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Genesis of Deicide  作者: キキ
第三章 無構文世界/Narrative_Zero
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語られなかった記録の検出/反構文国家の侵入

「語られなかったはずの存在が、

誰かの構文に、誤って刻まれていたとしたら――

それは、記録されなかった優しさをも、消去の対象にする」


《構文国家セリエント》記録庁。

そこにあるはずのない信号が、

最深層の記録素解析装置で捕捉される。


【観測波形:非構文記憶残響】

【出力元:ゼロアーク座標外圏】

【異常判定:記録不能な記憶体の構文座標照合エラー】


構文世界は気づいてしまった。

存在してはならない“誰かの記憶”が、

記録にならぬまま、存在しつづけていたということに。


それは――“語られなかった者たち”にとって、

世界が再び削除を始める合図でもあった。


クラリスが震える。


「まさか……あの子の記憶、誰にも語られなかったままで、

でも“誰かの心の中に”残ってしまっていたのね……」


コトが叫ぶ。


「だったら世界の方を間違いにすればいい!

“語られなかったものは残らない”って前提ごと、

ぶっ壊せばいいじゃねぇかよ!」


だがそのとき――構文座標が歪む。


【構文干渉:構文世界≒ゼロアーク境界座標に接触中】

【干渉形態:記録修正型存在消去アルゴリズム】

→対象:イド(未記録存在)・ナオ(沈黙神格)


ナオは、声を上げない。

その沈黙のまま、立ち向かうように手を伸ばす。

構文にも記録にもならない祈りを、

誰にも語られなかったまま存在した者のために差し出す。


――言葉が存在を奪うなら、

言葉を持たない存在は、“世界の境界”で闘うしかない。

ナオの沈黙が、ここでいよいよ“構文への最後の逆流”を呼び起こす。

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