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これからの僕(私)  作者: 阿部いりまさ
これからの僕(私)〜本編〜
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59.晴海は苦悩し、相談する

あの天野さん…いや能見さんから僕が女の体になった真実を聞かされてから3日たった。 ただ、そんな真実を聞かされても僕の生活に何かしら影響が出ているわけではなく、影響が出ているとしたら天野さんから能見さんになったことくらい。

しかし、あの日から3日間考えても決められないことがある。

これからの僕について、だ。

海都になることは可能だがそうしたら今までの僕は死んでしまうかもしれないリスクがあるらしい。 しかも昨日能見さんから聞いた話によるとどうやら技術提供してきた研究チームの一つが今後クローンに関しては一切関わらないという連絡があったらしい。

能見さんが説得したところすぐにクローン技術が扱えなくなる予定だったがどうやら今年の2月10日、その日までなんとか伸ばしてくれたらしい。

すると男に戻るか否かの期限はあと3週間くらい。 短い!

どうするかな……。

ため息を時々つきながらご飯を口に入れる。


「元気ないね。晴ちゃん」


「うんうん。なんかシムジーランドの帰りからずっとそんな感じ」


咲ちゃんと伶奈ちゃんが声をかけてきた。 心配してくれてるんだ。

もし仮に男に戻るのが成功したとしてこの2人は今まで通り僕に接してくれるのだろうか。 いや、恐らく無理だろうな。 男と女の溝は人が思うよりも深く遠いしきっと…


***想像***


「やあ!実は僕は男だったんだ!アハハハ!これからもよろしくね!」


「うわっ!キモ!!」


「こんな人ほっといて早く行こ!伶奈!」


「咲ちゃーん!伶奈ちゃーん!」


***想像***


こうなるんだろうなー……。


「ねえ咲。晴ちゃんため息ついて落ち込んでると思えば今度はギャグ漫画みたいに泣き出したよ…」


「そ、そっとしておこうか」


そんな会話が聞こえた気がした。

今の僕ってそんなにギャグ漫画みたいな顔してるのかな。

もうダメだ、これ以上男に戻った時のことを想像するとギャグ漫画の泣き方じゃなくてガチな方の泣き方をしてしまう!!

もう想像すんのはやめだ!

そうそう!今大切なのはこれからどうするか。

そうだ。1人で決めきれない時に1番効果的なことは事情を知ってる人に相談することだ!

僕が海都だと知っていて僕にいいアドバイスをくれそうな人……よしあの人しかいない! すぐに行こう!

僕は弁当を片付けすぐに教室を飛び出した。


「なんか今日の晴ちゃんギャグ漫画の主人公みたいだね」


「確かに伶奈の言う通りかも…」


教室を出る時にまたこんな会話が聞こえたような気がした。


*********


「も、もし男の子に戻れるなら?」


「はい!」


僕が今いるところは生徒会室。

そして僕が相談している相手というのが昨年新しく生徒会長になった榎田真純先輩。

僕の完璧ではないにしろ事情を知っていていいアドバイスをくれそうな人といったらこの人以外にいない!

先輩は少し疑問の目を僕に向けていたが今は考えてくれているようだ。


「そうだねえ。やっぱり海都君の気持ち次第だけど私たちとしては海都君が男の子の方が正式にお付き合いできるしその方がいいかな〜」


「な…なっ!」


「冗談よ♪」


なんだビックリした。

先輩は楽しそうにまだフフッと笑っている。

先輩の冗談は冗談に聞こえないからなあ。 それに先輩にそんな言われ方したら僕が今女じゃなく男だったら間違いなく「喜んで!」って即答してるだろうし。

しかし、男に戻るかは僕次第か。


「でも、男の子になったからって今いる友達が去っていくって考えてるならそれは心配いらないよ。晴海ちゃんの友達はみんないい子達だから」


この人すごいな。

僕が心配してたことを当てるし心をあったかくしてくれる。 この人が彼女や奥さんだったらどんなに幸せなるだろうか。 ……何考えんだ僕は。

でも榎田先輩のおかげでだいぶ気持ちが楽になったわけだし、キチンとお礼は言っとこう。


「先輩。ありがとうございました!先輩のおかげで心にあった霧が晴れた感じがします!」


「え?あ、うん。どういたしまして」


そう言って先輩はニコッと微笑んだ。

ほんとに、こんな優しい先輩がいて良かった。ほんと良かった。

その顔をみて僕は一礼し扉の方に向かって歩き始めると先輩に呼び止められた。


「校内ではケータイはバッグの中だよ」


いつの間にやら先輩は僕のスマホを持って手をフリフリさせている。

どうやらポケットの膨らみかなんかをみて素早く抜き取ったんだろうけどこれ完全にスリの手口じゃ…。


「あ、あの…ケータイ……」


「ダメー♪放課後取りに来て下さい」


「そんなー!」


*********


「返してもらって良かった…」


家に帰りベッドに座りながらスマホをいじりホッとそう呟く。

正直あと3日くらいは普通に帰ってこないと思ってたからほんとに良かった。

だけどあの先生、女子には甘いって噂本当だったんだな。 こういう時女って便利なんだなー。

そんなことを思いつつスマホを弄っているとRINEで誰かが連絡してきていることに気がついた。

RINEを開いてその連絡をみて僕はフッと笑ってベッドに倒れこむ。


「ほんと、良かった…」


僕のRINEには先輩からずっ友と書かれたスタンプが送られてきていた。

どうやらもう少し悩むことになりそうだ……。






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