芽出し
初めて物語を綴ります。
読みにくいとこ、表現力のなさがあるかもしれませんが
完結を目指して、書き進めていきます!
どうぞ、よろしくお願いします。
晴れ空。
雲ひとつない快晴。
ビルの隙間から覗いている小さな青空を見上げるボクは、さぞ田舎者に見えただろう。
慣れないパーティ用のスーツに身を包み、式場までの道のりを招待状で確認をする。
「ホテルまでバスが出てるみたいだけど、間に合うかな?時間あるし歩いてく?」
「バス停の場所だって書いてあるんだからバスで行こうよ」
そう言って、ボクの手をとる百合。
ボクは足をもたつかせながら手を引かれて歩く。
彼女にとっても慣れない場所であるはずなのに、
彼女の足どりはどこか軽やかだった。
延期に延期を重ねて、今日という日に式を挙げられる事になったのがさぞ喜ばしいのだろう。
いい歳をして、浮かれなくてもと思い、彼女に水を差す。
「ねぇ、ちょっと、早くない?」
ボクの手をとったまま、前だけを見て歩く彼女。
「久々に2人でのお出かけだよ?オシャレもしてさ。それが嬉しくないの?」
表情は見えなくても、不貞腐れてる顔が容易に想像がつく。
ボクは歩幅を広めて彼女の横に並ぶ。
「てっきり、式が楽しみなんだと思ってさ。ごめんごめん。」
チラッとボクを見る彼女。その表情はやはり不貞腐れてる。
「2人でのお出かけがどれくらい振りなのか知ってる?もちろん、結婚式が楽しみなのもあるけど。」
彼女の小言を聞きながら、バス停に着くとパーティドレスを着た2人がバスを待っている。
どうやら、ここからバスに乗るのだろう。
ボク達はその後ろに少し距離をとって並び、スマホを手に取り時間を確認する。
「あと、2、3分くらいみたいだよ。」
「え?あぁ、そうなんだね。」
返事の歯切れが悪く、繋いでいた手を離してスマホを取り出している。
「なにか気になることでもあった?」
「ううん。なんでもないよ。」
そう答えながらも、どこかよそよそしい様子を見せる。
気にはなったが間もなくしてバスが到着した。
後から来た、スーツを着た声の大きな人達とも一緒にバスに乗り込む。
バスの中では、妙に大人しい彼女。
バスの中でも騒がしくしている人達に圧倒されているんだろうか。
「ねぇ、見て見て。都会ってスゴいね。道路が3車線もあるよ。」
彼女からの適当な返事をよそに、窓の外を眺めるボクの姿は彼女の目から見ても、とんだ田舎者に見えたことだろう。