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第15話:剣と魔法の距離

朝の訓練場に、剣の音が響いていた。

リオとノアが向かい合い、木剣を交えている。


「……構えが甘い。もっと腰を落とせ」

「う、うん……!」


ノアの指導は相変わらず厳しい。

けれど、そこにあったのは冷たさではなく、真剣さだった。


リオは汗を拭いながら、息を整える。

剣を握る手に、少しずつ“重さ”が馴染んできていた。


「……前より、動きが素直になったな」

「え?」

「無駄な力が抜けてる。剣に“迷い”がない」


ノアの言葉に、リオは少しだけ目を見開いた。

それは、かつての彼からは想像できなかった“肯定”だった。


「……ありがとう。ノアのおかげだよ」

「礼はいい。お前が変わっただけだ」


ふたりの間に、静かな風が吹いた。

剣と魔法。違う道を歩んできたふたりが、今、同じ場所に立っていた。



訓練場の外、木陰のベンチでは――


「ふふ、あのふたり、なんだかいい感じだね」

ミナが笑いながら言うと、隣でエリナも微笑んだ。


「うん。リオくん、すごく楽しそう」

「……ちょっと悔しいけど、嬉しいよね」


ふたりは並んで座りながら、剣を交えるリオとノアの姿を見つめていた。


「ねえ、エリナ。明日の試合、緊張してる?」

「少しだけ。でも、ノアがいるから大丈夫。……ミナさんは?」

「うーん……リオが隣にいると、緊張よりも“負けたくない”って気持ちが強くなるかも」


エリナはその言葉に、少しだけ目を細めた。

「……わかる気がする。私も、ノアとなら、どんな相手でも戦えるって思えるから」


ふたりの視線が、自然と交差する。

そこにあったのは、敵意ではなく、静かな敬意だった。


「明日は、全力でいこうね」

「うん。楽しみにしてる」



訓練を終えたリオとノアが戻ってくる。

ミナとエリナが立ち上がり、笑顔で迎えた。


「お疲れさま、ふたりとも!」

「……お前らも、明日は覚悟しとけよ」


ノアの言葉に、ミナがにやりと笑う。

「望むところ!」


その笑い声に、リオもつられて笑った。

剣と魔法。違う力が、少しずつ重なり始めていた。


そして、明日――

ふたつのペアが、真正面からぶつかり合う

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