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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

一人称短編(古いのも込み)

1層守護者ののんびりライフ

作者: 秋雨そのは

殴り書きで書いたものです。ツッコミどころ満載ですが、暖かい目で見てください

 オンラインゲームとして有名な『ブレイブスターオンライン』

 そこは、大自然や砂漠などを自由に探索できるオープンワールドである。

 レベルからステータス、ウィンドウ、チャットなど様々な機能を供え。

 魔法、スキルなど戦闘システム、裁縫や採掘など生産システムがある。

 種族は多く。

 人族、魔人族、獣人族、妖精族、翼人族、龍人族、兎人族、ドワーフ族、巨人族、エルフ族、各それぞれのハーフなど。


 そして、このゲームは、1度力尽きればキャラ消えるという事。

 普通に考えれば、面倒極まりないが、そういうゲームシステムとみんな認識している。


 強さはそれぞれの良さがあるが、明確な順位があるとしたら、人族<他全種族 である。

 全体的なステータスに負け、生存力も1番下なため。

 使う人はコアな人がいい。


 ただ、このゲームの悪いところそれは……レベル以外お金で解決できるからだ。職業解放、スキルだろうと、アイテム入手だろうが、力尽きようが課金をすれば何とでもなる。


 ヘッドホン形の機械は、脳の神経に電波を流し意識をゲームの中へと持って行くらしいが詳しくわからん。

 俺はゲームを起動し、今日もやり始める。


 INした時、体は細身で他の人から見れば静かそうなイケメンといった様子だ。

 黒髪黒眼で、服は黒色の落ち着いた色のコートと黒色のズボンだ。


 何時もの様に確認する為、ステータスを開く。


名前 カゲサメ

種族 人族

レベル 1(限界突破数999回)


 スキルの表示はしてない、そしたらこんな文字の量、あっという間に埋まるだろう。


 レベルは1だが、限界突破により1。

 限界突破についてだが、最大レベルが1000

各職業のレベルから限界突破する度に選んで-1される。

また、限界突破すると戦闘職のみ全部レベルがリセットされる。


 レベルは全職業の合計であり、1職だけ育てたところで限界突破は出来ない。


 10職あったらそれぞれレベル100にしないといけない。


 戦闘職の数は10職だが、派生は含まない。

 生産職も10職、戦闘職と別でこれは最大100で直接的なレベルには関係しない。


 このゲームは、限界突破によりステータスが上がる。

 レベルが上がったところで、ステータスの変動しない。

 レベルは次のスキルに続くための階段なだけである。


 さて、長々しく前置きをした所で意味はない。

特に課金してるわけじゃないから、単純に長年やっているだけだ。


 何時もの様に、最初の街、アルトリアでぶらぶらする。

 人族は、人気はあるが俺みたいにここまでする人はいない。


 街並みはゲームとは思えない光景で、NPCが意思を持った様に動いてる。

 もしかしたら、別な世界なのかもな~、と思ってみる。

 話掛けてくるし、話を掛けると普通の返答が返ってくる。


 そんなこんやしていると、いきなりシステムが警告音を発した。



――緊急事態、緊急事態、現在謎の集団によって、このゲームは占領されました。何が起こるか分かりませんので、ログアウト処理は出来ません……繰り返します――



 イベントとかではないガチの奴か、まぁ現実に戻ってもやる事ないしいいか。

 周りのユーザーは慌てふためき、嘆いたり、鼻で笑ったりした人もいた。


 のんびりベンチに座り込むと、運営からメールが届いた。


『各種族に緊急招集です、このメールをもらった方は、即刻転移されます』


 なんだこりゃ?

 すると、強制的に転移に入る。



 転移が完了するとそこには、各種族1人ずついた。

 周りの建物は、黒い城だろうか、黒壁に囲まれて外の様子がわからない。


 妖精族の小さな女の子が、言う。


「なんで人族までいるの? 超邪魔なんだけど」


 それを巨人族の人がなだめる。


「そういうな、各種族揃ったんだからこの後何かあるのだろう」


 龍人族の人は鼻で笑う。


「ふん、どうせ中途半端なレベルだろう、まぁ期待はしないがな」


 エルフはふざけた口調で笑う。


「レベル1だから他の人族いなかったんじゃないの?」


 他の種族は無言だった。

 俺としては、批判された方が楽だけどな。

 そろそろ誰か来てくれないと寝ちゃうよ?


 少し待つと30代くらいだろうか、スーツを着た人が入ってきた。


「貴方様方にお集まり頂いたのは、このゲームを守る為に集まって貰いました」


 龍人と巨人族は「ほぅ」とか言っていた。


「現在ウイルスの処理で、手一杯のため力を貸して貰いたいのです」

「それはわかったが、何故各種族集めたんだ?」

「ここの防衛を頼みます」


 俺は、獣人族とやり取りずっと見ていた。


「ここに入るとウイルスが湧いて出てきますのでお願いします」

「形とかはどうなんだ? 分からないと何もしようがない」

「人ですかね、色々なデータを食ってバケているのです」


 成る程ある程度は、理解出来た。要はこの人、殺し合いをさせるつもりだな。

 人は外界と、隔離をすれば、狂い人は運営が入るここに入り込んでくる。

 それをウイルスだと認識させて、戦わせる。


 すると、その人は俺に指を指すと。


「どうやらここに、ウイルスがいる様なので、倒して下さい」


 この男何を言いだすんだ。

 俺を殺させるつもりか、1度殺させれば、タガが外れるのを狙ってか。


 全員は俺に注目を当てる、オロオロしてる人や、雑魚だからだと見てる人、などがいる。


 龍人族の男がこちらに斬りかかってくる。

 見た目は人間サイズの2足歩行ドラゴンといった感じだ。体を覆う、緑色の鱗と背中に生えたドラゴンの翼が特徴だ。

 動きは大ぶりで、何故か槍を縦に振り下ろしてくる。

 槍は基本突く物だと思っていたんだが、俺の検討違いか?


 武器は間違っていない、けど素人丸出しの動きじゃたかが知れてるな。


「何故そんなに舐め腐った動きなんだ?」


 挑発にも似た言葉を、攻撃を避けながら掛けてみる。

 俺は、間違った使い方をしてる。龍人族に聞いてみる。

 これじゃスキルも会ったものじゃない。


「ふんっ! これから死ぬ貴様なんぞに教えられるまでもないわ!」

「そうか、そろそろ飽きたし気絶しててもらえると助かるけど?」


 案の定、龍人の男は俺の言葉に聞き耳を立てる気は無いらしい。

 よくこいつここまで、生き残ってこれたな。

 次に来る横の薙ぎ払いを避け。


「おらっ!」


 腹に1発、右拳をぶち込む。

 龍人の男は、あまりの痛さに顔をしかめたが、俺はすかさず追撃を加える。

 左手で頭を掴み、思いっきり壁に向かって、ぶん投げる。

 龍人の男は壁に激突した衝撃で気を失っていた。


「それで、次は誰がやるんだ?」


 周りの種族の人は唖然としてる中。

 わざと腕ポキポキ鳴らして、スーツの男を睨みながら言ってみる。

 スーツの男は、涼しい顔で歓喜の声を上げた。


「素晴らしい! レベル1でそこまでの性能をお持ちとは」

「マジかよあれでレベル1か」


 周りは信じられないなど色々な声がするが。

 いくら課金をしても、レベルまではお金で買えない。

 こればかりは、時間と効率をやりすぎた結果だ。


「どうせ、外の世界が云々あるんだろうが、俺は寝たいんだ。持ち場があるならそこで寝させてくれ」

「いいでしょう、貴方方の階層をそれぞれ用意してあるので案内します」


 あ、そうだと言いたげに、スーツの男は龍人の男に右手を向ける。

 魔法を使う時に魔法陣が形成され、詠唱と共に放つのが一般的だが。

 魔法陣を発生させて、そのまま龍人の男を燃やした。


「この男は、どうやら外れだったようなので、死んでもらいます」

「あんた狂ってるな」

「何、簡単な話しですよ、雑魚には退場してもらうだけですよ……永遠に」


 背筋が凍るような、言葉だが正直どうでも良かった。

 眠いしな。


 案内してもらい、各階層に辿り着く。

 俺は1層目だ、普通に考えたら問題がないだろうが。

 多分見た感じ、一番強いのは俺のようなんだが。


 そう、ここにいる誰もが知らなかったのだ。

 スーツの男でさえ知らずに。

 この男は、全ての限界を突破した上でここいることを。


□◆□


 私の名前は、カイネル・アル・ワーネル。

 種族は兎人族。


名前 カイネル・アル・ワーネル

種族 兎人族

レベル 1


 突然、多くの人間がここにやってきた。

 何故かは分からないけど、その人々混乱したりしている。

 だけど一番の異様な物を見て、言葉を失っていた。


 地面から突然出てきたと思ったら、天まで届きそうな塔が出現したのだ。

 私は、調査するために中に入ろうと扉をノックしてみる。


 返事が無いので、そ~っと扉を開けると。

 中は相当広い空間で周りは黒の壁に囲まれ、だけどその中心には。

 異様な光景が広がっていた。


 血まみれで倒れる人、手足をもがれて苦しむ人、絶望を見て涙を流す人などが数十人居た。

 それをどうでもいいかのように、床に寝てる人物がいた。


 種族は人族だろうか。黒髪で黒服、イケメンの様な顔立ちだけど、どこかやる気がなさそう。

 無事な人間がその人に向かって魔法を放つが、彼の体に触れる瞬間に。

 彼が消え、魔法を放った男を何時移動したか分からない速さで近づき、蹴り飛ばす。


 普通、武器や魔法などと言ったものは、どんな肉体的よりもの強くなると知っている。

 だけどこの男は、手加減した上で、あの威力なんだと思う。


 次の瞬間、男が。


「時間切れだ、出て行け」


 そう言って、指を鳴らすとそこまで居た人が何処かに転送されていた。


「それで、そこにいるのは……」


 私の存在に気づいていたようだ。

 先程の眠たそうな顔をこちらに向けてきた。


「やる気は……なさそうだな」

「む、無理。無理ですぴょん!」


 私は、必死に否定した。両手をブンブン振り、顔を横に振り。

 男は、驚いたように目を見開くが、何かあったのだろうか?悪い人では無さそうなので、質問してみる。


「あの……、ここ何の塔ぴょん?」

「何と、言われると俺も困るな……、強いていうなら権力者の城って感じか」


 権力者の城? 私には理解が出来ないけど、少なくとも私じゃ到底上までたどり着けないだろう。

 男は、頭をポリポリ描くが私に対し敵意はない様だった。


「さっきの奴らと違うみたいだな、ちょっとついて来い。ゆっくりできるところに連れていってやる」

「???」


 そういうと、男は歩き出した。

 壁の所で男は、手の平を付けると不思議な扉が現れた。

 男は、扉を開くと家の中といえる空間が広がっていた。


「ここで、ゆっくり話そうか」

「は、はいぴょん!」


 私は、男が優しく微笑んだ。顔に釘付けで返事する時に、声が裏返ってしまった。

 すると、さっきの場所から大きな音がする。

 先程の入り口の扉からだ。


「ちっ! またか、今日は来客多すぎるぞ!」


 男は、面倒そうに舌打ちすると。

 私に話しかけてきた。


「すまない、すぐに終わらせるからそこで待っててくれ」


 そういって、私の元から去った。


□◆□


 実はあの後、各階層に別れさせられたんだが。

 俺の人族が1層、エルフが2層、ドワーフが3層、兎人が4層、獣人が5層、巨人が6層、翼人が7層、龍人(死亡のため空き)が8層、妖精が9層、魔人が10層、統括が11層だ。

 正直、この順番に文句は無い。

 だが、1層は誰かしら入ってくるので、忙しくてたまらない。


 俺はここに来てから1日目だが、あの兎人族の女はここに来たタイプとは全然違った。

 頭に長い耳と、尻尾がある兎族は、使う人はいっぱいいたが。

 彼女は、白髪で赤い目の純粋な顔で、俺と受け答えをした。語尾はおかしいが。

 多少の恐怖はあったかも知れないが、ここに来たプレイヤーとかけ離れていた。

 NPCかと思ったが、ここがゲーム世界に似た異世界だったら、という考えも含め話して見たいと思った。


 さてと、一息付くと目の前にいる。

 数十人のプレイヤーがいる、先程蹴散らした奴らではないが。

 みんな、こちらに敵意を向けている。


 口々に罵倒の言葉が聴こえる気がするが、気にしない。ここに来るメンツは、だいたいそんなものだ。

 やる事は1つ、一瞬で片付ける事だ。

 スキルの1つ、妖刀八方を発動し居合の構えで妖気を纏った刀を出現させる。

 数十人が俺に襲いかかる寸前に発動させる。

 このスキルの特徴は、全員に1人辺り8回ダメージ+直線範囲で、近いとその人のダメージも受ける。

 つまり、1人の近くに1人いたら、計16回のダメージが入る。


 数十人いた、人は跡形もなく肉片と化した。


「相変わらず、人を殺す感覚ってのは慣れねぇな……」


 いや、慣れたら人としてどうかと思うがな。

 指を鳴らして、片付ける。


 兎人族の少女に会いにいった。

 すると、先程のを見ていたのか、驚愕の表情をしてへたり込んでいた。


「大丈夫か?」


 そう言って、手を差し出す。

 流石に嫌われたか? 少し赤くなって、俺の手を取った。


「あ、ありがとうございますぴょん」

「人殺しってのは、本当はしたく無いんだけどな……」


 そう心から思ったことを言ってみる。


□◆□


 私は、凄い物を見てしまった。

 彼が、何も無い所から武器をだし。人が簡単に、粉々に、肉片の様に血飛沫をあげながら斬り刻まれたのだ。

 彼は何とも無い様に、それを元に戻すと、それは何処かへ消えてしまった。


 でも彼はこんな事好きでやっている様では無い見たい。罪悪感より、虚無感の様な寂しい感情に見えた。


「あ、あの……、貴方はここから離れられないのでしょう」

「考えたこともなかったな」


 盲点だったみたいな顔をしたが、彼はため息をつき。少し、残念そうに首を振って答える。


「上に掛け合って見たいが、当分は無理そうだ」

「そう、ですかぴょん」


 彼は、1つ息を吐くとこう告げた。私は、やっぱり殺されちゃうのかなと身構える。


「俺がここの階層を担当してる間は、出入りしてもいいぞ、ただ上には行くな」

「上、ですぴょん?」

「あぁ、俺みたいに甘い連中はいないし、容赦ない奴が山程いる。だから、ここだけにしろ」


 彼は本当は、優しい人なのだろう。私の事を殺す様な目で見ないで、優しく慣れ親しんだ人の様な目で語りかけてくる。

 何故なら、そんな事言う必要もなく、更にはここに出入りしてもいいし。


「あ、それとな……その、お前が追われてここに入って来たら、た、助けてやるよ」

「え? そこまで、いいんですぴょん?」

「か、勘違いするな……お前以外を認めてないから、倒すだけだ」


 彼は照れ臭そうにして、弁明して来る。

 この人は、きっと不器用なのだろう。と私は思って、つい笑ってしまった。

 彼は、顔を真っ赤にして「わ、笑うな! 人と話すことほとんどなかったから、喋り相手が欲しかっただけだ!」と弁明したけど。私は不安が無くなった事と、彼は非情じゃない安堵で小さな涙を流しながら笑った。



 それからというと、私は頻繁にここに出入りしていた。

 彼はいつも気だるそうに何もしてないらしい。部屋を見る限り何もなく、ただ飯と寝るだけの場所だ。聞いた話しだと、上の階に行くほど贅沢になるらしい。


 すると、上の階から物音が聞こえた。階段を降りる音みたい。

 私は、恐怖と彼の指示で教えてもらった避難場所に潜む。


 いきなりこの部屋を開けるとエルフ族の女の子が入って来た。


「人族ここにいるんでしょ、出て来なさい!」

「なんだ、騒々しい。目の前にいるだろう」

「いつまで経っても何も来なくて暇なのよ」

「そっちは、気楽でいいな。変わってほしいくらいだ」


 エルフは鼻をふんっとならすと。


「貴方私の運動相手になりなさい、そうすれば貴方も光栄でしょ?」

「いや、全然有難くもないんだが」


 私は影でその話を静かに聞いていた。


□◆□


 面倒な事になった……。


 正直いって実力差が分からない相手をするのは、手加減がしにくい。女性を殺めるのは、俺の主義に反するんだが。

 彼女の強さが分かれば簡単なだけどな。


「そうね、あんたが負けたらそこにいる。奴を殺すわ」

「やっぱり気付いてたのか」

「当たり前でしょ、物音は敏感なのよ」


 面倒だな、どうせならこっちも条件付けるか。


「なら、こっちが勝ったらたまにここに遊びに来てくれ」

「は? 構わないけど何が目的なわけ?」

「こっちも暇なんだよ」


 そういって部屋をでて、大広間に2人相対するように離れる。


「それじゃ行くわよ!」


 エルフは、そういうと気配と影を消した。視界では彼女を捉える事は出来ないだろう。

 スキルは、色々な系統があるが、隠密のスキルだろう。

 俺には関係無いがな。


「剣現」


 そう言ってゲートを開く、別に何てことはない。

 空間から剣を出しているだけなのだから。

 そのゲートの数が異常なのだ、普通のプレイヤーが使っても最高で10個程。

 俺が出したのは、100個だ。


 無論スキルはスキルレベルに依存するのだが、これが厄介で限界突破しない限り、スキルレベルは10までしか上がらない。


「行け」


 無数の剣がデタラメな方向に飛んで行く、それは隠れている者にとって好都合だが。

 マーキングした剣を1本入れるとどうだろうか?

 無数の剣の中、視界すら危うい状態で避けられるか?


 そんな事を思っていると、剣が1点に刺さった。


「勝負ありだな」


 俺はそう言った。


□◆□


 私の名前は、エリアナ……勿論ゲーム内の名前だ。

 このゲームに出来る限り課金をし、1職だけを極めこのゲームをやって来た。


名前 エリアナ

種族 エルフ

レベル 100


 ランキングは5位、普通に考えれば簡単になれるものではない。


 だけどこの男はなに?

 装備は貧相な無課金装備、しかも最弱な人族。

 すぐに片がつくだろうと思っていた。

 1撃で終わらせるため、隠密の最上スキル無影を使い近づこうとした。


 すると人族がこう言った。


「剣現」


 それは、使うものが使っても微妙なスキルで、ゲートを出すが精度も良くない剣を飛ばすスキル。


 数は最大で10個と聞いた事あるけど。

 目に見える数は何個?

 私は唖然としていた、その時。


「行け」


 その言葉と共に、無数の剣がデタラメに飛び交う。

 速度もタイミングも全てバラバラ。

 その時1本の剣が此方に飛んでくる事が分かった。

 だけど私は動けなかった、動けば無数の剣につら抜かれ痛みに悶えた瞬間。他の剣が刺さる未来が予測できてしまったから。


 私に剣が突き刺さり、そこで意識が消えた。


□◆□


 はぁ……。


 面倒だ、殺さなかったとは言え、このままじゃこのエルフは死ぬだろう。

 痛みのショックで気を失っているし、何より呼吸が浅く。血が止まらない。


「くそっ、手加減がわからねぇ」


 そう言って俺はアイテムボックスから回復アイテムを取り出す。

 それを無理やり飲ませると、みるみる内に傷がふさがった。


 兎族の少女がこちらに走って来た。


「あの、貴方が規格外なのは何時も事ですけど。何故助けたんです?」


 酷い言い様だ、俺は女に極悪非道を働いてるみたいじゃないか。


「俺は女は殺さないようにしてるんだ」

「疑わしいぴょん、でも攻めてくる人の中に女性の方いるぴょん」

「殺してはいない、飛ばす時に街に飛ばしてるしな」


 そんな事を言い争っていると、エルフが意識が戻ってようだ。


「……ん? ここ……は?」

「ここは俺の部屋だ」


 近くでそういうと、エルフが飛びのいて壁際に逃げた。

 なんか前にもこんな事あったような。


「あ、あ……ぁ貴方、私の身体を何しようとしてたのよ!」

「酷いな、傷直してやったのに」

「え? あ、本当だ」


 エルフは、自分の身体を見て納得していた。

 さてと、と前置きして。


「忙しいけど、弱い奴らばかりだから、飽きちゃってな。カードゲームとか遊びに来てくれると助かる」

「え? えぇ……いいわよ」


□◆□


 どうも、兎族のカイネルです。

 最近というか、毎日エルフのエリアナさんが遊びに来てます。

 私もですけど。


 今日は買い出しで、店に寄ってから行こうと思います。


「お、カイネルの嬢ちゃん今日も買い物かい?」

「はい! あれと……これと、それお願いしますぴょん!」

「あいよ! 安くしとくから、いつでも来な!」

「ありがとうございますぴょん!」


 果物屋のおじちゃんにお礼を言って後にする。

 あ、そういえば彼の名前聞き忘れてた。

 あんなに一緒に居たのに、名前を聞いてなかった。

 出会ってから、3か月程たったのに。


 スキップしながら、歩いていると男の人達に囲まれた。

 あれ? 何だろう凄く嫌な予感。


「俺らは、海賊団〜最強の男たち〜」

「女は〜俺らの〜奴隷〜」

「今から〜覚悟〜しろよ〜」


 凄く下手な歌を歌って私の周りをグルグル回る。私は特に何もしてないんだけど、奴隷とか言ってた様な……。


「よし、兎族のお嬢さん俺達と来ないか?」

「えっと、すみませんぴょん」

「そんな事言わずにさぁ〜」


 うぅ~、この人達怖い~。私は、首から下げたペンダントを触った。


 このペンダント実は、彼から貰ったもので。

 彼曰く、「お前はこのペンダントに触って助けて! と言ってみろ、きっと大丈夫だ」だそうだ。

 凄く大雑把な説明だったけど、しかも使う機会が無かったけど、この時しか無いよね?


「助けて!」

「誰も来やしねぇよ」


 私は、このまま……。怖いよ。

 すると、視界がボヤけた。そこにいる人も巻き込み、転移した様だ。


「よっ、大丈夫か?」


 そこに居たのは、1層守護者その人だった。


「おい、ここは何処だ。何しやがった!」

「おいおい、入り込んで来たのはそっちじゃねぇか」

「やっちまおうぜ兄貴!」


 そう言って私を置いて、3人の男たちは走ってカゲナワさんに向かう。


「俺の大切な人を、よくもまぁ虐めてくれたな……」


 凄く今までの比じゃない、殺気を放っていた。それに気づかず3人は斬りつけようとするが。

 後、さらりと大切な人って言われちゃった、ドキッとしちゃうよ。


□◆□


 あのペンダントを渡したのはいいが、鑑定欲しくないな〜。

 そんな事思っていると、エルフのエリアナがお菓子を食べて、テレビを見ながら。


「貴方彼女にペンダント渡してたわね、あれって見た事無いんだけど」

「流石に言いたく無いな」

「言いなさいよ! 私だけ知らないのは嫌よ!」


 意外と寂しがり屋なんだろうか、それかただのツンデレ辺りか?


「あいつも知らない、使い方だけ教えだがな」

「知られるとマズいアイテム?」

「そうではないが……あれは、エンゲージテレポのネックレスだ」


 そうエンゲージだ、普通は夫婦間で使い。死んではいけない、この世界唯一の緊急脱出アイテムでもある。しかも、永久的に使える上、詠唱がない。

 ただ、鑑定されると……名称とテレポ先の名前が出るため、夫婦になったのか? と思われるからである。


「永久使用の無詠唱アイテムですって! それ私にも頂戴よ!」

「あるが……色々問題じゃないか?」

「そんなアイテム、みんな知ってたら使ってるわよ」


 そう、俺はこれを何十個も持っている。ある筋から、結婚、離婚を繰り返しやったものだ。

 ちなみにこれは、持っている人からプレゼントという形だと。その人と渡した人が転移先になる。


「っと反応があった。なんか面倒ごとに巻き込まれた様だ、俺は広間に行ってるぞ」

「行ってらっしゃい〜」



 俺は広間にに着くと、4人が転送されて来る。

 このアイテムの面倒な事は……10メートル以内だと一緒に転移してしまう事だ。

 不安そうな彼女に、こういう。


「よっ、大丈夫か?」


 すると彼女は安堵したのか、胸を撫で下ろした。

 さて、よくもまぁ。彼女を怖い目に合わせたなぁ?


「俺の大切な人を、よくもまぁ虐めてくれたな……」


 ただでは殺さん、絶望与えてやろう。

 3人は突っ込んで来たが、普通だ。特にスキルを使ってるわけでもなく。斬りつけようとするが。


「影縄」


 それは俺で無く、分身だ。というよりは、分身を出した瞬間に隠れただけだ。

 拘束スキルの中で使い辛いと言われるだが、拘束力はどのスキルより、格上だ。


 3人は俺の分身の影でいわば、影縛りといった感じに動けない。

 後はどう料理するかだが……。うーん、思いつかん。


 3人は悶えて全然抜け出せてないし。


「何だこれは!」

「テメェ俺達に何をしやがった!」

「何、簡単な話だ」


 そう簡単な話だ。今からお前達は死ぬんだからな。


「久しぶりの餌だ。お前ら出てこい。デモンズゲート!」


 俺は、両手を広げ黒い球体を発生させる。その球体が手から離れ……大きなゲートに変化する。

 片方のゲートからは、人型の男性だが大きな角に、大きな尻尾が生えていた。端から見れば、美男子でありながら、近くに行くと。その気持ち悪い程の雰囲気と誰でも圧倒するような圧力のある笑みを浮かべていた。


名前 ベルダー(ブラックカイザーヘルドラゴン)

種族 終末龍

レベル 1(限界突破999回)


 一方片方のゲートには、同じ人型で今度は女性だ。ただ、大きな悪魔の翼や悪魔の尻尾が生えていた。こちらは一目見れば惚れてしまいそうな美貌だが。同時に精気まで全て絞り尽くされそうな程の不気味な笑みを浮かべていた。


名前 メルカナ(アナザーデスデビルインプ)

種族 大総括妖魔

レベル 1(限界突破999回)


「「お呼びですか主様」」


 2人は俺の前に跪く、この2体は俺が最初から育てた馴染みのあるモンスターだ。職業共に全部を上げてある。ほとんど俺1人でやってしまうから、そろそろ呼んでみようと思ってな。

 そんな事を思っていると、影に縛らた奴らを見ると驚愕に……絶望の表情が見えた。


「何なんだ……こいつらわ」

「無理だ……無理に決まってる。この男よりよっぽどヤベェ」


 そんな奴らにベルダーは鼻を鳴らすと、彼らを睨みつけ。メルカナも続いて睨む。


「我が主が私達より弱いと? そんな事天地が引っくり返ってもありませんね」

「そうですわ、この方は全ての事を知った上で私達では傷1つ付けられないでしょう」


 うん、過大評価過ぎるな。俺じゃ多分この2人に迫られたら勝てるかわからないぞ? ゲームの中なら試してみようかってなるけど。現実じゃ嫌だわ~。

 兎人族の彼女の元に進む。彼らが暴れたら危ないしな。


「大丈夫か?」

「ありがとうぴょん、あの……あの方達は?」

「あれか? あれは、俺の魔物だ」


 彼女は驚いて、口に手を当てていた。そして呟くように「やっぱり……規格外なんですね」と言われた。否定はしないが……結構傷つくぞ。

 影縄を解いてやる。どうせ、逃げられる程の事許してやらないだろう。

 解いた瞬間、彼らは3人は一目散に入り口に走る。


「逃げろ! 勝てるわけがねぇ!」

「鑑定石で相手の情報見ながら逃げるぞ!」


 あ、ヤバイな~。これ舐め腐って「勝てんじゃね?」と思っちゃうパターンだわ。

 現に止まったしな。


「「「え? 弱くね?」」」

「あぁ~あ」


 3人は一斉に、こっちに振り向いてきた。普通ならそう思うだろうが、もうちょっと頭使おうよ。このくらいの強さでそんな圧倒的な威圧ないよ?

 3人はそれぞれ、1人1体を相手する形に散開した。


「お、脅かしやがって。テメェらレベル1じゃねーか。俺の名前はワルマ、レベル30だ!」

「あっしはカルマ、レベル30だ」

「オレはメルマ、レベル30だ」


 いや、何でレベルまでご丁寧に言った上に。名前似てんな~。

 2人の魔物は本来の姿になっていないが、正直そんな必要はないくらい弱そうだ。

 影縄に引っかかるくらいだしな。


 人の姿だとステータスが半分以下になるから、正直人化意味無いんだが、俺がしたかったからである。

 妖魔の方は、あまり見た目はほとんど変わり無いが不気味度が目に見えて変わる。

 ドラゴンの方はまぁ元々の大きさじゃ無いしな。


どうしようかなぁ〜、面倒だから任せるか。


「じゃ、後は頼んだ」


「「有難き幸せ!」」


 俺はそのまま、床に寝っ転がり床で寝た。

 実は内心結構驚いていた。俺の持っている魔物が、ではなく。喋るという事に、ゲームでは基本的に魔物はボイスなどが無い。レベル上げ、スキルを覚えさせて探索に行かせるくらいだ。


 兎人族の少女は、こちらを見て「床で寝ると体痛くなりますよ?」など言ってきた。

 彼女もこの事に突っ込まない辺り、慣れたみたいだ。


 そういえば、名前……聞いてなかったな。


「お前の……名前聞いていいか?」

「え?……は、はい。カイネル・アル・ワーネルと言います」

「俺はカゲサメだ。名乗らなくて……その……すまなかった」


 俺は彼女に背を向けた。

 そのまま、俺の魔物の方に視線を向け観戦する。

 そこには、地獄が広がっていた。それに気づいたカイネルは凄く青くなっている事に気付いてなかった。


□◆□


 我の名前はベルダー。

 我が主の忠実なる僕なり。主は魔物全てにおいて名前を授けてらっしゃる。普通の人間であれば、魔物を使役するだけでも気分を害するというのに。

 我が主は、2000と超える魔物を持っておる。隣にいるメルアナは。


「どうしたの? ベルダー、久しぶりに出れて嬉しくなったの?」

「そうではない、主に会えて嬉しいのだ」

「そうね、基本は私達を色々な場所に行かせるだけだったもの」


 そう、会う事は会っても話かけるという感じではない。話が出来て、嬉しさが出てしまったようだ。

 メルアナも体を抱いて喜んでいるところを見ると、嬉しいのだろう。


「この餌をどう分けるかを考えなければな」

「でも燃やしたりしちゃダメよ?」

「そうだな、食べられなくなってしまう」


 あそこにいる餌は、何やら言ってくるが我らには関係のない事。

 主は寝るようだが、こちらを見ているため。気合が入る。


「料理を始めよう」

「了解〜」


 我は、ドラゴンに戻る。大きさが5倍程だが構わず飛ぶ。

 姿は、漆黒の鱗に真紅の瞳、そして黒曜に光る翼。まさに、終焉を伝えに来たドラゴンそのものだ。

 下に向かって、口からブレスを吐き出す。


「フィールドフレアポイズン」


 猛毒と炎を組み合わせた。フィールド型ブレス殺傷能力は無いが相手を極限まで弱らせるのに最適だ。

 主殿とその脇にいる。兎人族の少女も巻き込まないようにな。


 下に着地すると、餌はこんがり焼けながら毒の苦しみを受け悶えていた。

 メルアナは美味しそうに、見ていた。


「いい物持ってるじゃない! これなら、楽しめるわ〜」

「我はお前が終わるのを待つ終わったら、我がもらう」

「はい、はーい」


 そう言って、メルアナは消える。餌は意識を失って、夢の中に入ったのだろう。


 少しの間待っていたら、メルアナが戻ってくる。


「ん〜、やっぱり人間の精神は美味しいわ〜」

「そうか、我はこの残りを食べるとしよう」


 炎を消し、丁度いいくらいに焼けた人間を食べ始めた。

 我が主に感謝を、人間を食うのは何年振りだろうか。


□◆□


 うん、ありゃ怖いわ。引くわ〜

 ベルダーは周りを燃やしていた、炎は毒々しい色と共にあり息を吸ってその場に居るだけで倒れるだろう。

 メルアナはその時に、意思の弱った精神を魅了させ、相手の精神を喰らう。


 しかも最後にベルダー食べてたし、グロッ!と思った。



 あれから、事を言うと特に何も無かった。人の襲来ですら無かった。

 本当に暇な日々が続いて、俺の生活は更に堕落していった。

 脇にいる人達以外は寝て過ごす日々だ。


「最近何故かお肌の調子が悪いのよ」

「そうですね、肌の調子は大事ぴょん」

「あんたはどう思うのよ?」


 俺に言われても、分かるわけがない。女性の悩みなんてもの、実際に現実であってもゲームでも女性との接点は1つも無かったし。


「知るか」


 俺はベットに寝っ転がりながら答える。そういえば、ここの施設って自由にしていいとか言ったよな?

 ならリゾート施設でも作れるかもな。


「こいつに聞くのが間違いだったわ」

「しょうがないぴょん」

「私と2階層行きましょう」


 そういって、エリアナはカイネルと一緒に2階層に上がっていった。さて、俺は肌の悩みなんてものは無いしこれから悩むつもりもない。ただ、これ以上騒がれると面倒だしな。

 べ、別に悩みを解決してやろうとかじゃない。

 はぁ……1人でそんな事言ってもしょうが無いやるか。


パチンッ


 何処かのヒアルロン酸だか、エステやら何やらバカッ広い空間を想像して。指を鳴らす。



 そこに現れたのは、現実にある。温泉施設やエステ施設、店から何まで勢揃いだった。

 マジか~、俺の部屋端っこのポツンとしてるじゃねぇか。魔力も結構使ったけど、まぁ微々たるもんだ。

 後はあれか整える魔物でも配置するか。


「出てこい」


「「「「お呼びですか、主様」」」」


 女性には女性の魔物を配置するのが、普通だ。まぁスライムだったり。ゴーレムだったりするから。パッと見わからんけどな。


「最近は暇が続くしな、この施設を使ってみて感想が欲しい。後種族別な奴を入れるかもしれないけど、襲うことはするな」


「「「「ありがたき幸せ」」」」


 そういって、歩いて進んでいった。流石にこんな巨大空間になっていたらアイツラも気づくか、少し改変して。あの空間から部屋に繋げて、部屋を出たらここに着く事にしよう。


 部屋に戻ってのんびりしてると、魔物の反応を反映したり結構忙しかったりする。

 すると、2層で飽きたのか2人は戻ってきた。


「2層目本当に何も無いぴょん」

「こいつがおかしいのよ! 普通に詳しい事を知っていても何度やっても出来ないのよ!」

「それはお前のやり方が悪いだけだ」


 来た瞬間から失礼な奴だ。正直な話、どうでも良かったが作ったからには見せるか。


「お前らこっちこい」

「何よ! そんな所に扉なんてあったかしら」

「まぁまぁ行きましょうよ」


 扉を開けると、改善も含め女性に過ごしやすい環境にしたつもりだが……。


「な、何よこれ……どんな手品使ったのよ。あそこにある物あたし達の世界にある物じゃない」

「何、適当に作っただけだ。暇だしな」

「カイネルお前も行って来い」


 エリアナは周りの店舗にぴょんぴょん跳ねながら、近づいていった。温泉だったり、それを見て目をキラキラさせながら、エステも含め色々見ていった。

 カイネルは見るもの珍しい様であまり手を出していなかったが……エリアナに捕まり、振り回されているようだ。

 騒がしい奴らだな、まぁでも嫌いじゃない。


さてお客さんが来たようだが……。




 何時もの間に戻ると、女性と男性の冒険者が言い争っていた。女性は人族、男性は巨人族の様だな。体格差が凄くて女性が上を向いてガミガミ言ってるようだ。

 というより何でここでやるんだ。面倒だから2人共片付けて寝ようかな。


「お金が無いのは分かるけど私は肌が……」

「お前は、おしゃれとかしてないで仕事をしやがれ!」

「お前ら何でここで言い争ってるんだ?」


 やっと俺の存在に気づいたようだが、すぐに言い争いを初めた。片方の巨人族は人族に向かって拳を振るう。その角度は危ねぇ!

 俺は走り間一髪の所で巨人族の男の手を掴む。


「なんだ、お前には関係無いことだ! 邪魔をするな!」

「うるせぇ!」


 俺は、もう片方の手で攻撃してくる巨人族の男を腹と共に全て蹴り飛ばす。下半身が粉々に砕け散った。これだからゴミはウザくてしょうがねぇ。


「なん……だと……」

「ここは俺の空間だ、何をしようが俺の勝手だ。お前に決められるつもりはないんだよ」


 さてと、彼女の方に向き直るが、逃げなかった……肝が座ってるな。しょうがないどうせ、2人しかいないし招待するか。


「お前」

「は、はい!」

「こっちに来てくれ、女性の意見が欲しい」

「へ? は、はい?」


 呆けている女性を置いて俺は歩きだす、その後を追うように着いてきた。まぁあんな事したら普通怯えるからな。

 歩いている間、話しかけてくる。


「貴方は何者なんですか?」

「俺はただ、ここの1層目の守護してるだけだ。お前を助けた意味も特にはない」

「そんな事より着いたぞ、俺は女じゃないから分からないからな」

「は? はぁ……」


 まぁ正直あいつらの為に作っただけだし、困らないんだが暇だったしな。

 そんな事を思っていると、2人が生き生きした表情でこちらに走ってくる。


「あんた何時の間にこんなの作ったのよ!」

「そうです! こんな天国の様な場所作ったなら早く誘ってくださいぴょん!」

「何時って2日前だが?」


 2人の肌は入る前よりつやつやしていた。色々な設備を付けたからな、ご機嫌なら良いことだ。うるさいのは変わらなかったがな。

 エリアナは横にいる女性を見てこっちに言ってくる。


「この人どうしたのよ?」

「すぐそこで、言い争いしてたから。男の方ぶっ飛ばした」

「ざっくりね」


 突っ込みを入れてくる所見ると警戒は少しは薄まったようだ。

 丁度いい、こいつらにおっつけるか。この女性。


「俺は、作ったのはいいが、よく分からんからな。お前らがちょっと案内とかしてやってくれ」

「あんた作っといて、わからないのね」

「化粧品とか知識とかあっても俺には関係は無いからな」


 2人はその女性の手を掴み、最初は女性も戸惑っていたが。意を決したのかついていった。



 それからだが……何故か女性がここに頻繁に出入りするようになった。

 絶対あいつら何かしやがったな!


「おい、なんで今日もこんなに人がわんさかいるんだ?」

「そりゃ、当然でしょ! あんたが作ったこの部屋、あの女性……セトーレさんから広がって大人気というか。もう周りの国から来てるわよ」

「何故……こんな事になった……」


 こいつじゃなくて、あの時のやつか……道理で男性は寄り付かないのに女性ばかり増えてるわけだ。

 ついでにという感じに、エリアナが加えた。


「あ、後こんな噂も出てるらしいわよ」

「今度はなんだ!」

「ここに来たら、女性を守ってくれる人が助けてくれるって」

「まぁ……男性は問答無用で殺すが、女性は送り返すだけだしな……」


 はぁ……また面倒事が増えそうなんだが……。


ガンッ!!


 ほら~、またなんかあっちで凄い音したし。しょうがない見てくるか~。

 俺は人が入ってくる入り口の方にだるそうに歩いて行く。

 大広間に大量の、ヤクザの様な男が来ていた。種族はてんでバラバラだが、人族はいない。また、囚われている女性までいる。10人程……面倒な。


「おい! ここの関係者をだせ! ちょっとお話しようや」

「俺だがどうしたんだ?」

「おう、この場所を貰おうと思ってな。この女性達を助けたかったらな!」

「ほうほう、それで俺をどうにか出来ると?」


 こいつら頭湧いてるんじゃないか? まぁ「あいつ人族だぜ~、こんな奴無視してあそこにいる女性共捕まえようぜ!」なんて話してるくらいだしな。

 女性はこちらを助けて欲しいみたいな顔で見てくるし、面倒だな……。

 ゴミの中から宝石見つけて取るの至難の業なんだが。スキル使うと余計……。

 しかも、こいつら銃もってるじゃねぇか。このゲームじゃご法度なんだが。もちろんPVPの話だが。


「怖気づいたか」

「断る!」

「そうか残念だ!」


 こいつらが銃を構えた瞬間、女性達が悲鳴と共に中に入っていく。はぁ……。

 女性、10人確認出来たしテレポさせて避難させた上で反射してやるか。


「イリュージョンテレポ」

「撃てぇ~!」

「パーフェクトカウンタ」


 テレポで女性を俺の後ろに転移させる。女性達は何が起こったか分からなくて混乱しているが。

 銃を撃ってくるので、喋ってる暇はない。

 パーフェクトカウンタは自分の手の平より前の。上下と横の空間を制限無しに展開され。全てを倍にして跳ね返す。

 要は、相手の撃った玉が倍の数になって、跳ね返ってくるってことだな。


 その後はお察しの通り、残ったのは血だらけの男性しか残ってない。生きあるやつも居ないだろう。指を鳴らして片付ける。


「それじゃ、お前ら怖かったろ。あっちでゆっくりしていってくれ」


 全員の女性の縄を解いた後、指差して案内する。

 この後も何か面倒事が起きそうだが。

 今日も俺は1層目の守護者でのんびり。過ごしてるだけだ。

カゲサメ

人族でありながら、どの種族にも負けない。スキルの量は限界突破の度に増やし。

数は1万を超えるとか。人族の特殊能力飽きない探究心で魔力0でやりたい放題。

このゲームをやりきりやることが無いので外にでてもしょうがないと思ってる。

1層目守護者にしてどの階層よりも実力は上。


カイネル・アル・ワーネル

兎人族、語尾は「ぴょん」たまに外れる時があるとか。

突然現れた、塔に入ったら。地獄絵図、最初は鬼畜外道の男だと思ってたとか。

やりとりしていく内に打ち解けていく。エリアナと出会ってから大の仲良し。


エリアナ

エルフ、2階層守護者だがやることなく。1層目のカゲサメに勝負を掛けるが敗北。そのまま居座った。

いわゆるツンデレ気味な性格、カゲサメに対して凄くツンツンしている。

最近は、リゾートを作ってもらってご機嫌。


ベルダー&メルカナ

カゲサメの魔物、ちなみにこの2体が暴れると2日で世界滅ぼせるんじゃないかな。

主のカゲサメを凄く慕っており、2人は死んでも守ると豪語してる。

ベルダーはドラゴン、メルカナは妖魔。

ドラゴンの頂点はいるが、戦っても1秒で仕留められるとカゲサメのお墨付き。

メルカナはすでに頂点を倒しており、総括になるほど。

主以外は、餌だと思っている節がある。


セトーレ

リゾートと噂を広めた張本人、本人の出会いは巨人族と浮気を問い詰める現場がカゲサメの1層目だった。

殴られそうになる所を助けてもらい。リゾートを経験してから、周りから綺麗になったと言われるようなったらしい。

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