退屈な神は暇潰しの方法を思い付く
誰も人の来ない寂れた神社の本殿の床を、そこに祀られている神が寝転がっていた。
退屈を持て余していることを隠そうともしない態度のままにゴロゴロと床を転がっていた神は、ふと顔の前で一匹の蜘蛛がトコトコと歩いているのを見つけた。
それを眺めていた神は退屈しのぎのある名案を思い付き、その蜘蛛を自分の掌へと乗せて話しかけた。
『おい、お前。人の姿が欲しいか?』
神の言葉に蜘蛛は少し迷った素振りを見せるが、やがて欲しいと頷いた。神はよしよしと頷くと、自分の力で蜘蛛を人間の姿に変えてやった。本来なら百年は生きて妖怪にでもならないと出来ないことではあるが、神の前ではそんなことは関係なかった。
人の姿に喜び感謝を述べる蜘蛛に対して神は言う。
『よし、よし。私に感謝していると言うのなら、この神社が賑やかになるように人里で声かけをしてきてくれ。感謝はそれで良いから』
蜘蛛はその言葉を了承すると人里へと降りていった。
神はその姿を見送り、これでしばらくしたら退屈もなくなるだろうと期待して待っていた。
それからしばらくの時が経ち、神の目論見通りに神社は賑わうようになった。
集まったものたちは神への贈り物を持ち、口々に神へと願いを伝えている。
その忙しさの中で神はなんだかな、と首を傾げていた。
『人ではなく人になりたい獣や虫ばかりが集まるとはなあ』
霊験あらたかな神社はこうして今日も人に知られず繁盛していた。
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