第7話 ~出口は~
後半は解説です。
<柊人>視点
沙紀が閉じ込められた。最後の最後で足が縺れて転んでしまった。…こんなことなら、気持ちが悪いのを我慢してでも、沙紀を手伝えばよかった…!少なくとも、俺一人だけでも手伝っていれば、かかった時間は約半分になったはずだ。
…しかし、そんなことを今後悔しても、もう遅い。俺は、ただ呆然と突っ立っていることしか出来なかった。
「…柊人、今は急ごう。とにかくココから逃げよう。」
昇が俺に声をかけてきた。
「…そんなこと出来るか。沙紀が閉じ込められたんだぞ?」
「確かにそうだけど、でも沙紀が言ってたじゃないか。」
沙紀が言っていたこと。確か、エレベーターから降りた時に、唐突に言われたことだ。
『「私と離れ離れになってしまった時は、迷わず昇を連れて1階まで行って、館から出てくれ。罠はない。それから、昇は柊人をサポートしてくれ。なに、お前なら大丈夫だ。迷わず私を見捨ててさっさと逃げろ。」』
今でも沙紀の声を鮮明に思い出せる。沙紀なら、あんな状況に陥っても、何とかするだろう。でもな。
「その時、俺も言ったはずだ。『もしそうなったら…絶対に、助けに行くからな?』と。せめて、俺に出来ることをさせてくれ。」
「…わかったよ。それが済んだら、さっさと行くよ。もう沙紀を信じるしかないんだ。」
そんなことわかっているさ。俺は、目の前に存在する、沙紀と俺達を隔てた忌々しい扉を見据えた。
「…出来るだけやってみるっ…さぁ!」
俺は17年間生きてきて、一番じゃないかと思えるほどの力を出したと思う。
それでも、扉は壊れない。びくともしない。確かに、電子ロックまでしている扉なんて、蹴破れるわけがない。俺の足の方が被害を受けた。
「もう、いい?」
足を抱えてうずくまる俺に昇が声をかけてきた。その声からは、諦めのような感情を読み取ることができた。…実際、俺も、もうどうしようもあい。最大の力を出して、何ともならなかったから。
「…ああ、そうだな。」
立ち上がり、昇と一緒にエレベーターの方へ向かって歩き始める。昇とは一言も会話をしなかった。多分、昇も俺と同じような、『自分も手伝っていれば』ということを考えているのだろう。
しかし、丁度、扉とエレベーターの中間地点辺りまで来た時。
俺は、またもや沙紀を助けたい、と思うようになった。
考えてもみろ、今までずっと沙紀に頼ってきた。こんな所にいるのも、全て沙紀のおかげだ。その沙紀がピンチになっている。そんな時でも、俺達は何も出来ずに、ただ沙紀に頼るしか出来ないなんて…。結局、俺達は沙紀がいないと何も出来ない。俺達が手の打ちようがなかったあんな状況でも、沙紀ならきっと何とかしてくれる…。
心の奥底でそう考えていることに気付いた時、俺の中で一種の怒りのようなものが芽生えた。沙紀の為に何も出来ない俺が許せない。すぐに諦めてしまった俺が許せない。そして、非力な俺が許せない。
「…なあ、昇。」
「なに?」
「俺、もう一回試してみる。あんな状況じゃ、流石に沙紀でも危ない。何としてでも沙紀を助ける。」
昇は驚いたような顔をして、そして頷いてくれた。彼も心の中で煮え切らない物があったのだろう。
昇が頷くのを見た瞬間、俺は走り出した。扉目掛けて。
さっき蹴った時は足りなかったもの。…俺は人間の限界を超えたスピードで走っていた。しかし、今はそんなこと考えていられない。とにかく、扉を蹴破る。沙紀と違って頭が良くない俺には、力押し以外の選択肢はなかった。
さっき蹴った時は足りなかったもの。それは。
「…執念と気合じゃぁぁぁぁ!」
勢いよく地面を蹴る。走ってきた勢いに、渾身の蹴りの威力を加える。…そこに、何故か相当な追い風が吹いた。何だって良い。追い風によってさらに勢いを増した俺の跳び蹴りは、扉を綺麗に捉え…物凄い轟音と共に扉を吹き飛ばした。
2回目のこの空間。扉が開くと同時に、さっきの追い風とはまた違った感覚で、風が一気に部屋へ吹き込んだ。何だっていい。
「…なんじゃこりゃ。」
部屋の光景はあまりにも異常だった。まず、変な怪物が山程倒れている。30…いや、40程度あるだろうか。ピクリともしていないから、死んでるのだろう。この怪物は沙紀が言っていた物と同じだろうな。さらに、ぽっかりと開いた天井。『シューッ』という音。そして、部屋の、ちょうど真ん中に沙紀が倒れていた。扉は沙紀には当たっていないようだ。
「沙紀!大丈夫か!」
抱きかかえると、息はしているようだ。だが、衰弱しきっている。
「おい、昇!この落ちてる3本目も持ってくれ!俺は沙紀を持つ!」
丁度、昇が入ってきた。言い忘れていたが、見つけた四肢の一部は全て昇が持っていた。3本目からは俺が持つ予定だったのだが、残念ながらそれどころではなくなった。
「持ったよ!」
「なら、…いや、先にエレベーターに戻ってくれ!」
倒れている怪物と同じような姿をした者が、ざっと20体…俺と沙紀を取り囲むようにどこからともなく現れた。それを昇も見たようで、走ってエレベーターへ戻っていく。
「しっかし、どうなってんだ、俺の身体は。沙紀って確か44㎏って言ってたよな?」
朱山沙紀、159㎝、44㎏という出るところが出ていない非常にスレンダーな体型をしている。しかし、沙紀を持ってみると、まるで10㎏ダンベルを持っているかのように感じた。
まあ、考えたところで何か変わる訳でもないから何も考えずに最低限の怪物だけは殺す。
試しに一番近くの怪物を蹴ってみた。両腕は塞がっているから仕方がない。しかし、怪物はその一撃で壁に叩きつけられ、壁にヒビまで入った。
「…なんだこの馬鹿力。」
無駄な動きはしたくないので、入り口付近の5体を軽く蹴り飛ばした。そのまま沙紀をお姫様抱っこしてエレベーターまで走る。
「…こうして見ると、沙紀って物凄い美人なんだよな。この性格さえなければ…あと、赤か。」
「…ほほう、その話はエレベーターの中で詳しくしようではないか。」
下から聞こえた声に驚いて沙紀を見ると、目を開け、ニヤリと笑っていた。
「お前、いつから起きてたんだよ…」
「最初から意識はあったぞ?しかし、まあ…なんだ。感謝しているぞ。あのままだと、確実に死んでいたからな…。だが、最後の一言からは一つの事実しか想像できないのだが?」
…迂闊でした。
「スカートで横たわっているから悪いんだろう!見たんじゃない!見えてしまったんだ!」
「仕方がないだろう!制服のまま誘拐されたから!あと、本当に死にそうだったのだからな!?」
そんなこと知っているさ。しかし、アレだな。沙紀の性格上、黒だと思っていた。
「ほら、エレベーターに乗り込むぞ。昇がもう待機している。」
沙紀を抱えてエレベーターに駆け込む。扉が閉じ、エレベーターはゆっくりと昇っていった。
…全員無事で何よりだ。俺は死にそうだけどな。沙紀のパンチで。
......
...
<沙紀>視点
体力は自分で立てる程まで回復したので、エレベーターに乗ってから柊人に降ろして貰った。…あんな体勢は恥ずかしいし、見られたからな。今後は気をつけよう。
さて、結果的には全員無事…だったのだが、私が死にかけた。
あの後、閉じ込められてから。私は必死に戦い続けた。戦っている途中に扉を蹴るような音がしたから、柊人も私を助けようとしている、ということはわかった。だが、その後は音一つなかったので、諦めて1階に向かったのだと思った。私がそのように指示したからだ。そして、ようやく20体全てを殺しきった。空気も抜かれつつあり、私の体力はこの時点で限界だった。それでも脱出しなければ死ぬ事は確かだったので、部屋で見つけたパソコンを使って何とか出来ないかと考えた。そして立ち上がり、移動しようとした瞬間、再び怪物が20体現れた。…今考えると、アレは当然だと考えてよい。殺そうとするならば、徹底的に殺しに行く。私でもそうする。
さらに20体も相手する気力が私にはなかった。しかし、相手にして勝たなければ私の命はない。そこで、ある一つの仮説をたてた。『放出された怪物が全て倒されると、さらに20体の怪物が放出される』というものだ。それならば、1体を残しておけば、さらに放出されることはないのではないか…それを信じて、1体ずつ、丁寧に殺していった。しかし、19体目を殺した時、ついに私の体力が尽きた。膝から崩れ落ち、床に倒れ伏した。そこから先は、知っての通りだ。柊人が蹴り飛ばした扉で私を襲おうとしていた残りの1体が吹き飛ばされた。
本当に間一髪だった為、諦めずに思いとどまって私を助けに来てくれた柊人と昇には感謝してもしきれない。まさに、命の恩人だ。
エレベーターの中ではこんな会話をしていた。
「そういえば、俺、なんであんな扉蹴破れたんだろうな。」
「その前にあの速さは人間じゃないでしょ。あれダチョウや。」
「変な追い風もあったぞ。それから、妙に沙紀が軽く感じたな。」
「今は?」
「さあ。でも、あの時の感覚はないから、もう元に戻ってるのかもな。」
…一つだけ言いたいことがある。
柊人、ついに人間卒業か。私はただ、部屋の空気が抜かれたことによって外からの圧力に弱くなっていたから、2回目は蹴破れた、という見解だったのだが…
確かに、私を抱えたまま凄い速さで走っていたが。なんらかの影響で柊人の隠れた力でも発揮されたのか…?
「ふむ。柊人が人間を辞めた所までわかった。そろそろ1階だ、降りるぞ。いよいよ脱出だ。」
「俺は人間だからな!?辞めるつもりもねえよ!」
「などと供述しており」
「容疑者か!」
昇と柊人の面白くないコントが繰り広げられている。そんなことはお構いなし、といった様子でエレベーターは止まり、ドアが開いた。
「ほら、さっさと出るぞ。こんな館にもう用はない。」
特に何事もなく外に出た。やはり太陽がないのが気になるが、あれほど超常的な体験をした上に死にかけたのだから、最早そんな事はどうでも良くなっていた。
「しかし、これからどうするんだ?地下では左腕と左脚を見つけただけで、右脚と雪菜はまだ見つかってないぞ?」
そんな事なら問題ない。
「まあ、見てろ。私達は既に助かっているんだ。それより、あの少年の元に行くぞ。」
柊人は訝しげな表情をしつつも、私を信頼してくれているのだろう。特に心配している様子もなかった。
始まりの小屋へ戻る。少年は未だに四肢がない状態で座ったままだ。おっと、その前に。忘れていた。小屋には入らず、近くの開けた場所に行く。
「どこに行くんだ?そっちに何かあるのか?」
「ああ。先にやっておかないといけないからな。念の為少し下がってろ。」
2人が十分な距離をとった事を確認すると、私は叫ぶ。
「聞こえているか!?『提供』の一回目を使用する!もっふもふの、高いところから落ちても衝撃を最大限吸収できるマットを頼む!」
「はあ?何言って…」
柊人が何かを言い終える前に、望み通りのマットが上空から落ちてきた。突然現れた場所の推定高度は10m。それなら大丈夫だ。
「なんでそんな物出てくるんだよ!?」
「柊人、まさかもう忘れたの?あの女が言ってた事。4回まで空間内に存在する物を提供するってやつ。」
「…そういえばそんなのあったな。って、お前まさか!」
昇が私の代わりに柊人に教えた。そして、柊人も私がしようとしている事がわかったようだ。昇は普段通りの表情だが、心の奥底では『そんな手が…』と驚いているのが読み取れる。にんまりと笑って、言葉を続ける。
「『提供』2回目だ!少年の右脚を頼む!」
右足がもふもふマットの上に落ちてくる。それを取り、昇に投げ渡す。続いて…
「『提供』3回目だ!この空間のどこかにいるのだろう!?『白岩雪菜』を頼む!」
これが、彼女が助かる唯一の方法。恐らく、地下や館の中にはいなかった。ならば、探すだけ骨折り損だ。恐らく私達では到底行けそうにない場所にでもいるのだろう。
上空に雪菜がぽっと現れる。そして自由落下して行き、マットの上に落ちた。
「雪菜!…大丈夫だったか?」
「ええ、大丈夫でしたよ。ありがようございます。私を助けてくれて…」
柊人と昇も駆け寄ってきた。
「お前達、少し待っててくれ。私は少年の方を済ませておく。」
3人は返事をし、嬉しそうに会話し始めた。さてと、さっさと終わらせておくか。
小屋に入り、少年の元へ。腕、脚を持っていくと、不思議な現象が起きた。これらの四肢が私の元を離れ、少年に吸い寄せられるようにくっついた。そして、彼は嬉しそうに私を見る。
「ありがとう…これで人間になれたよ。」
「大したことはしていない。それよりも…すまない。少し、ここで待っていてくれないか?本当にすまない…」
少年は不思議そうな顔をしつつも、私の言う事を聞いて座って待ってくれるようだ。
…さあ、いよいよ終わりだ。
「おい、柊人!昇!雪菜!こっちに来てくれ!」
彼らは話をやめ、小屋の中に入ってきた。
「なんだよ…て、おお!少年、大丈夫だったのか?」
「彼なら大丈夫だ。…それより、さっさと脱出するぞ。」
「そういえば、どうやって脱出するの?」
昇の質問には答えず、私は一呼吸置いてこう叫ぶ。
「おい、出て来い!最後の『提供』だ!『ここからの出口』を出せ!」
3人は驚いた顔をして私を見る。それはそうだろう。てっきり、今からまたどこかに向かうとばかり考えていた所に、いきなり『出口を出せ』という言葉で本当に出口が出てくるならば、誰も苦労しないからだ。
私の叫び声に反応して、一人の人物が出てきた。…ここまで、そしてこれからも予想済みだ。
「あなたは…」
「お前…」
雪菜、昇の声が重なる。出口を出せと言って、人間が出てきたら私も困る。さて、問答を始めるか…
「出口を出せとおっしゃいましたね。そんなの、出せるわけないじゃないですか。」
「ああ、そうだな。確かに『出せ』はしないだろうな。だが、出口はお前が何とかしてくれるのだろう?」
「へえ。何を根拠に言っているんです?」
恐らく彼女も台本通りだろう。破れかぶれに『出口くれ』なんて言って脱出されても困る。だから、少しばかり確認しているのだろう。私が、全てわかっている上で、そう言っているのかどうか。
「…お前もなかなかに鬼畜だよな。意識が戻った瞬間からの会話を記憶しないと脱出出来ない、なんてな。」
「…やっぱり、そう思います?」
「難易度の調整はした方が良いな。私でもギリギリでしか思い出せなかったぞ?」
目の前の女は優しく微笑んだ。…私が正解、という事で良いのだろう。しかし…私には彼女の笑顔がとても眩しく見えた。まるで、この笑顔が好きだったかのような…
「そこまで覚えている、という事は、もう全てわかっているのでしょうね。無駄でしょうけど、一応言っておきます。」
私の思考は彼女の言葉で止められた。…そして、やはり何を考えていたのかも忘れてしまった。彼女は、言葉を続ける。
「ここに…この空間に、2人の人間を置いて行ってくれませんか?」
その後。4人とも再び目を覚ますと、意識を失ったあの場所に横たわっていた。時間は1分も経っていない。持ち物もそのままだ。しかし、私の腕に傷が残っていた。…間違いない。
4人は無事に帰宅し、次の日も何事もなかったかのように、何時も通り登校した。
そこで、雪菜があの女から聞いた話を私達に話してくれた、柊人も昇も納得したような表情をしていた。
そして、昼休み。私に1本の電話がかかってきた。
「はい、もしもし。………。…何の用だ?」
......
...
どうも。沙紀だ。時系列的には…そうだな、全てが終わった時から、はるばるココにやってきた。…心配しなくても、私達4人は全員無事だ。私は少し特殊だが…。そんなことはどうでも良い。最後の場面、どのように切り抜けたかも書いているので、少し頭を働かせてみて欲しい。…まあ、簡単な話だがな。
最初だから、少しだけ解説をしようかと思う。いらないなら、読み飛ばしてくれても構わない。
さて、まずは少年の四肢の隠し場所だな。
人間という生き物は不思議なもので、制限時間が設けられると、広い視野を保てなくなってしまう。そして、見つからない物は一度探した場所でもお構いなしに、もう一度探そうとする。
館の1階には、まずないと判断した。というより、隠せそうな場所がなかった。それだけだ。
そして、3階だが、こちらにもないと判断していた。時限爆弾が仕掛けられ、さらに怪物まで襲ってくるのだ。何度でも言うが、私達が誘拐された理由は『力試し』だろう。ならば、あんな短い制限時間には設定しない。見つけて貰わないと困るからだ。わかりにくい説明だが、まあ許してくれ。そして、エレベーター内の地下への鍵は、私だったからこそ出来た芸当だ。恐らくその鍵も3階にあっただろう。ならば、3階は2つの鍵を見つけるだけで精一杯だったはずだ。私でもギリギリだったのだから。3階で四肢を捜す時間なんて存在しない。四肢が存在しないのだから。時間設定というものは、少しキツめに設定するものであり、決して不可能な時間設定はしてはいけない。
次は2階だな。2階には1つ、だったか?まあコレに関しては2つ存在していたかもしれない。その場合は、ふわふわマットを貰わないだけで解決する。だが、雪菜を『提供』して貰う以上、それは出来るだけ回避したかった。上空から落とす、と言われていたからだ。結果的に高度は10mだったから特に問題はなかったが、20mだと、3人でも受け止めきれない。まあ、地下に1つしかなかった場合はもう一度2階を探しただろうな。
では、なぜ全て地下に全て隠さなかったのか?この問題も、人間の深層心理が絡む。どれだけ探しても、何も見つからなかったら、普通は諦めて他の場所を探し始めるだろう。だが、1つ見つけると制限時間の話もある。『絶対に他に、どこかにあるはずだ!』こう思ってしまうだろう。そして、一度探した場所も再び探し出してしまう。これにより時間がさらになくなり…といった悪循環に陥る。これが2階に1つだけ四肢を隠しておいた理由だ。
最後は、地下。あの死体の山から2つ。こちらも制限時間が存在したが、私一人でも何とかなった時間だ。こちらは最初から探して貰うつもりだったのだろう。1つ欠けているのも、当たり前の話だ。私一人で探して、ギリギリ間に合う…結果的に間に合わなかったのだが、柊人、昇が手伝っていれば、3倍の仕事量だ。時間は有り余る。そんな時に、『一つだけ足りない!』という状況になったら、どうする?必死に探すだろう。時間の事も忘れて必死に探すだろう。何度も、何度も同じ所を。
恐らく、残りの一つのパーツも私達では行けない所にでも保管していたのだろうな。四肢の話はこれで全てだ。少年は、これから先は登場しない。彼は不幸な少年であり、それ以外は特筆するべき点もない。
そして、わかっているとは思うが、柊人の怪力、謎の追い風は、それぞれ柊人の能力・昇の能力だ。
次は…最後、どうなったか、だな。
簡単な話だ。女の話では、『前提条件を達成しなければ、無事に脱出出来ない』と。そして、前提条件のうち一つは、少年の願いを叶える…のような内容だったか?少年の願いは、『人間になりたい』。つまり、四肢を全て見つけろ、と。
ここで、最後の女の言葉…『ここに…この空間に、2人の人間を置いて行ってくれませんか?』という言葉を思い出して欲しい。2人の『人間』。少年は、四肢が揃って初めて『人間』と言える、と言っていたな。もうわかっただろう。置いていくべき2人の人間は、少年と女。この時に少年が人間と呼べる状態でないと、私達4人の中から犠牲者が必然的に出てしまう。だから、少年の人間化は必要不可欠だった。
最後は…出口、か?
女のセリフに注目して欲しい。この時、見るべき点は、最初を除いて、私のセリフの直後だ。わかりやすく言うと、女のかぎ括弧内のセリフの最初の1文字、だな。女が何かを考えてから喋っていたのも、こういう理由だ。
ここまでが、現在公開できる範囲の情報か?
最初ということもあり、このように少しだけ問題を出し、その解答を出したが、今後は解答はない。この程度は序の口だ。最終回でも解説してきたばっかりだから少し疲れているのだ。休ませてくれ。
さて…私が解け、解決した、私を襲う闇の全容…君は解けるか?
一つだけ、ヒントを出そう。といっても、現段階では解くことは不可能だろうがな。
私の…『朱山沙紀の秘密は重要』だぞ?
では、また会おう。
余談ですが、これジャンル決めるのにすっごい迷いました。
まあ、闇の全容考えるのはオマケ程度です。相当難しいと思いますけど。
じわじわ情報出ます。
次回→10%