核心
「アンダードッグス」が設立して1週間。彼らは授業を一度も行わなかった。“行われなかった”。
アンダードッグスのクラスにも、他の生徒と同じ授業カリキュラムが割り当てられている。
しかし、それを行うのは「任意」であり、必ずしも行う必要は無いと学校側からの指示が出ている。
初日の授業を行う前にボヤ騒ぎを起こし、それ自体に何の疑問も抱かない神童と金田の2人を目の前で見た吉信先生は、彼らに必要なものは学生として必要な「授業」ではない、と考えた。
「あいつらをまず“自覚”させなくては」
―自覚。自分を認識すること。自分がどのような人間で、どういった好みや得手不得手があるのかを理解すること。
彼らの18年間にはその「自覚」が存在しない。自分がどのような人間で、どの程度他の人間と「外れているか」という自覚が存在しないのだ。
ゆえに吉信先生は核心をまず彼らに伝える事にした。
それを伝えなくては、彼らに人間として生きる事は不可能だと考えたからだ。人として接する事を唯一考えているのが、家族とこの吉信先生だからである。
「神童、金田。話しがある」
2人はふざけた様子で、また吉信の戯言かあ?などと話している。
「お前ら2人はこのままだと」
「卒業、できない」
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