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クマの望み

作者: 夏野やすみ

 ある年、クマが増えすぎ、食べ物に不自由しているのを見て、神様がクマたちに言った。

「なんでも望みのものをあげよう。山のようにたくさんのドングリでも。山のようにたくさんの栗でも。何がいいかね?」

 クマたちは考えた。ドングリでも栗でも、どんなにたくさんあっても、全部食べ終わればなくなってしまう。それより、ずっと食べ物が手に入りつづけるほうがいい。

「では、一瞬で遠く離れた場所に移動できる力をください。それと、食べ物を見つけて食べたあと、いつでも自分のねぐらに戻れる力を」

(転々としながら食べ物を探すのか。大変だろうに)

 神様はそう思いながら、クマたちに望み通りの力を授けてやった。

 クマたちはもらった力で転々と移動した。何回か移動すれば、すぐに畑や街に行くことができた。人間が住んでいる範囲は広く、そこいらじゅうに畑や家や街があったからだ。

 ドングリよりおいしい食べ物がかんたんにたくさん手に入ってクマたちは上機嫌だった。

 まずいことをしたかなと、神様は思ったが、あとの祭りである。

 ただ、クマたちは気づいていなかった。

 山に近い畑や街に出没しても不審に思わない人間たちも、どう考えても途中で目撃されずにたどりつけないような大都会のスーパーやショッピングモールにクマが出没したら、何か変だと気がつくだろう。自分たちの能力を人間に知られたら、人間に滅ぼされてしまうかもしれないということを。


読んでくださってありがとうございます。最近、クマ出没のニュース多いですよね。うちは山から遠く離れているから、まあ、あり得ないけど。でも、もしそういうところにもクマが出たら……なんて、ふと思ったことから、変なショートショート思いついて書いちゃいました。

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