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これからの僕(私)  作者: 阿部いりまさ
これからの僕(私)〜本編〜
43/64

42.晴海は悩みを打ち明ける

「え?先輩に悪いこと?」


「うん」


月曜日。

僕は結局どうやって謝ればいいのかわからず悠斗に相談することにした。

みんなになるべく聞かれたくないから文化祭の準備の時間を利用して相談している。

悠斗と同じ係でよかったよ。


「珍しく相談かと思ったらお前らしくないなあ。海都は悩みやストレスとは無縁な奴かと思ってたけど」


失礼だな。

この体になった時なんてどうしていいかわからなくなったし、この体で生活してる今も慣れてきたとはいえ悩むことはたくさんある。

逆にいきなり女になって悩まない人何ているのかな。


「うそだって!そんな不満そうな顔しないでくれよ!」


「言っていい冗談と悪い冗談があるよ。文化祭の出し物決める時だって…」


***夏休み前***


「えーっと文化祭の出し物だけど…何かいい案がある人は挙手して答えてください」


司会役の娘がクラスをまとめて文化祭の出し物を決めようとしてる。

文化祭は初めてだなあそういえば。初めての文化祭を女で迎えることになるとは思わないよね……。

そういえばこの学校、私立だし大きいしひょっとして凄い文化祭になるかのかな!?

なんかワクワクしてきた!!!


「晴海ちゃんどうしたの?」


前の席の咲ちゃんが後ろに向いて話しかけてきた。


「ここの文化祭ってどんなのかな!?って思ってたの!」


「文化祭なんて何処も一緒だよー」


「でもでもやっぱりここ私立だし」


と僕と咲ちゃんが話していると


「メイド喫茶だあ!!!」


え?


「よく言ったぞ!悠斗!」「お前なら言ってくれると思ってたぞ!」「さすが変態!」「よっ、スケベ!」


男性諸君から悠斗へ熱い声援が送られている。

なんだこれ。しかも最後の方は褒め言葉なのだろうか。


「内田君がメイド喫茶やりたいって言ったらしいね」


な、何!?メイド喫茶!?

ただの女として苦痛なのに!制服着てるだけでも苦痛なのに!!!

メイド服なんかきれるわけないじゃん!

次々と何故か女の子達も賛成して行ってるし……。


「咲ちゃん!一緒にメイド喫茶に反対しよ…」


「はーい!さんせ〜♪」


さ、咲ちゃんが!?


「じ、実は一度メイド服着てみたいなあって思ったりしてて、晴海ちゃんのメイド服も見てみたいし」


ま、まさか咲ちゃんにこんな一面があったとは……。

あれ?でも男性諸君はどうなるんだろう。


「ねえねえ、男はどうなるの?」


「うん、男はどうやら執事服着るみたいだね」


エー、ナニコノオキマリノテンカイ。

で、でも咲ちゃんのメイド服とか似合うだろうなあ……可愛いだろうなあ………。

まあ女の子達のメイド服見られるならまあ、いい……かな。


**********


「だから冗談のつもりだったんだって!まさか本当にメイド喫茶に決まるとは」


「その後に言った事だよ!」


その後に悠斗は…。


***夏休み前***


「おいおい!男だけ執事服なんてつまらないよなあ。ここは男もメイド服を着るべきだろ!」


何言ってんのこの人…。

かわいい女の子達のメイド服見られるならと思ったけど誰が男子高校生のメイド服なんてみたいなんて思うの!?

僕だって見たくない!!


「なんか面白そうだし賛成!」「俺も賛成!」「執事なんかより女装したい!」「賛成!!!」


なんだこのクラス……。

もう嫌だ。


**********


「あれは本当にノリだったんだ」


「男のメイド服なんて見たくないないよまったく!それこそホモでも見たいのかどうか」


「まあ決まっちまったんだしさ!」


誰のせいだと…いやいや。

これでまた僕が返すと今の流れとまったく同じになってしまうしここは堪えて先輩の話題に。


「あの、相談のことなんだけどさ」


「ん?あー、悪い悪い。えーっと先輩に悪いことしたんだっけ?一体どんなことしたんだよ?」


えーっと言っていいのかな。

でも相談したいって言ったのは僕だしここまできて言わないでやっぱりやめるは無しだよね…。


「実は……」


**********


「だーっははははは!!!」


「何で笑うんだよ!何で!」


「だってだって!相談の内容が……はっはははははは!!!」


僕そんな面白いこと言ったか!?


「悪いことが『先輩との待ち合わせ時間に遅刻した』って!」


「なんでそんな笑うのさ!!!」


「全然対したことないからだよ。そんなことで悩んでるんじゃお前もまだまだ子供だよ」


むかつく。

あれだけ悩んだのに!!!


「きっと先輩はそんなこと全然根に持ってないと思うし、気にもとめてねーよ」


「そうかなあ」


「そんなんで怒る人だったらあんなにテニス部の後輩や同級生から慕われて無いだろーしな」


確かに、あの先輩の人気は異常だ。

先輩のいないところで先輩の悪口なんてまずありえないし、しょっちゅう男から告白されてるっていうし。

ひょっとして本当に僕の思い込み?


「それに一回謝ったんだろ?だったらそれで終わりでいいじゃん」


悠斗……。

なんだかんだ心の支えになってくれてるよね。

本当に助かってし感謝するよ悠斗。

なんか無理矢理感動的な展開になってる気がするけどまあいいか。


「ありがとう悠斗。おかげで気持ちが晴れやかになったよ」


「へへ、そーだろそーだろ!」


「さ、準備の続きしようか!」



文化祭まであと2週間。

でもやっぱり男のメイド服なんて、みたくないなあ。







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