35.晴海は幽霊など信じない
「うう……」
「どーした?もしかして、怖いのか?」
「そ、そんなことないしっ!」
夏休みも残り一週間ほどとなった今日、僕、相良晴海は近所の廃墟へ肝試しにきていた。
「まだ建物に入ってもいないってのに…」
「だからびびってなんかいないって!」
「はいはい」
一緒にいるのは悠斗こと内田悠斗、中学生からの友達で今の僕の現状を知ってる数少ない理解者である。
おっと、こんなんじゃ某探偵アニメの映画のような始まりかたじゃないかっ!
「でもお前が肝試ししたい言うからわざわざきてやったのに。言い出しっぺがこれじゃあ…」
「だ、だから!」
「びびってない。だろ?じゃあ早く行こうぜみんな待ってるし」
たく、今日の悠斗はなんか意地悪だ。
もう、こんなことになるならあの時言わなきゃよかったよ……。
あれは二日前のこと……
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「ああ!ここわけわかんない!」
突然伶奈ちゃんが声をあげる。どうやら数学の宿題が難しくてわからないみたい。
もちろん僕もわかりません。
「ちょっと、もうちょっと静かにしてよ〜」
伶奈ちゃんをなだめる咲ちゃん。
咲ちゃんは頭いいから宿題なんて余裕と言ってもう夏休みの宿題は終わってるって言ってた。
余裕で羨ましいよ……。
「さ〜きぃ〜、ここわかんないからやって〜♪」
「だ〜め!ちゃんと自分でやらなきゃね」
「えー……」
僕達は今、溜まっている夏休みの宿題を悠斗の家でやってる途中。とはいっても咲ちゃんはもちろんだけど何故か悠斗も宿題は終わっているらしく二人は監督としてきてくれてる。しかし二人とも以外と厳しいなぁ…。
「どうだよ?わかったか?」
「いやいや全然」
「何回目だよ⁉︎もう同じこと五回は言ってるぞ⁉︎」
「うるせえ!バカで悪かったなバカ!!」
「あはは……」
どうやら悠斗、筒井君に教えるの苦労してるみたい。あっちもあっちで騒がしいなあ。
しっかし疲れた………。
「ね、ねえ!疲れたから休憩しよっ!」
どうせ断られちゃうかな〜。
「おっそうだな」
「確かに疲れたし」
「休憩しよっか」
「さんせー!!!」
筒井君そんなに休憩が嬉しいのかな……。
「とりあえず気分転換にテレビでも…」
筒井君がテレビをつけると、
「ん?心霊特集だってさ。これみようぜ!」
「「「ええー」」」
と、僕ら女子たちの声。いや、僕は男か。
まあ、結局僕含め三人ともジーっと見てるけど、こういうのって
「なんか全部合成っぽいね…」
あ、声に出してしまった。
「いやいや、これは本物だなっ!」
悠斗が超自信満々に言う。
「なんでこれが本物だっていえるの?こんな映像私でも作れるよ!」
「なっ!」
よし、さらに追い打ちしてやる!
だいたい僕は幽霊だのなんだのは信じて無いのでこういう映像や画像を見ると全部合成っぽく見えてしまうんだよね……。
「とゆーか幽霊なんてこの世にいないよ!」
「いや!絶対いるって!俺はこの目で見たからな!!!」
悠斗もなかなか引き下がらないので僕は、
「へえー!じゃあ確かめてみようじゃん!」
「ああ、いいとも。二日後の午後9時にこの近くにある北大石病院に行こうぜ」
「え、もしかしてそれって私たちも行くの?」
咲ちゃんが悠斗に聞く。
「もちろん!」
「ええぇ〜!」
咲ちゃんら三人が声をあげる。
「よし!約束ね!」
幽霊なんていないってこと、証明してみせるっ!!!