体は刃で 出来ていた系男子
タイトルからネタバレは基本
<キシャアアアア!!
私達がギルドを出ると、森の奥から木々をメキメキと倒しながら [ソレ]は現れた
「ザリーラ!? 今は村から離れた場所にある洞窟で暮らしていたと聞いていたが!?」
ロウさんがナイフを構えながら名前を教えてくれた。
*ザリーラ*
全長は5メートルくらいの巨大なザリガニ。水中ではなく陸上で生活している魔物。ただし体の色は青い→結論、気持ち悪い怪獣
「ブヒ!ブヒ! 俺たちが手引きしたブヒ!」
「したブヒ!」
「今のうちに金目の物を奪うブヒ」
森と村の境界に例のヘタレ豚三人がいたので、フィアが能力で森の蔦を操り、がんじがらめにしてくれた
さすが我が娘!
<キシャアアアア!!
<ヒュン ヒュン ガキィ ヒュン
冒険者や自警団(村を守っている住民)とフィアが弓や剣で応戦しているが、甲羅が硬く、ハサミを振り回すだけで住宅に大穴が空いた
「これは…ピンチです。お姉ちゃんケガは無いですか?」
心配してくれるフィアの声は私には届かない。
フィアのイラストの裏面に[新たな擬人化]を走り書きしていたからだ
私はフィアの時と同じように[名前]を最後に書き叫ぶ
【出でよ!】
でもフィアの時のように私の隣には現れない。
これくらい予想はしてた
ギルドの扉が乱暴に開かれ[男]が出てくる
「さぁて狩りの時間か!」
身長は170くらいでガタイも良い。髪はオールバックのシルバーブロンド、
それに合わせたように、胸と腰には銀色のプレートメイル
そして右手には【バスターソード】
「バスター だ。よろしくなオトハ!」
バスターはザリーラに正面から切りかる
<ザシュッッッ!
一瞬にしてザリーラの片方のハサミが切断され宙を舞う
「次は足だ!!」
剣 の擬人化。
私のいた時代では人気爆発中のカテゴリー
日本刀の展示会も全国あちこちであり[刀剣女子]なんて言葉も産まれたくらいなんだから。
バスターソードを擬人化したのに、それ自体は消えないんだと私は一人納得していた
バスターさんは宣言通りに足を切断し、残ったハサミも切断
<キシャアアアアア!?
日本の蟹のように泡を吹き出したザリーラの前で、両手で剣を構え[突き]の体勢をとったバスター
「悪いな、ザリガニは嫌いなんだ」
ニヤリと微笑んだバスターは、そのままザリーラに突撃を与えた
「倒したんですね…あのザリーラを、ありがとうございます…」
一礼するも複雑な表情のロウさん。
周りからは歓声や拍手が響いてくる。
私は軽く手を振る。バスターはサムズアップ、フィアはニッコリ微笑んだ
今日は宴会になりそうね。
今回は某ゲームのリスペクトでした
次は新たな村へと移動します