそれどころじゃありませんでした。


「華琳さま、私も援軍に出させてください」

「……流琉、気持ちは分かるがお前は…」

「お願いします!華琳さま!」


秋蘭さまが止めることも聞かずに私は華琳さまに更に近づいて訴えました。


「……流琉、良く考えなさい」


華琳さまはそんな私の顔を見つめながら仰りました。


「私はあなたに駄目とは言わないわ。でも、あなたが行くと、一刀はあなたのことを今までのように見てあげない」

「……どういうことですか?」


私は華琳さまの言葉の意味が分からなくて問い返しました。


「一刀はあなたに、ここに居ることをやめるか否かを決めるように言ったわ。もし、あなたが私たちと一緒に一刀を助けに戦場に出たら、それだけで一刀の質問に答えたことになる。そしたら…」

「それで構いません」


そんなこと……悩むまでもありませんでした。

兄様が部屋を出た後、ずっと悩みました。

そして、さっきの話を聞いて確かに判りました。


「兄様を助けに行きます」


兄様には、私が必要です。


<pf>


「兄様!もう下ろしてください、恥ずかしいです!」

「………」


そして、華琳さまたちと一緒に兄様を助けに向かった私が見たのは、私があれほど心配していた兄様の策で皆殺しにされた賊たちの姿でした。

私は兄様の姿を見て私はとても悲しくて兄様に抱きついて泣いたりもしましたけど、今私は兄様に片腕で抱き上げられて部隊の後方までそのまま行かされたのです。


「うっ!」


兄様は私を後方に置いてあった馬一頭に下ろして自分もその上に乗りました。


「兄様?どうするつもりですか?」

「帰るぞ」

「へっ!?」


帰るって……私たちだけでですか?!


「まだ戦後処理とか、色々残ってるんですよ?!」

「そうだな。俺の計算だと、荀彧が俺が話した場所を制圧して戻ってくるまで一週間はかかる。そんなに長くしていては間に合わないんだ」

「間に合わない……?」


どういうことですか?


「……典韋、しっかり掴まってろ」

「へっ、あっ」


丈夫な左手だけで手綱を握った兄様は馬を走らせました。

私は落ちないように、兄様の腰を両手で抱きついて密着しました。

な、何かすごく恥ずかしいです!


<pf>


馬が疲れるまで走らせて、私たちが陳留のお城に到着した時は日が暮れ始めていました。


「兄様、大丈夫ですか?」

「…………」

「あっ、兄様!」


半日も休まずに走り続けた馬も馬ですが、兄様も片腕が傷ついたまま馬に乗ってきたせいですごく疲れていました。

馬から降りる時、重心を崩して倒れそうになるのを先に降りた私がぎりぎりで支えました。


「……陳留の医員たち全部集めさせろ」

「はい?」

「残ってる軍医官たちと、街の医員たち全部集めさせろ」

「どうして……」


私は、その時兄様の腕のことに気付きました。


「兄様…でも」


兄様の腕って剣で深く斬られてて……桂花さんの話だと、多分もう使えなくなるって……


「………」


兄様は疲れた顔で私を見ました。

いつも疲れてるような兄様の瞳が、私に何かを強く訴えるように光っていました。


「……分かりました。直ぐに集めさせます」

「…それと、広い部屋に清酒と糸と針も持ってきさせてくれ」

「はい、分かりました」


・・・


・・



「なん…ですと?」

「そんなこと可能なはずが……」

「……お前ら…医員しながら一度でも思ったことないか?…人の肌斬ってみたいと…その夢叶えてやる。だからコレを治せ。指示は俺がする」


外で中で集まった医員さんたちと兄様の話を聞いていると、どうも兄様の腕を更に斬って、斬られたところを治すとかいう話をする兄様と、そんな話聞いたこともないし、出来るはずもないという医員たちが言い争ってました。


「出来るだけ大人数で一気に解決しないと間に合わない。悪いが、こんなところで片腕失うわけにはいかないんだ」

「しかし、治すと言っても、どうやって……」

「…斬られた筋肉を繋ぎ直すんだ」

「「「!!!」」」



「…ぶっちゃけ、医者なくても出来ることだ。この時代だとこんな手術、医員よりも裁縫がうまい女に任せたほうが良いだろう。違うところが居るとしたら、手術してる間

血が出るぐらい……」

「ば、馬鹿なことを…そんなこと出来るはずが…!」

「出来ない無能に任せるつもりはない。できないと思う奴はさっさと去ってもらおう」

「なっ!」

「医員は人の体を治すのが仕事だ。でも、人の傷は湯薬と鍼だけじゃ治せない。血を見るのが怖い藪医者はさっさと消えてくれた方が俺も助かる」

「……!どうせ、そんなもの、誰にも出来るわけがねー!時間の無駄だ。俺は帰る!」


荒く部屋の門が開かれて一人の医員さんが出て行きました。


「…他に自分の能力に自身がない者も去れ」

「……儂はやりますぞ」


残ってる人たちの中で一番年が高そうな医員さんが言いました。


「こんなこと、他の人には出来ないでしょう。死ぬ前に、人を斬ってみるのも悪うない」

「……先ず一人」

「それと、恐れながら若い者たちは巻き込まないで欲しいのですが……やっと医員になれた青い連中の未来を崩したくはありませぬ」

「……それは本人たちが決めることだ。確か失敗すれば、医員としての人生が終わるかもしれない。だが、成功すれば、医員として大陸の誰よりも良い経験を積んだことになるだろう」

「………」


そして、暫くが時間が過ぎて、一部の医員さんたちはその場を去って何人の医員たちが残りました。



<pf>



そして、暫くの時間が過ぎました。


闇が完全に空を占めてる真夜中になるまで、兄様が居る部屋は灯りをすごく明るくしたままでいました。


兄様に頼まれて、幾つか必要なもの(裁縫に使う針を糸と、酒が多め)を運んだ以外は、兄様は中には入れさせてくれませんでした。

それでも、私は外でずっと待っていました。


そして、間もなくして…


「ぁぁああああああ゛あ゛!!」

「!!」


荒れた声が聞こえました。

私は入って来ちゃいけないと言う兄様の言葉も忘れて門を開きました。


「兄様!」

「っっ!!」


中に入って、私は驚きました。


兄様の右腕の傷が更に広くなって、血をぼたぼたと落としながら、二人の医員たちが腕を前と後ろで見ていて、兄様はもう方の腕の拳を強く握って、齒を食いしばったまま、医員さんたちと一緒に自分の右腕を見ていました。


「そ…っちじゃない。それはその隣の筋肉と縫え」

「は…はい」

「これは……厳しいですな」

「兄様、一体なにをしているんですか?」

「……!!」


私が兄様を呼ぶと、兄様はやっとこっちに気付いたように見ました。


「……典韋、どうした?君じゃ囲碁の相手には務まらないぞ」

「何を馬鹿なことを言ってるんですか!一体何をしてるんですか!」

「…剣で斬られた腕の筋肉を治してるんだ。裁縫に使う糸と針でな」

「なっ……!」


そんなこと……


「……うぅっ…」


その時、兄様の腕近くに居た医員さんの一人がその場で気を失って倒れました。


「……これで、爺さん一人だけですね」

「むむ……これほどで倒れるなど……」


後ろを見ると、他の医員さんたちも皆倒れて寝床に置かれてあります。

人の肉を斬って、それを縫い直すという、医員になってしたこともないことで精神力が尽きてしまったのだと思います。


「とはいえ…儂も年ですからの……もう、そろそろ筋の縫いどころが上手く見えませぬぞ……どう致しましょうか…」

「…………」


兄様は老いた医員さんの言葉を聞いて無言のままにいました。






「私がやります」






「…典韋」

「裁縫ぐらい出来ます。血なんて…熊や虎を殺して捌く時に散々見てます」

「これはこう見て厳しいものじゃぞ、娘さんよ……何時間も精神を集中したままで居なければならぬ」

「出来ます。やってみます」


でないと、兄様の腕は、もう駄目になるんじゃないですか。

それに……



さっきの叫び声って、医員さんたちが出したものじゃないですよね。



ぼたぼたと、兄様が傷を負ってない片手の拳から血な落ちてます。

自分の肉を実時間で斬って、針で突くことを繰り返しているのです。痛くないわけありません。

気を失うのは、医員さんよりも兄様の方です。


「それに……」


私は兄様の力になりたいです。

兄様のこと助けてあげたいです。


「縫うのなら、男より女の子の方が上手なんですよ、兄様」


<pf>


『手術』は、

それから更に夜が開けるまで続きました。


「……できました……」

「………」


最後に兄様の腕の皮膚を縫った私は、兄様に向けて言いました。


「…………頑張ったな………」

「兄様の方こそ…」


最後に残っていた老医員さんも途中で疲れが頂点に昇ったのか、倒れてしまったのですが、私は最後まで兄様が言う通り兄様の筋を縫い続きました。

おかしいことに、今まで何百人の人たちの肉を千切って、何千の動物たちの首を切り落としたはずなのに、人を殺すんじゃなくて、生かすためにその肉を斬って、布みたいに縫ったりすることが、こんなに難しいとは思いませんでした。

でも、ここで私が倒れたら、兄様は右腕を失ってしまうということだけを考えて、精神を集中しました。


「……もう大丈夫だ。倒れてもいいぞ」


兄様はそう言ってましたけど、まだやることが残ってます。


「兄様、私、ここに残ります」

「………」

「ここで、今までのようにずっと兄様のお世話をしながら、華琳さまのために戦います。きっと季衣も同じことを思ってると思います」

「……そうか」

「はい、だって、







私が居ないと、兄様は直ぐに駄目になっちゃうじゃないですか」







「………訂正しよう、典韋。お前は、俺が思ったようにずっと大人びた子供のようだ」


兄様はすごく疲れた、

だけど、

その無表情の中でも、

あくまで私の希望事項なのかもしれませんが、

喜んでるような顔でそう呟きました。


「興味深い………このままあの村に帰らせるのがもったいないぐらいに……






これから末永くよろしく頼むぞ、『流琉』」






「………はいっ!!」


<pf>





それからと言うものの、


「『典韋』、俺が頼んだもの、まだ経理部から上がって来ないんだが……」

「あ、それなんですけど、そこの文官さんが、もう少し時間が欲しいって……」


結局に、兄様が私のことを真名で呼んでくださったのは、あれ一回だけでした。

正直に言うと、私のことだけ真名で呼ばれたら、すごく恥ずかしそうで耐えられそうにないですので、寧ろ良かったと思ってます。

他の将の方々には…季衣にも、私が真名で呼ばれたことは内緒にしようと思ってます。

大したことじゃないと思われるかも知れませんが、その一言だけで、風邪で倒れたことも、あの時疲れてたことも、全部償われたように感じてとても嬉しかったです。

兄様はあれからでも絶対に必要な話でないと話はしませんし、ちょっと怖い顔ですし、変な座り方や歩き方して周りの侍女たちや厨房の人たちから避けられますけど、そこはまぁ……ちょっとずつ変えていけばいいのではないかなぁと思っています。


「…ちっ、給金泥棒共が…どうせ横領したのがバレそうだから時間を稼いでいるのだろう。ならこっちから仕掛けてやる。典韋、行くぞ」

「あ、はい!」

「武器持って付いて来い」

「はい……はい?」


兄様、経理部を吹き飛ばすつもりらしいです(物理的にも、文官さんたちの精神的にも)





あ、華琳さまに


「凪たちも入ってきたことだし、一刀の世話はあの娘たちに任せて、あなたは親衛隊に戻ってくる?」


と聞かれたので、

一言でお断わりました。


季衣は、最初は自分が無茶を言ったせいで兄様が傷を負ったのだと、私に謝りました。

でも、後では季衣も


「流琉がここに居るならボクも残るよ。お兄ちゃんはそう言ってたけど、結局ボクや流琉が居ないとお兄ちゃんってもっと無理しそうだし」


そう、そうなんです。

今回だって私の代わりに出てああなったのですが、季衣は自分のせいだと言っても、半分は私のせいなんです。

私たちの居ない穴を埋めるために、私たちが居なくなった原因である兄様が今回以上に無理なことをすることが目に見えているのですから、私たちが自分たちのことだけ考えて村に帰るだなんて、考える余地もありません。




「兄様」

「何だ、典韋」







「今日のお菓子、何が良いですか?」



・・・


・・





流琉の知らない話


「で実際のところ、どうなの?」

「はほほほひへはほほは。ほへははひもいはん」

「口の中にある『苺たると』を食べ終わってから言いなさい。汚いわよ」

「…………彼女が決めたことだ。俺は何も言わん」

「はぁ…ホントは彼女が残っていてくれて相当嬉しかったんじゃなくて?」

「………現在唯一の動力源だ」

「あなたは何で出来てるのか時々聞きたいわ。いや、答えないで頂戴、逆に怖いから」

「そんな戯れ事を言うためにここに来たのか、孟徳?そろそろ仕事に励んでくれないか」

「流琉がもしあなたが望んだ通り他に行ってしまっていたらどうするつもりだったのかしら。あなた、毎日甘いもの食べられなくなったでしょうに…」

「……その時は荀彧からまた予算を絞りだす」

「歪みないわね」

「当たり前だ。命の源だからな。戦場ではろくに甘いものも食えないから困る……次からは長期戦に俺を連れて行く時は、それ相応の準備はさせてもらうぞ」

「流琉に頼みなさい。私はあなたの甘食係じゃないのよ」

「…俺も孟徳の『暇つぶし係』ではない」

「あなたは私に『(からか)われる係』よ」

「………」


ペチッ


「痛っ」

「やらんぞ」

「一つぐらいいいじゃない」

「断る」

「……こっちはあなたのせいで親衛隊長が一人なくなって困ってるのよ」

「無理矢理典韋に世話役任せたのは孟徳だ」

「臨時のつもりだったのよ。まさか流琉があなたにこんなに懐かれるとは思わなかったわ……ところで、私たちが黄巾賊の空いた本城を攻めていてる一週間、流琉とふたりきりで何もなかったの?」

「……何とは?」

「何って、そりゃナニでしょ?」

「取り敢えずその口を閉じろ」

「うぶっ!……あ、コレ美味しい。後で流琉に作り方教えてもらわないと…」

「口を開けるな。口に入れてしゃべるな。汚い」

「口にお菓子の残りをたくさんつけてるあなたに言われたくないわよ」




・・・


・・


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