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天才達の共闘  作者: 天城葉月
救出
14/18

第12話 ~原因は~



<沙紀>視点



 「部屋割りはどうする?」


 これは戦争だ。私にとっての。部屋割り、つまり一晩を共に過ごすのだ。別に変な事をするつもりはないが、誘惑程度なら…ゴホン。まあとにかくだな。ここは私の望む部屋割りにしたい訳だ。しかし、勿論否定意見も出てくる。


 「いや…男女別でいいのでは?」


 中神が見透かしたような目で私を見ながら言う。この意見を否定するのは難しい。常識的な意見だからだ。しかし、その程度の関門は突破可能だな。


 「…ふむ。ならば、多数決で決めようではないか。男女別にするか、否か。」


 勝算?あるに決まっているだろう。というより、この勝負は始めから私の勝ちだ。良いか、この場にいるのは女性3人、男性2人。一般的な思考を持っているならば、反対3、賛成2になるだろう。しかし、私が賛成すれば逆転する。…因みに、これは私に限った話ではない。


 「そうだろう?雪菜。」


 「え!?え…あ、はい。」


 突然声をかけられて戸惑っていたが、私が何を言わんとしているのかを察知し、顔を赤らめて俯いた。…ふふふ、それで良い。


 「よし、では、反対意見から聞こう…。男女別に反対の人、挙手!」


 4人。中神は頭を抱えてうずくまった。


 「ふふふ…では、部屋割りは最も公平でかつ簡明な、グッパで決めようか。」


 掛け声と共に、皆が一斉に手を出す。確か、柊人が初手に出す確率が高い方は…


 グー…雪菜、昇、中神


 パー…私、柊人


 完全勝利。中神は私の思考を察知して、あえて違う方に行ってくれたのだろう。…感謝する。



......

...




「全く…なんで沙紀と一緒なんだよ。」


 チェックインを済ませた私達は、早速それぞれの部屋に入り、休憩している。柊人も私も、今はベッドに寝転んでいる。…ちゃんと、ベッドは2つあるぞ?


 「私では何か問題があったのか?」


 「いや…中神と一緒が良かったなぁと。あの人、敵なんだが、肉付きはお前のn倍良いぞ。」


 nは1より大の実数、と追加すべきだな。そんなことを言っても柊人には理解出来るまい。


 「なら、確かめるか?服なら脱ぐぞ?」


 「…出来るものならな。」


 成る程。柊人は私を甘く見すぎだな。出来るものなら?やってやるさ。…確かめたいことがあるからな。因みに、筋肉量は恐らく中神よりも上だ。女として、そんな所で勝っても嬉しくはないのだが。


 「うわ!ちょっ、何をする!」


 寝転んでいた柊人の胸あたりに飛び乗って、馬乗りしただけだ。すぐに逃げられないように腕を脚で絡め取る。そして、言われた通りに、まずはパーカーを脱ぎ、着用していた胸アーマーを放り投げ、その下のブラウスを脱「本当に脱ぐ奴がいるか!やめろおお!」いだ。


 「…サラシは巻いているぞ?何をそんなに興奮しているんだ。お前は見慣れているだろ。」


 柊人は一応幼馴染だ。私の家に何度も遊びに来ているし、私も柊人の家には何度も遊びに行った。空手の練習も一緒にしていた。その時に、何度も私のサラシは見ている筈なのだがな。


 「…ま、まあな。突然で焦ったんだ。それより、そろそろ放してくれないか。どうやって固めているんだコレ。全く動けないんだが。」


 「そんなことはどうでもいいだろう?まあ、一本は解放してやる。」


 解放した柊人の右腕を持って、私の胸を触らせるか。こうでもしないと…私の望む事態は起きない。実証する必要があるからな。


 「…どうだ?」


 「…いや、すまん。全く感動がない。壁を触ってる気分だ。」


 …これでも駄目なのか。柊人は何だかんだ言ってヘタレな男だ。ここまでされたら反射的に飛び退こうとするはずなのだが…。あと、SGポイント+1。仕方がない。最終手段だ。


 サラシを少しずつ解いて「それは本当にやめろおお!」


 「ひゃあ!」


 突然、身体が投げ飛ばされる。その力は計算上、人間の力では不可能な大きさだった。…コレではっきりしたな。わざわざ恥ずかしい事をさせるな。ブラウスを脱ぐのだって結構恥ずかしかったんだ。


 「…柊人、正直に答えろ。超能力は、何回使った?」


 柊人の強すぎる能力。だが、代償も比例して大きくなる。そんな能力をこんな事で使っている余裕はないはずだ。頭では解っているが、無意識に使ってしまうのだろうな。


 「やっぱり沙紀には気付かれるんだな。今ので15回目だ。自分でも気をつけているんだが…。反射的に発動してしまう。感覚だが、もう6年は消費してしまった。」


 6年、か。長いようで短い期間だ。しかし、2日で6年。この消費スピードは尋常ではない。しっかりと計画的に使って行かなければな。…実は、今の私には皆の寿命がわかる。呪文を研究して、独自に編み出したのだ。勿論、自分の寿命もわかる。だが、これはあくまでも自然死する時の寿命で、交通事故や病気などは考えられていないようだ。その中で、柊人の寿命だけ明らかに短かったのだ。…しかし、本当に6年だけか?私の考えすぎでなければ良いが…


 「あの、沙紀さん。」


 「…ん?なんだ?」


 「とりあえず、突き飛ばした事は謝るから…サラシを巻きなおしてくれ。目を開けられん。」


 ………


 「…見ました?」


 「見ました。」


 雪菜。今すぐに部屋の温度を下げてくれ。顔が熱すぎる。そして理不尽な暴力が柊人を襲う。100%私が悪いのだが。それでも柊人は満更でもなさそうな表情をしていた。…。こんな事をする必要はなかったと?ただ問い詰めるだけで良かったのではと?いや、コレを計画していた時の私のテンションが狂っていただけだ。自分を殴りに行きたい。



......

...




 「へえ、それは不思議ですねえ。まあ、柊人さんの寿命が最初から短かった可能性もあるでしょう?」


 メールで中神を皆が寝た夜中に談話室に来るよう呼び出して、2人きりで話している途中だ。中神なら何かしら知っているだろう、という考えだ。現在時刻は午前2時。


 「残念ながら、私は何も言えないです。今の私は何があったのか、知らないですから。」


 目と話し方を見る限り、嘘はないようだ。ならば、やはり天命なのか?柊人の寿命が残り…30年程度なのは。余りにも短すぎる。そこら辺の人の寿命を覗いても、平均すると100年は生きることが出来るようだった。柊人が6年分の寿命を使っていなかったとしても、柊人の寿命は53年。約半分だ。


 「ところで、今の私は、というのはどういう事だ。昔のお前は知っていたのか?それとも未来のお前か?」


 「どうでしょうね?まあ、すぐにわかりますよ。」


 相変わらず変な返事をする奴だな。…あと、もう一つ聞きたい事がある。中神の寿命がわからない。…いや、正確に言うと0になっている。これがどういうことかわかるな?だが、もう一つ不思議な事もある。某マンガのように、死者の寿命は見えない筈だ。なら、中神はどういう存在なのだ?本当にわからない。寿命が0、か。一度死んで生き返ったのか?


 「想像にお任せしますよ。」


 そういえば、お前は私の心を読んでいるのだったな。なら面倒くさいからこっちで問うぞ。お前はどんな存在なのだ?


 「そうですね…。一つヒントを与えますと、"中神都"は既に死んでいる…ですかね。」


 また良くわからない言い方をする…。そういえば、あの異空間の館の中で…。………。…全ての辻褄を合わせるならば、そういうことか?


 「その通りです。よくわかりましたね。流石は沙紀さんです。この闇の一部をたった数個の情報だけで私の事をほぼ完全に解明するなんてね。…あ、そうそう。沙紀さんは自分も同じなのではないか、と心配していましたが、寿命が0ではないでしょう?沙紀さんは大丈夫ですよ。」


 私は違う、か。だが、それでは私の超能力がない理由の説明がつかない。恐らく、目の前の中神も超能力はあるのだろう。…何か、根本的な所で私は他と違う気がする。杞憂ならば良いのだが。…待てよ。寿命0で、どうやって超能力を使うのだ?


 「今の私は寿命を消費して超能力は使えないです。ですから、呪文を多用してなんとかしているのですよ。超能力も、呪文を使うエネルギーと同じエネルギーを使って発動できるようにしました。因みに私の超能力は、『移動させる』です。」


 移動、か。それは、あらゆる物をあらゆる所に、か?異空間まで私達を運んだのもその能力を使って、だな。同じように異空間内の"提供"も、その能力を使ってだろう。


 「何も空間だけではないですよ。時間も移動できます。ですが、こちらは少し特殊でして…」


 大方、意識しか飛ばない、とかだろうな。肉体まで移動してしまったら色々と厄介な事が起きてしまうからな…。その辺りの話は一般人には難しすぎる。私でも完全には理解出来ないからな。ここで語るのはやめておこう。


 「その通りです。精神しか飛べません。しかもオマケ付きで、その時間内に本人が存在した場合、その本人の肉体に乗り移ってしまいます。つまり、乗り移られている間の記憶はありません。」


 …記憶がない?…成る程な。少しだけ繋がった。3年前の記憶がないのは、現在の私達が3年前の私達に乗り移っていたのか?そして、お前の『報酬』とは、ソレだな?助けてくれたなら、3年前に意識を飛ばして3年前の事を思い出させる、と。


 「そうですよ。いや、あなたの思考は覗いていて楽しいですね。頭がパンクしそうですが。一度に多くのことを考えすぎですよ。もう少し整理して下さい。」


 中神の願望なんて聞くか。ところで、不思議に思うこともあるだろうから、少しだけ整理しておく。タイムパラドックスに関する話だ。この場合、中神が私達の意識を3年前に飛ばさなかったら…ひいては、私達が中神の頼みを聞き入れていなければどうなっていたか、という話だな。簡単に言おう。収束する。これも非常に難しい話だ。たくさんの平行世界が存在する…というのは聞いた事があるだろう。これらの平行世界は、存在しているようで実は存在していない。…いや、確かに存在はする。だが、一瞬の違いだけで無数の平行世界が生まれると、収まらなくなってしまう。…これは宇宙の『外側』の話だ。


 例え話をしよう。私がバナナを食べたとしよう。ならば、必然的にバナナを食べなかった世界が存在する。この場合は、私がバナナを食べても食べなくても大した差はない。1年、2年単位で見ると何の影響もないだろう。だから、この場合はバナナを食べなかった世界が食べた世界に収束、またはその逆となる。どっちでも変わらないのだ。記憶と意識は、収束した世界のソレと同化する。この時点で食べなかった世界は消滅、というより吸収されたのだ。


 しかし、私がバナナを食べなかった事で人類史に大きな変化が生まれたとしたら?その場合は食べなかった世界は食べた世界から独立し、別の世界として存在する事となるだろう。


 最後は矛盾について、だな。タイムパラドックスについてだ。結論から言うと、そのような物は存在しない。この世界は面白いように作られていて、矛盾が生じると、その時点でその世界は消滅し、意識は最後に分岐した世界と同化する。だが、過去まで遡って世界が分岐する事はある。


 例えば、私が肉体ごと3年前に行ったとしよう。この場合、私は3年前に『私』と会った記憶がない。つまり、私は3年前の私に認識された時点で矛盾が生じ、世界は消滅する。そして、3年前に行っても3年前の私に認識されなかった世界へと収束する。だが、過去の『事象』は残ってしまうことがあるのだ。この場合、世界は消滅したが、3年前の私が現在の私に会った、という事象がある。この事象を元に、3年前の世界から新たに分岐する事があるのだ。この場合は、3年前の私に認識されなければ矛盾が生じてしまう。結果としては、新たに分岐した世界は『3年前の私が現在の私に会い、現在の私は3年前の私に会いに行く』世界として収束する。…要は、矛盾は発生しないということだ。


 つまり、話は戻るが、私が中神に協力しなかった世界も、勿論存在しただろう。しかし、『3年前の記憶がない』という、分岐する原因となった根本的な問題は絶対的で、結果的には中神に協力する世界へと収束しているのだろう。


 まあ、つまり、アレだ。3年前に行っても、現在の私が存在するので、死ぬ事はない。記憶がなくなっている瞬間から3年前に旅立つその瞬間までは、世界は殆ど1本道だからだな。まあ、結局は私には中神に従う選択肢しか存在しない。そして、この救出作戦は成功する事も確定事項だ。…だからといって本気を出さずに失敗するのは、結果的には本気を出して成功する世界へと収束するから、本気を出すしかないのだ。…面倒くさい。


 私が異空間で死に掛けた時も、あの時点で生存確定だった、という事だ。…どうせなら、この世界も、間に合って何の影響もない世界へと収束すれば良いのだが。…いや、それだと超能力の問題があるな。結局、この世界が唯一無二の『正解』なのだろうな。


 「嫌になってくるな。ここまで未来がわかってしまうと…って、中神。どうした。」


 「いえ…僅か1秒であんな大量の事考えないで下さい。頭がパンクしました。」


 つまり、今は私の思考を読んでいないのだな。どちらでも構わないが。


 「元気を出せ。何も考えるな。考えると頭が痛くなるぞ。私でも完全には理解していない事だからな。宇宙の仕組みは難しすぎる。」


 意識についての話も、宇宙のダークエネルギーについても説明していないからな。その話なしでは、何の話も出来ない。平行世界は、例え話でしか説明していないからな。本当はもっと難しい。


 「…中神。平行世界への移動は出来るのか?理論上は可能なはずだ。」


 「不可能です。いえ、実際は可能なのですが、使用するエネルギーが多すぎます。私が1万人程度いたら可能なのでは?」


 エネルギーの問題、か。仕方がない。なら……という作戦は諦めるか。てかおい、ちょっと待て。今気付いた。


 「こんな事になってる原因って、どこかの世界の中神が最初に私達を3年前に連れて行ったからだよな?」


 「…てへぺろ」


 責めても仕方のない事だ。…分岐する元の世界、中神が3年前に私達を飛ばさなかった世界はどうなっているのだろう。…私は生きているのだろうか


 

何を書いていたのか記憶にないです。ここら辺の話はちょっと難しすぎます。

だって、タイムマシンがどーたらこーたらとか議論する前に、宇宙の仕組みさえ解明出来ていないじゃないですか。いつから出来たのかも。果たしてビッグバンは存在したのか。


理解してるのは沙紀さんだけじゃないですかね。


平行世界はあまり鍵とはならないので深く考えないで下さい。…どこかに重要な鍵は存在していますが。


次→10%

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