45.晴海は奏真と文化祭を楽しむ
「えっと、奏真の教室はここだな」
校舎の2階に奏真の教室はあった。
どうやら喫茶店的なのやってるみたい。
でもどうしよう…。
流石に1人で入るのはちょっとなあ、でもここまで来たんだし入らないのは勿体無いような気もするし、よし!入ろう!!
「いらっしゃ…相良さん!来てくれたんだね!!」
「声大きいよ藤川君」
「奏真でいいって!」
「そ、奏真君…」
どんな感じなんだろと思ったら割と普通なんだな。
アニメとかだともう教室じゃないような感じになってたから現実もそんなもんかと思ってた。
まあそんなわけないってことだね!
「えーっと、何食べる?俺が奢ってやるよ!」
「それは悪いよ」
正直奢ってもらえるならもらえるでかなり嬉しいんだけどね…。天野さんに今月の生活費もらうの忘れてたし、財布の中寒いし……。
でも奢ってもらうってのもね、中学の時に奢らせまくってたし。
「いやいや!ここで俺が引いたら男としてなさけないだろ?それに俺が奢るって言ってるんだから、相良さんは遠慮しなくていいんだよ」
なかなか優しいじゃん奏真のやつ。
久しぶりに会った時はめんどくさいやつのまんまかと思ってたけど僕の思い違いかな。
それはいいことなんだけど。
「ありがとう」
でも僕が男で、しかも死んだはずの相良 海都だって知ったら態度は180度変わるんだろうな。
「えーっと、じゃあオレンジジュースでいいや」
「え?それだけでいいの?」
「うん、さっき一緒に回ったときにお腹は少し膨れたしね」
「はいよ!すぐ持ってくる!!」
以外とお腹いっぱいなるものなんだなあって思ったよ。
校庭回ってるだけで屋台がたくさんあるんだから今住んでるとこでやってたお祭りといい勝負だね。
「相良さん、お待たせ」
「うん、ありがと!あれ?何でグラスが2つ?」
「ああ、それは俺の分!一緒に飲もうと思って」
まあ一緒に飲むくらいなら全然オッケーだし構わないか。
「あ、美味しいねこれ!」
市販のオレンジジュースのはずなのにグラスに入ってると味が変わってる感じがするなあ。
「なあ、相良さん」
「ん?何?」
あれ?
なんか奏真、真剣な顔になってる。
これから嘘をつくような奏真だと口元が少し緩んでいるはず、しかし今はそれがない。
ということは、
「大事な話が…あるんだけど…」
「だ、大事な話?」
やっぱり真剣なことか。
なんだろ大事な話って、悠斗のことに関して、いやあの悠斗と奏真は頻繁に連絡取り合っているしそれはないかな。
じゃあ僕のこと、相良海都のこととか?いやいや、それも無いか。今の僕、相良 晴海と昔の僕相良 海都が関係ないことはわかってるはずだし。
じゃあなんだろ?
恋とか?まさか僕に惚れてるとか?ないないないない!!!
絶対にないっ!
仮に僕に惚れてるとしても僕は男だし、僕の恋愛対象は女だし……。
「えっと、あれ?相良さん?」
「え!?あ、ごめん。ちょっとボーっとしちゃってて…」
「そっか、それならよかった。それでさ話ってのはさ…」
「ゴクリ」
ダメだ悠斗。
僕は実は男!!
悠斗からみたら女でも心は立派な男なんだから僕に告白するなんてことは絶対に…絶対に。
「相良さんってもしかして海都なんじゃないか?」
え?