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幕間2 張三姉妹√

張三姉妹√ 題名:もう一度輝ける彼処へ


一刀さんからの協力提案を頂いてから、私はお姉さんたちを連れて別の部屋に入って鍵を門を閉じました。


「ちょっと、人和。どうするのよ!あんな話に乗って無事なわけないでしょう?」


ちい姉さんが部屋に入るやいなやそう言いました。


「ちい姉さんが言いたいことは判るわ。だけど、少しだけ私の話を聞いて」


私はお姉さんたちを前に私の考えを述べました。


「お姉さんたちももう知っていると思うけど、私たちが曹操軍に攻められた時、あの人は私たちを無事に開放したわ」

「でも、あの時に私たちが持ってた……えっと…なんだっけ?」

「…太平妖術書よ」

「そう、そう。あの本をあげたんだよね」

「恩返しでもしようってわけ?ちいはヤよ。しかもその後遠く行かずにまた捕まって連れて来られたでしょう」

「それは多分曹操か他の人が放っていた伏兵だったね。それに二度目の捕縛も特に何もされることなく開放された。そしてその直後、一刀さんは曹操軍を離脱したわ。この事件は別々なものではないわ。私たちを開放した一刀さんが、以後自分の目の届かない所で曹操さんが私たちを捕縛したことを怒り軍を抜けたのだと言えば説明が付く」

「うん……でも、それっておかしいよね」

「そうよ。だってあそこの君主は曹操でしょう?何をしようがあいつの勝手じゃない。それが嫌で出て行ったのはまだ判るとして、どうしてちいたちは開放されたわけ?」

「そうね。…普通の君臣の関係であったならね」


もし、私の推測が正しければ…。


「あの二人の関係はただの君臣の関係じゃないわ。もっと深い関係」

「つまり……二人で恋する仲ってこと?」

「曹操って奴の顔見たことはないけど、男を選ぶ目なさすぎなんじゃないの?」


ちい姉さん、それはちょっと言い過ぎ。


「そこは触れないでおきましょう。つまり私の言いたいことは一刀さんと仲良くしてれば、曹操さんからの安定した後援がもらえるわけ。曹操軍は今天下で最も強い軍の一つでもあるし、その上私たちの正体を知っていながらも私たちと友好を築こうとする唯一の軍よ。そんな彼らの支援を得られるということは私たちにとって二度も来ない最大の機会なのよ。この機会を逃せば、私たちが大勢の人の前で歌って踊れる日はもう来ないかもしれないわ」

「ううん…でもお姉ちゃんはあんな偉い人と付き合うのはちょっとこわいな」

「そうよ。しかも昔一度捕まったこともあるし」

「だからもっと安全でもあるわ。他の軍とは違って曹操軍は私たちに害をなすつもりはないって判ってるから」


まだあっちこっちで黄巾党の残党やらが動いてる地域だってありました。そんな所の君主が私たちの存在を知ったものならその日に城の広場で首を吊るされるに違いありません。だけど曹操さんはそれよりも私たちをうまく利用する方法を知っていますし、それは私たちにとっても悪い話ではありません。


「ここで一刀さんの提案を断っても私たちに良いことはないわ。もうすぐここ長安では戦争が起きるはずよ。そしてさっき一刀が言ったことがもし本当なら長安は洛陽みたいな廃墟になりかねないし、そうでないとしても荒廃になるのは避けられない。ここにももう居られなくなるとなれば私たちにももう行く場所がないわ」

「「……」」

「だけど、もし一刀さんの提案を呑んで計略が成功すれば、私たちの夢を叶うことが出来る。もう一度歌って踊って、天下の人々の心を掴み取ることが出来る。それに豪華な生活のオマケつきよ」

「また皆で歌って踊れる…」

「豪華な生活…」


そう、今ひもじい生活をしている私たちだったけど、一度は世を混乱に追い込んだ黄巾党の首魁でした。初めの頃の豪華で豊かな生活を送っていましたが、日々が重なって劣勢になっていくと(もう負けそうだったから逃げたってよりも生活がひもじかったことが)耐えられなくて逃げようとしたのでした。一度見に覚えてる私たちにとっては耐え難い辛い日々でした。


だからと言って私も一刀さんの提案に目が眩んでお姉さんたちと一緒に無茶な行動を一人で決めようだなんて思っていません。一刀さんが提案した支援や安全の保障などはあくまでも今回の計画が完成したことを前提に得られるものです。ここでもし失敗したら私たちが助かる可能性はほぼないと言っても良いでしょう。命があっての褒賞でしたから。


「ちいお姉さん、まだ集団催眠する術って使える?」

「え?…使わないで結構経ったから判らないけど…多分あの本がないと妖力が半減して大した力は出ないわ」

「周りの百、二百人にかけるぐらいでもいいわ。まず周りを惑わせば後は雪崩れるように付いてくるから」

「ちょっと、本当に使うつもりなの?それでもし妖術師だとか言われたら本当に殺されちゃうよ」

「どうせ失敗したら民を扇動したと言われてその場で殺されかねないわ。やるならこの方が生き残る可能性も高いし」


催眠と言っても自由に操られるというわけではありません。私たちが初めの頃に私たちの追従者を作る時に私たちの歌に惹かれた人たちのその心を増幅させる技能したのが催眠でした。途中で加わった盗賊たちなどは違って、私たちの歌と踊りに惹かれてた人たちは催眠が解けた後でも私たちのために命までも捨ててくれたので…正直催眠の効果がどれぐらいのものかは使った私たちにも判りません。確かなのは催眠というのは私たちの思惑通りに動かすことではなく、その人がやりたいと思う行為を促す効果があるというだけです。私たちが戦争を前にした人々の不安と恐怖を促すことが出来れば、催眠が働き長安の人々は暴徒と化すはずです。


「ねえ、人和ちゃん」

「何、天和姉さん」

「もしもだよ?これが成功して、長安の人たちを私たちの自由に操られるようになったら、私たちが長安を占領することだって出来るんじゃないの?」

「……それは難しいわ。黄巾党の時と違って今は四方に敵の武装した兵士さんたちが囲んでいるもの。精々混乱を起こすだけで、暴徒だけで城を占領することは出来ないわ。いずれは制圧されるでしょうよ」


でも万が一の場合、事に良く行き過ぎてそんなことが起きようとしても…


「お姉さんはもしそんな風になったら、もう一度黄巾の乱を引き起こしたいと思う?」

「ううん、そういうことじゃないの。ただね、人和ちゃんがもしそんなこと考えていたら、お姉ちゃんそういうのはダメだよって言おうとしただけ」

「……」


思えば、初めてあの妖術書を軍隊を作るために使おうと思ったのは私でした。お姉ちゃんたちは自分を慕う人たちが増えていくことと、無名な芸人から豊かな生活を送られる有名人になっていくのを楽しんでいただけで、ほぼ黄巾の乱がどういったものだったのか、それで天下を取ろうって言葉の意味を、世界中の人たちが自分たちのことを愛してくれるようになる、ぐらいに思った天真爛漫な私のお姉さんたち。


どうして黄巾党が成り上がり、そして敗亡したのかも理解できませんでした。でも黄巾党から逃げ切った後大陸を周りながら、天和お姉さんは私たちがしたことが人々にどんな風に思われたかを知ってしまったみたいです。そしてそれで凄く苦しんでいた。だからもしかしたら私がこれを機にあんなことをまた始めようとしているのではないかと不安になっているのです。


「もしそんなことが出来るとしても、もう二度とあんなことはしないわ。私だってお姉さんたちと幸せに生きるためにあんなことをしたのだから。そして、そんなことやってもお姉さんたちが喜ばないってもう判ってるから」

「…うん♪」


そう、そして今回も、私たちは自分たちの夢のために命を懸けます。


そして今度は決して道を誤らない。


来週、大阪行きます。

お好み焼き食べるんです。

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