表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

プロローグ 復讐のコーディ

  明治十二年(1879年)


 アリゾナ州の空を照らす太陽はとうに落ち、砂煙の混じった冷たい風が街を駆け抜ける。

 そんな中、俺は宿屋のスウィングドアを静かに押し開けた。

「座長さんの部屋は?」

「二階の一番奥だ」

 眼鏡の親父がぶっきらぼうに答える。揉め事はよしてくれと内心思っているのかもしれないが、すまない。俺はこれから揉め事を起こす気なのだ。

 階段を登り、一番奥の部屋の前に立つ。

 鍵はかかっていない。もしかかっていたらどうしようと今更考える。

 まあ、かかってなくてよかった。

 俺は慎重にドアを開ける。家族用のスイートルームに一人だ。ショウの座長ともなればこんな高い部屋に入れるのか。いい身分なもんだ。

 俺はホルスターの中で、シングル・アクション・アーミーの撃鉄を起こした。

 そのままゆっくり部屋の中に忍び込み、衣紋掛けに昼間ショウで見た派手な衣装がかかっているのをみて、間違いがないことを確認する。

 ターゲットはベッドの中で丸まっているようだ。

 手が震える。

 だが、こいつは憎き仇なんだ。

 俺は覚悟を決めた。ベッドに銃を向けて一呼吸。

 右手人差し指で引き金を引く。軽い火薬の音が響き、銃弾はまっすぐベッドの盛り上がりに吸い込まれていった。

 俺は引き金を引いた指をそのままに、左手で撃鉄を起こし、弾く。

 続けて五発。合計六発の銃弾をベッドに叩き込んだ。

 すぐに訪れる静寂。

 やったか……。

 人を殺したのは、たとえそれが仇敵だったとしても、初めてだった。

 だが……こんなもんか。

 なんの感慨も感動もなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←参加しています。面白いと思ったらクリックしていただけると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ