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プロローグ:空に浮かぶ学園都市
魔法が使えない少年が、世界を変える物語。
そして、恋と友情と戦いが交錯する、空の学園での青春譚である。
空に浮かぶ巨大な島——《セレスティア》。
そこには、大陸中の若き才能が集う冒険者養成機関《セレスティア魔導学院》が存在する。
剣士、魔導士、召喚士、錬金術師……
あらゆる戦闘職の卵たちが、夢と野望を胸にこの空の学園へと集う。
その中に、一人の少年がいた。
名はリオ・フェルナ。
魔力量は高い。だが、魔法は一度も発動したことがない。
「魔力はあるのに、魔法が使えない? そんな奴、聞いたことないぞ」
「落ちこぼれだな。いや、“欠陥品”か?」
そんな声を背に受けながらも、リオは空を見上げていた。
——兄のような冒険者になるために。
——自分だけの“魔法”を見つけるために。
彼にできるのは、魔力を圧縮して魔力回復薬を作ることだけ。
それは誰にも評価されない、地味で役に立たない力だと思っていた。
けれど、彼の魔力はまだ“形”を持っていなかっただけ。
これは、魔法が使えない少年が、世界を変える物語。
そして、恋と友情と戦いが交錯する、空の学園での青春譚である。