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Genesis of Deicide  作者: キキ
第二章 神格継承戦争/Deicide-Game
31/60

神格記録の再演算/イドの椅子

「彼は語らなかった。

でも、語りたかったことは確かにあった。

だったらそれは、“語り”になれなかっただけの“神義”だったのかもしれない」


構文制御省・第零記録帯。

数十年もの間封印されていた演算座標が、

《Lex_Seed》の出現によって自動的に再演算を開始する。


【座標開示:語義神格候補《イド=クロニア》】

【構文分類:記述不能属性/最終演算記録あり】

【備考:当時の語義候補記録、全文消去】

【唯一の残留記述:『椅子には、語って座る者だけが許されるのか』】


演算機構が再生する。

古い記憶。

だが誰にも“言葉にされなかった記憶”。

ナオは制御塔の記録室で、それを見つめていた。

映像にも音声にも変換されていない。

だがそこに、確かに()()()()()()()()()が立っていた。


制御官のひとりが、言った。


「この記録波形は、“語られなかったものを神性と認めるか”という演算そのものだった……」


別の官が告げる。


「そして我々は、その演算を――停止させたんだ。

『語義とは語られなければ意味にならない』という前提で」


だが今、それが覆されようとしている。

コト=ヴェインの語義発芽。

ナオ=ミカドの構文遮断領域。

語らなかった者たちが、語義の根源に触れている。

構文制御省は、ついに決断する。


【通知:神格構文座《Chair_0》に対する再資格確認演算開始】

【対象:語る者、語らなかった者、語り損ねた者】

【補助演算構文名:《Genesis of Deicide》】


――神の椅子は、語られた者だけのものではない。

語りたかったのに語れなかった者、

語らなかったまま寄り添った者、

その全てに対して、“神性という問い”は開かれ始めた。


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