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Genesis of Deicide  作者: キキ
第一章 語られぬ者たちの序列/Lexical-Hierarchy
7/60

選ばれざる選抜者たち

「このクラスにいるのは、選ばれた者じゃない。

理にとって“排除しきれなかった者”だけだ」


《ケイオス・レイズ》第七訓練塔・構文帯特別演習室。

通常の教室とは隔絶された空間に、7人の生徒が集められていた。


その全員が――“異常”を持つ。


構文誤差。記録不整。属性未定義。名前の失われた者。

そしてその中心に、ナオ=ミカドの姿があった。


「紹介は不要だろう。全員、ここにいる理由は似たようなものだ」


そう告げたのは、担任を名乗った女性教官。

その名はレイザ=クラウス。元・構文戦闘官。今は“理文省の落ちこぼれ管理”を任された異端者。


「ここは“理に矛盾を与えた連中”が集う隔離班。


でも――だからこそ、お前たちの中から『理を語り直す者』が出る可能性がある」


周囲の生徒たちの視線は、ナオに集中していた。

無言、無関心、警戒。そしてごく一部の“羨望”。


(俺だけじゃない……? ここにも、似た奴がいる――)


だが彼はまだ、自分の中に“もう一人”が眠っていることを明確には語れないままだった。


初日の演習は“観測試験”だった。

一人ずつ、存在演算装置に接続される。

「理文構文による自我の再定義」が試されるのだ。


「では、ナオ=ミカド。接続を試みる」


演算装置が起動する。

構文輪が彼の周囲に浮かび、空間に青い文字列が滲んだ。

が――


【ERROR】

【存在同期失敗】

【記録階層:破損】

【反応:——“上書きされている”】


「っ……なに? これは――!」


構文輪が歪み、空間が一瞬だけ黒く染まる。

その内側に、誰かの“瞳”が浮かんだような錯覚。


『……見られてるよ、ナオ。

君の“後ろ側”にいる僕のこと、みんな感じ始めてる』


ナオは振り払うように一歩後退した。


「俺は……っ、知らない……あんたなんか……っ!」


だが演算機はさらに警告を発する。


【副存在構文:反応確認】

【コード名:未定義/位階異常】

【推定分類:対構文存在】




演習を終えた後、ナオは部屋に戻ろうとしたが、

すれ違いざま、一人の少女が言葉をかけてきた。


「――燃えてたよ」


その少女は、赤い髪に黒曜石の瞳。

名をイーリス=カーラという。異能コード:焔装使い(エンプレス・コード)

“火”を演算構文から実体化させる術を使う、構文実体派の中でも特異な一人だった。


「私、あんたが何したか知らない。でも“燃える気配”はわかる。


あれは、構文の揺れじゃない。“神性”の匂いがした」

ナオは答えなかった。ただ――胸の奥に微かに熱があった。


その夜。

再び夢の中で、ナオは対話していた。あの“語り手”と。


『君を無理に引きずったりはしない。

でも、遅かれ早かれ、君は僕を選ばなきゃいけなくなる』

『この世界に、君自身の“語彙”を持って語るにはね』


ナオは問い返す。


「なあ……お前は誰なんだ。“俺”なのか?」


少しだけ間が空いて、やがて返答があった。


『それは……君が“語ったとき”、初めて決まるんだよ』




朝。

特別演習室の端末に新たなミッションが届いていた。


【異常構文発生地点:旧記録塔・階層404】

【班全員による“構文封鎖任務”を実施】

【備考:ナオ=ミカドを班の“核心観測対象”に指定】


――構文が揺らぐとき、“語る側”と“語られる側”は境界を失い始める。

次の試練は、演出ではなく、“定義との直面”だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

次回から投稿時刻を早めようと思います

21:00→17:00

次回もよろしくお願いします。

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