てにをは恐怖症候群発症!
相当久しぶりになりましたが、この作品から、創作人かにきち再始動します。
またよろしくお願いします。
唐突な質問で申し訳ないが、あなたは「文章を書け」と言われて、何の躊躇もなく短時間で小論文やエッセイ、または小説の短編などを書き終えることが出来るだろうか?
イエスと答えた方は、かなりの頻度で、日常から何か物を書いている方だろう。人にもよるだろうが、短編になればなるほど、その制限の中で何を中心に書けばいいか迷うことだろう。
実際、自分自身も過去にいくつかの仕事でコラムや短いエッセイも書かせていただいたが、ちょっとつまづくと、全く書けなくなることなんてザラ。あまりにも途方にくれた場合は、一旦その仕事や案件から離れる、つまり一旦寝てから早朝などに、アニメ音楽などテンションを無理やり上げて、音読しながら一気に書いていた。私はこれを「夏休みの宿題やっつけ型手法」と名づけ、本当に書けないときだけこの手段を使うようにしていた。
なぜなら、この方法は無駄に労力を使う必要がある上、タイピングがかなり正確でスピーディーに打てる優秀な方以外は、後ほど誤字脱字チェックを普段より念入りにする必要があるなど、無駄な労力が増えることになるのでおすすめはしない。
で、話題は変わるが、個人差はあれど小説となると更に難易度が上がるように思う。短編小説も、2千字から1万字など特に制限がある場合は、更に難易度が高くなる。自分が言いたいことを限られた範囲の中で言わねばならないので、人によっては推敲や改稿を重ねなければいけないだろう。
もっとも、私の知人には「思いついたら即書き上げて、遂行なんてほぼしないよ」などと豪語する強者もいるが、そういう例外に触れると話がややこしくなるので、ここではあえて触れないことにする。
さて、ここからは私が長らく休止している長編小説について話したい。特にここからの部分は、私自身もある意味、自分で傷口に塩を塗りこむ行為だとは思うが、このエッセイ以外の創作活動を再開する前に自戒の念も込めてこういうものを書かせていただく。
なんか面倒だと思った方は、このページは読み飛ばしてもらって構わない。
さて、長編小説についてだが、ため書きしている場合を除き、Webサイトで毎日連載なんていうのは、プロットや設定をかなり緻密に作りこまないと出来る所業ではない。前述の私の友人たちのように、「作品は文章へのこだわりより勢いで書かないと、多作はできん」と豪語するような少数派でもないと毎日連載や短時間での創作は難しいと言える。
ここからは言い訳になるが、私が長らく創作、特に長編連載を休まざるを得なかった理由は、文章へのこだわりが強すぎて、人様の前、つまりweb上に出す勇気がなかったからとしか言いようがない。
だが、連載中の長編の続きを書いていなかったわけではなく、むしろ1回分の書き直し(リテイク)に5,6回費やしたが、まだ納得の行かない構成や文章にならず、ボツにしまくったからだ。気分転換に、ほかの作品を書いたり、プロットを書いたりしてみたが、どうも納得いかず、長期の連載休止をせざるを得なかった。
だが、私も手をこまねいていただけではなく、短文など小説以外のものを書くなどして、自分の欠点を客観的に考えてみた。
その結果判明したことは、私が文章の流れや接続詞、特に「てにをは」にこだわりすぎること。その結果、自分の納得いかない文章や作品を他人に見られることが恥ずかしかったからだ。
後の部分はともかく、私が文章の流れにこだわる理由は特に助詞の使い方にあることがわかった。特に、文章中で「てにをは」の使い方がおかしいと、全てが駄目になる気がしてしまったからだ。私や知人はこれを「てにをは恐怖症」と呼んでいた。
それに陥った原因は何だったのか。今思えば、この最大の理由は、私がある業界紙の新聞記者をしていたことに起因するだろう。
新聞の文章は、これはテレビやほかの一部マスコミも入るが、使っていい漢字やその漢字の送り仮名も決まっていることが多い。多くのマスコミは、NHKが毎年改訂を繰り返しながら出していることばに関する辞典などを参考に文章を書いている。気になる方は、大型書店で探してほしい。
さて、若き日の私は、一時期弱小ながらも新聞記者をしていたのだが、その新聞独特の文法の使い方にかなり苦しんだ。特に、新聞では一つの文章中に、同じことばを入れることを良しとしない。
「~のなんとかのなんとか」とか書いた日には、没どころか上司に白い目で見られていた。
そんな訓練が未だに骨身に染み付いていたと気づいたのはごく最近のこと。
勿論、小説と新聞ではその書き方も用途も全く違う。だが、いわゆる『新聞ルール』が身にしみていたことも今回、痛いほど理解させられた。
そういった意味では、この長い休業は自分の欠点を改めて理解する意味では良かったのかもしれない。多少の見直しは重要だが、勢いで文章を書くことも長期連載においては必要な要素だろう。
と反省しつつも、マイペースながらも再び自分の世界を構築していきたいと願って、資料とプロットを再び探す旅に出ようと誓う。
参考:NHK出版HP