チャレンジ!異世界転生『常闇 狩魔』
「はぁ……かったりぃ」
うだるような暑さ。これだから夏は嫌いだ。
俺は常闇 狩魔。平和とゲームを愛し、争いとテストを嫌う、平凡な男子高校生だ。
「ちょっとカルマー!お弁当忘れてるって!」
おっと、背後から俺を追ってくる甲高い声。
俺の母さんに渡されたのだろう。弁当を持って現れたのは、幼なじみの聖澤 皐月だ。どこのト○ロだか知らないが、親しい人間には自分を「メイ」だなんて呼ばせている。ま、俺もそのひとりなわけだが。
メイはなぜか俺に対してだけ世話焼きで、小さいころからいつもこうだ。
ある日、「なんだお前は、俺の婚約者かなにかかよ」とあきれ顔で言うと、「……4歳のときの約束、忘れてないから」と頬を赤らめていた。いったいなんのことなんだ?
ま、いいさ。
いまの俺はメイを待ってやることより、さっさと学校にたどり着いてこの暑さから逃れることのほうが先決なのだ。
もうすぐ赤信号になってしまうし、さっさと渡ろう。
「危ない、カルマ!トラックが!!」
……
「田中太一さんのお母様ですか?」
「はい……あ、あの!息子は……」
「一命は取りとめましたが、意識不明です。回復の見込みは五分五分です」
「そんな……」
「……こちら、事故に遭われた際に息子さんが握りしめていたスマートフォンなのですが、息子さんご本人のものですか?」
「あ、はい……それは間違いなく太一のものです」
「歩きスマホ……だったのかもしれないですね。『小説家になろう』というWebサイトの画面がついたまま壊れてしまっています」
「あっ、確かにあの子、ホームページで小説を書いてるんだって言ってました……でも、歩きスマホはダメよっていつも言い聞かせてたのに……!うっ、うっ……」
「『俺にベタ惚れの幼なじみを残して異世界転生してしまった件』……これを書いている途中だったのですね」




