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ボヤ騒ぎが落ちつきを取り戻した後、吉信先生は教室でホームルームを始めていた。
「…仲がよかったんだな?2人で焼肉なんて」
神童と金田は顔を合わせて、ヘラヘラと笑うと
「才能を認められた、選ばれし人類ですから」
「彼はお金持ちなんだ。だから“良い友達”だよ」
と言って2人でヘラヘラと笑い続けていた。
「…」
溜め息をつき、さっきの案件で自分の中で決断のついた部分があった。
「神童、それから金田。お前ら2人はここ「アンダードッグス」のクラスメイトとなった。そんなお前たちに、1つだけ覚えて欲しいことがある」
神童と金田は興味無さそうに席に座り、退屈そうに吉信先生の方を見ている。
「ちゃんと、卒業しろよ。」
それを言われて2人が笑いだす。
「先生、何言ってるんですか!高校を卒業できないとか…それできなかったら人間として終わってますよ!ハハハッ」
「先輩とか同じ中学のやつらもだけど、屑ばっかだったからなー…そいつらが卒業できてて、俺たちが卒業できないのはおかしいでしょ」
吉信先生は頭をくしゃくしゃと掻く。
困った。とても困った。他の教師の人たちが匙を投げる理由がやっとわかった。「顔を合わせないとやはり生徒の本質は見えてこない」と言ったし、今も思い続けているが…
「まあ、自分にできる限りのことはするか」
吉信先生は何かを覚悟したような顔をし、2人に向かって近づいていく。
「できる限り俺もサポートする。学校での悩みや、心配ごとがあれば何でも俺に言え」
吉信先生は2人の目をしっかりと見て、力強く伝えた。
こうして、2人の負け犬たちの生活が始まった。