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第19話:共鳴の頂(前半)

静かで精密な術式の交差、美しいけれど冷たい戦場

《大試《大試練祭》決勝戦


――リオ&ミナ vs セラ&リリィ。剣と支援魔法、氷と霜――


ふたつのペアが、それぞれの信頼を携えて中央に立った。


観客席は静かだった。

その静寂は、まるで試合の空気を先に凍らせていたかのように。


「……始まるね」


ミナが小さく息を吐く。

リオは剣を構えながら、向かいに立つセラを見た。

その瞳は、やはり澄んでいて、冷たい。


「……遠慮はしない。容赦もしない」


セラの声は、氷のように透き通っていた。


「リオくん。ミナちゃん。お手柔らかに――なんて言わないからね」


リリィがふんわり微笑みながらも、魔力を整えている。

その霧はもう、戦場を覆い始めていた。



開幕と同時、空気が冷える。 

リリィの《霜霧展開・初段》が静かに広がり、視界と魔力の流れが曇る。


「来るよ、リオ!」


ミナが叫ぶと同時に、

霧の奥から、セラの声が届く。


「《氷槍連打・散弧式》」


霧の中、氷の槍が複数の軌道で襲いかかる。

リオは剣で迎えようとしたが――

霜が足元の結界陣を歪ませ、魔法の反応が遅れる。


「支援がうまく展開できていないっ……防御が、タイミングがズレる!」


ミナが焦りながらも、ルゥナの召喚を展開する。


「お願い、ルゥナ!」


白銀の翼が霧を切り裂いて現れる。 

ルゥナが火を纏って一気に空へ跳び上がる。


「焼いて――吹き飛ばして!」


その炎は、霧へ向かって放たれる――が。


「えっ炎が……届かない!?」


リリィの《霜縛・温度収束》が空間全体の熱を吸い上げている。 

ルゥナの火撃が拡散せず、空気に圧されて失速する。


ルゥナが咆哮するが、熱の粒子が霜の粒に包まれ、焼き切れない。 

そして――セラの第二撃が飛ぶ。



「《氷鎖連段・制動式》」



リオの足元から氷の鎖が浮かび上がり、動きを封じようとする。


「止まるか……!」


リオは剣を一閃――

その瞬間、刃が淡く光り、形を変えた。


「《光盾・展開》」


ルミナブレードの刃が展開し、盾の形へと変化する。 

銀白の魔法盾がリリィの霜粒を弾き、セラの氷鎖を叩き割る。


「っ……!」


氷霜のコンビネーションを、剣ではなく盾で受けきった。


「リオ、ナイス!」


けれど、セラはすでに次の詠唱に入っていた。


「《氷結結界・重奏式》」


空間全体が徐々に凍り始め、結界が“移動する冷圧”としてリオを包もうとする。



ミナの指先が震えた。 

ルゥナが火を吐けない。

――それだけで、彼女の動きが鈍る。


「やだ……このままじゃ、何もできない……!」


その声に、ルゥナが反応する。 

火の粒子が収束し、ルゥナの背から風が鳴る。



翼が広がり、熱と空気が混ざる。



霧が揺れ、空気が震える。 

風が生まれる!!



「……風を……纏っている?」



ルゥナが炎の旋回を起こし、爆風となって氷霜の結界にぶつかる。

霜が一部吹き飛び、視界が戻る。


その瞬間――リオの盾が光を纏い、再び剣へと変形する。


反撃の始まりだった。




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