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勇すく外伝

一方的に「婚約破棄」してきた婚約者は取り返しのつかない勘違いストーカーだったようです

作者: こしこん

「サマリス!お前との婚約は破棄する!!」


オランジエール帝国建国記念パーティーの場で突如として言い渡された婚約破棄。


私、サマリスにテンプレ文句を叩きつけたのは婚約者のストーク伯爵令息。


貴族令嬢に転生した時点でもしかしてと思ってたけどまさか本当に婚約破棄されるなんて…


理由は何だ?金か?女か?


横にドヤ顔かましてる女がいるのがデフォだけど誰もいないぞ。


「私の何が不満だったのでしょうか?」

「婚約は一つで十分!お前との婚約を破棄し次第ヨシュテア皇女殿下と結婚する!!」


…what?お前今なんて言ったぁ!?


こういう場合男爵令嬢とか平民の芋女とかもっと手軽なの選ぶだろ!?


言うに事欠いて皇女だぁ!?


何故天上人に乗り換える!?イカロスなのか!?


羽もげる前に蒸発しろ!


「皇女殿下と結婚!?」

「そのようなお相手がいたなんて初耳ですわ!」

「まさかストーク伯爵と!?」


ほら見ろホール沸いちゃったじゃん!


「皇女殿下とそのようなご関係だったとは…。何故私と婚約を?」

「俺も身分違いの恋だと身を引こうとしたさ。だが、燻った情念はいずれ燃え盛るもの。愛の炎は誰にも止められない!だからお前との婚約を破棄して皇女殿下に交際を申し込む!!」


…ん?


「お付き合いされてるから結婚なさるのでは?」

「心の逢瀬は幾度も重ねてきた。交際など形に過ぎん」


んん??


「陛下は二人の仲をご存知なのですか?」

「いずれご挨拶に伺うつもりだ。陛下…御義祖父様もお認めになるだろう」


んんんんんんんっっっ!!???


こいつだけ異世界語だ!誰か翻訳魔術かけてくれ!


なければ頭のメディックだ!


「皇女殿下とストーク様は面識がおありなのですか?」

「何度も逢瀬を重ねてきたとも。夢枕の世界でな」


それをねぇって言うんだよ!やべーよこいつガチじゃん!


「さ、左様でしたか…。皇女殿下とはどのようなご関係で?」

「同じ街に別荘を持っている。実質同棲しているようなものだ」


実質はフリー素材の便利ワードじゃねぇ!


「皇女殿下が別荘にいらっしゃる時は不埒な虫がつかぬよう望遠鏡で陰ながらお慕いし同じ時間に茶を嗜み、街を散歩し、同じ時間に床に就く。それはもう情人と言うべきではないだろうか?」


言わねーよ!!


情人の前に常識人になれそれもうやっべーストーカーなんだよ!!


「それって…」

「うわぁ…」


あーあ、みんな引いちゃってるよ…


しっかしこんな状況でよく暴露できるな?


ドン○のス○ゼロよりお手軽に酔える才能が羨ましい。


「では皇女殿下の別荘にお呼ばれしたことなどは…」

「ない!だが別荘にいらっしゃる日はいつもバルコニーに出て見つめ合いながらお茶を飲んでいる。皇女殿下が俺を慕っている何よりの証だ!」


望遠鏡でガン見してたら見つめ合えるだろうよ!


それが許されるならPCハッキングしてリモートお茶会参加しても神がお認めになるわ!


「それは思い合っていると言うのでしょうか?言葉を交わしたこともないのでしょう?」

「そのお姿を納めた真画と夜ごと蜜月を交わしている」


うわあああああっっ!!出たよ盗撮写真!!


「それはどれほど…」

「部屋を見渡せば殿下との思い出が押し寄せてくる。まさに愛の砦さ」


無理無理無理無理無理ぃっ!!何なの怖いよぉっ!


精肉コーナーのロースト前チキンくらい鳥肌立ってきたぁ!


えっ?こんな本性隠して婚約してたの?


ガチのサイコパスじゃん!


婚約者と愛深めてる裏でストーカーとかスパイの二重生活か!?


「当然形になるものも用意した。…見ろ!税金3ヶ月分の結婚指輪だ!!」


横領がダイナミックぅーっ!?


税務署ー!早く来てくれー!!


血税で愛を誓うな!


公的資金で不毛な愛の橋架けるくらいなら図書館の蔵書を増やせ!


子供から大人まで幅広く読める絵本をだ! 


間違っても催眠魔術を覚えた鈍器を小説コーナーに置くんじゃないぞ!


「ダメだこいつ…早く何とかしないと…!」


私が焦燥感を募らせていたまさにその時…


「騒がしいわね。何かあったの?」


よ、ヨシュテア・ウェルナ・オランジエール皇女殿下のエントリーだー!!


前髪だけ赤い青髪の女なんて帝国を探せど彼女しかいない!


しかしいつ見てもお美しい…。あれで同年代は絶対嘘だ。


きっと神様が神絵師にデザインを外注したに違いない。


化粧水何使ってるんだろ?やっぱディオー○かな?


薬局でまとめ買いとか絶対しないんだろうなぁ…


そんなことを考えていたらストークが皇女殿下に跪いて…


「皇女殿下!私と…結婚して下さい!!」


や、やりおったぁーーーっっ!!?


タイムもプレイスもオクトパスもすっ飛ばしてのプロポーズ!


この状況のどこに勝算見出した!?無策なら逆に大物だぞ!!


「…話は分かったわ。…ストーク伯爵令息」


話を聞いた皇女殿下は兵士に二本の木剣を持ってこさせてその一本をストークに投げ渡した。


「弱い人間と添い遂げるつもりはないわ。私が欲しいのなら力を示しなさい」


まさかの決闘!?しかも皇女殿下と!?


これ斬りかかった瞬間叛逆ざ…


「お覚悟ーー!!」


ノータイムでいったーー!!?


「えいっ!」

「ごばぁーーーっっ!!」


ノータイムで逝ったーー!!?


えっ?ちょっ!今人間が3mくらい吹っ飛んだんだけど!?


「叛逆罪よ。ひっ捕らえなさい」

「はっ!」


いや理不尽!


「さぁ!オランジエール帝国の偉大な足跡と栄光ある未来に…乾杯!」

「か、乾杯…」


有無を言わさぬ音頭に誰も異など唱えられない。


皇女殿下によって場は完全に支配され、婚約破棄騒動なんて最初からなかったかのような楽しい時間が流れていった。



その後、ストーク伯爵家は皇女殿下に斬りかかった罪でお家取り潰しの上国外追放になったらしい。


しかも多額の借金までしてたらしく今は「蒼眼の悪魔(ブルスダイモン)」と恐れられる借金取りに捕まって一族郎党過酷な返済生活を強いられてるとかなんとか。




「散々だったけどいい体験だったわ…」


パーティーから数日後。


私は屋敷でお茶を飲みながらあの瞬間を振り返っていた。


「皇女殿下には感謝しなきゃ。おかげで…




()()()()()()()()()()()


あの男に女の影がちらついていることはかなり前からわかっていた。


その相手が皇女殿下でただのストーカーだとは思わなかったけど…


「ふふっ、待っててね公爵様…」


適当に難癖つけて切るつもりだったけどおかげでいい方向に転がった。


これで私は恋慕に狂った婚約者に裏切られた悲劇の令嬢。


それを使えば本命の公爵様もころっと落ちるはず…


「公爵夫人の座は私の物。あんな田舎女には勿体ないわ…」





初めましての方は初めまして

こしこんです!

今回のテーマは「婚約破棄する方もされる方もまともとは限らないよね?」です

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― 新着の感想 ―
[一言] 皇女殿下が対応がやたらと手慣れているーーー!! ひょっとしてこの手の変態が珍しくないのか!? 主人公も腹黒いしこの国終わってない?
[良い点] 冴え渡る突っ込みとパンチの効いた髪の皇女の勢いにおされまくってたら、まさかのラスト… 令嬢も同類か?同類なのか…やべぇ奴しか居ない(´・ω・`)
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